イタダキマス〜とりあえず魔王の手下になって世界作り直します!あれ?なんかループしてない?〜

駅構内の狂っぽー

なんだかんだ言ってハッタリ

馬車に乗るとそこに居たのは御者を叱っていた厳しい反重力ヒゲのその人ではなく、申し訳なさそうにして、ヒゲがだらーんと垂れ下がった初老の男性だった。
「本当に申し訳ない、魔王様からのお達しもあって、これが最善策だといえども…あれはやり過ぎた。本当に申し訳ない!」
全力で謝られた。ひたすら謝る彼をなだめ、話を聞き出していく。
分かった事は主に3つ、1つ目はこのオジサンはカトー・ダリン・サワーディールという大臣をやっている人らしい。
確か聞いたとこによると、この国の端の方で農民として生きていたら急に交渉スキルに目覚めて農作物の取引で急に利益を出し始めたら、王様が視察に来て重役に取り立ててもらった。と言うということらしかった。
2つ目、この国はルキアンブルグ公国という国で主な国民はエルフを中心とした獣人、ドワーフ等を含んだ亜人の国家で500年前まで隣国に支配されていたが、その支配体制を魔王が単騎でぶち壊した。そうして一部では魔王信仰という行き過ぎた形で、国全体での魔王親派としての中立国として存続してきた。
主な産業は魔道具アーティファクトの作成、農業だけというかなり自然派の国らしい。
3つ目がサワーディール伯爵の家系は代々魔王信仰をしているということ。そんな中、重役になって数年、隣国で500年前まで支配体制を敷いていたトリアズ帝国が魔王に宣戦布告。国民感情として反トリアズの風潮の中で生活必需品が9割以上がトリアズ帝国からの輸入で今回の魔王討伐に協力しなければ輸出をストップする。と持ちかけられている。そんな中で王都の隣町のサガリネに俺を派遣する話が魔王側から持ち掛けられ、快諾した、ということらしい。以上が反重力ヒゲのオジサンから聞き出した情報の全てだ。俺が抱いた感想は3つ。1つ、魔王はバケモノだった。いや人間じゃないしこれはしょうがないか。次は魔王って何年前に転生してきたんだろう?ってのが大きい。こちらの世界と元の世界は時間の流れが違うのか、どうなんだろう。最後はこのオジサン謝罪しかしないやん。
「あの、謝罪とかいいんでそろそろどこに向かうか教えてもらえますか?」
オジサンは姿勢を正し、こちらに向き直る。
「冒険者組合です。」
「は?」わけがわからないよ!
「そこで偽の身分証を作ってもらい、私の護衛をしてもらいます。」
「なんでそんな面倒くさい事をしなければいけないんですか?」
「身分証があれば正式に護衛になることが出来ます。そしてこの1件が終わった後も法的に存在する人間として活動出来ます。この提案は魔王様からです。」
「流石に上司の言う事を無視するほど俺は馬鹿じゃない。ただ魔王に便利に扱われてるのが好かないだけだ。」
「では?!引き受けて下さるのですね?」
いや、この流れで拒否はないだろ。
「引き受ける。」
今更だけどオッサンも態度がかなり盛ってるよね。
うわーオッサン口角つり上がってるわ、これ罠だな。

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