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不本意ながら電波ちゃんの親友枠ってのになりまして

いわなが すみ

14.イベント回収お疲れ様です

帰宅すると、宗助がいつもの調子で飄々と笑っていた。

「杏のこと大好きだよ」

杏は聞き飽きたその宗助の言葉に、適当に頷いてこう言う。

「私も宗助のこと大好きだよ」

今まで何度も言われて言ってきた言葉だ。宗助は家族と疎遠だからか、杏によくこうやって確認してくるのだ。まるで5歳の子どものように。

何重にも占めているカギを開けられそうなとき、他人と違うことを暗に指摘されたとき、恐怖を感じた時にそれはやってくる。

「宗助何かあった?」
「…電波怖い」

杏は頭を抱えた。宗助の顔が本当に怖かったと言っていたからだ。逃げろとメールを打つも遅かったと反省した。

「電波になんて言われたの?」

杏はソファーに座って荷物を脇に置くと、宗助を手招いて隣に座らせた。
杏の隣にピッタリとくっついて座った宗助は、酷く疲れた顔をしており、ソファーに身を預けてぐったりと沈み込んだ。

「俺の味方だから無理するなって」
「ほう?」

杏は宗助の言葉に短く頷いて、その場面を想像してみた。
赤城宗助という人間は女の子をとっかえひっかえしており、交際は続いて1,2週間程度というのが生徒の認識である。が、実際はもっとひどく、お付き合いをする前に「お試し期間」というのを定めており、結局お付き合いする前にサヨナラしている。あるのは体の関係だけだ。

宗助は他人に言われる好きを信じていない。それが杏の見解だった。

杏や友里は身内に入るため、逆に執拗に愛を確認したがるとも思っている。

と言うことは、だ。桃華は面白いことに宗助の地雷を踏み抜いて行ったことになる。

「栗山さんすごいな。踏み抜いたんだね」
「床は抜けてないけど?」
「そういう意味じゃない」

杏は宗助の返事にデコピンを返した。

「いってぇ、今日は鼻とか肩とかおでこを攻撃されてる。やめて、これ以上俺をいじめないで」

宗助は自分の両肩を抱きしめて丸くなると、杏にここ慰めるとこだろ!と怒るふりをした。

「ほら二人ともごはんよ。杏は手を洗っていらっしゃい。今日は宗助くんも手伝ってくれたんだから、美味しいわよ」

友里が二人を注意すると、宗助は照れるのをごまかすように笑った。

杏はそんな宗助を見てめずらしいこともあるもんだと思って、手を洗いに洗面所へ向かった。
その日の晩ご飯はクリームシチューで、杏の母もだいぶん宗助に甘いなと杏は笑った。

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