悪役令嬢は魔王の小鳥

せれぶ

14話

「……ご主人様と、…どなたかしら…?」


猫目の青い瞳、白い髪。青いドレスに青い宝飾品。…私と特徴は同じなのに、ずっと綺麗。もしかして…ご主人様の、奥様?人間で、昔死んでしまって、私は奥様に…こんなに美しくはないけれど、特徴は同じだから、そばにおいてくださってるのかしら。


「……きっとそう…ね、…こんな綺麗な人だもの、私でも忘れられなさそう…」


……いいなぁ。きっと、ご主人様の事だからずっとそばに居るくらい愛されてたんでしょう。朝言っていた50年前の人間…が奥様…か。
…………昨日のキスも、私に奥様を重ねたからかしら、……忘れましょう、昨日は何も無かった。うん。


「………確認……でもそんな…失礼だし……気になる…」


そんなことを呟きながら本棚を物色する。ほとんど読めなかったが、もう1冊、読める本があった。先程とは違いぼろぼろで、読みづらい。


「…魔王の祖は…ドラゴンであった。とある国の、…き、りゅう…?…はな、よめ、…うつくし、白い…月の、色…?」


月の色はあの青と金の月だろうか。寄り添うように隣同士に浮かぶ月。そういえば昔は国中にドラゴンがいて、そのドラゴン一頭一頭に花嫁がいたらしい。絵本にもなっていて有名な話だ。その中でも強大だったのが黒いドラゴン。つまりそのドラゴンが魔王様の祖?ならこの本は代々受け継がれている本かしら。もしかしてご主人様もドラゴンになれたりするのかしら?少し興味が…


「マリアンヌ」

「っ!ご、ご主人様…」


慌てて本を閉じ、棚にしまう。振り向けば甘い瞳で私を見つめる御主人様がいらっしゃった。…あんなに好きだった瞳なのに、なんだか…モヤモヤする。


「いい本は見つかったか?」

「…いえ、私に読める本はまだ…“1冊”しか見つけられていなかったので」


ボロボロの本を取り出し差し出す。御主人様はそれを受け取りページを捲れば、あぁこれか、と声を漏らした。


「この本は母上が下さったものだ」

「…御主人様のお母様が?」

「といっても、血は繋がっていない。種族もわからない人だった」

「…そんな御方が、御主人様のお母様に?何故…」


小首を傾げれば御主人様は懐かしそうに目を細める。


「彼女はかなり…まぁ、異端だったな。マリアンヌ、お前にそっくりだった」

「…私にそっくり?」


脳裏にあの女性が横切る。


「見目はもちろん、魔物を好いているのも同じだった。最後は探さないでください、なんて笑って言って、すぐ消えた。今もどこかで生きているのか、はたまた死んだか…もうわからんがな。あぁ、これが母上だ」


先程の本から写真を取り出す。
先程の、私と同じ特徴の女性。……お母様、だったのか。


「……」

「……マリアンヌ?」


どうしよう、恥ずかしい。顔にどんどん熱が集まっていく。
ご主人様のお母様を奥様と勘違いして、嫉妬なんて……

…嫉妬?


「……ご主人様」

「ど、どうした?紙で指でも切ったか?」

「……さ、先程、ご主人様のお母様を奥様と勘違いし、…昨日のき、き、…キス……も、ご主人様のお母様と同じ白い髪や、似た青い瞳で重ねたのかと…思って……」


言っているうちに恥ずかしくなってきてしまい俯く。そもそもあのキスだって、ただの気まぐれだったかもしれないし…

なんて、ぐるぐると考えていればどんっ!と何かを壊したような、重い音が部屋に響いた。


「!?」

「……いや、すまん、驚かせた」


顔をあげればご主人様の拳が壁にめり込んでいた。ぱらぱらと音を立て石の欠片と壁紙のクズが落ちる。


「ご、ご主人様!?」

「や、なんだ、少し興……壁を殴りたい衝動に駆られてな。すぐ治す、安心しろ」

「は、はぁ…」


拳を壁から外しそっと撫でればみるみるうちに壁が修復されて行く。魔法って素晴らしいですわね。


「マリアンヌ」

「は、はいなんでしょう」


修復された壁から目を離せばすぐ目の前にご主人様の端正な顔があった。
思わず息を飲み、目を見開く。ご主人様はその様子にくすりと笑うと私の頬を両の手で包み込んだ。


「昨日の口付けはマリアンヌにしたかったからしたものだ。自信を持て、お前は魔王の寵愛を受けているのだからな」

「……ちょう、あい?」


ちょうあい?……寵愛?ご主人様が?わたくしを?

次の瞬間、顔が燃えているんじゃないかと思うほど、熱くなりついでに意識も遠くなっていった_

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コメント

  • あおい

    マリアンヌかわいすぎます
    これからも頑張ってください!

    2
  • ノベルバユーザー207797

    いつも楽しく拝見させて頂いています(^-^)これからも頑張ってください!

    2
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