In defense of you

嘉禄(かろく)

Lies to protect

俺たちは、よく嘘をつく。


「どうかしたか?」
「ううん、なんでもない!」


君が心配してくれる度に、安心させたくて。


「なんかあったのか?」
「なんでもない、大丈夫だよ」


君が俺のせいで表情を曇らせるのは見たくないから。


「なにかありましたか?」
「何でもない、気にすんな」


お前にはいつも笑っていてほしいから。


…だけど、いつもうまくいかない。


「その顔はなんでもなくないだろう」

「お前の大丈夫は大丈夫じゃない」

「気にしますよ、何か隠してるでしょう?」


こういう嘘をつくと、なぜかより心配させてしまう。
こうなると、どうしていいか何を言えばいいか分からなくなる。
正直に言えばいいだけ、そう気づくのに時間はあまりかからない。
けど…言おうとしても喉元で引っかかって止まる。
だから…


「本当になんでもないって!」

「大丈夫じゃなかったら言わないよ」

「隠してない、思い過ごしだ」


こうして、俺たちはまた自滅の道へ一歩踏み出す。


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