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不本意ながら電波ちゃんの親友枠ってのになりまして

いわなが すみ

11.やっぱりあんたのこと大っ嫌いだわ

「おはよう杏ちゃん。さっそくで悪いんだけど、高緑先輩か赤城先輩よろしく」

もうはがれた化けの皮を顔面に貼り直すのが面倒なのか、桃華は朝から威圧エンジン全開で杏に声をかけてきた。顔はもちろん可愛く微笑んでいるし、口調も穏やかで話している内容が尻がる女のそれだ。

「今日文芸部行くでしょ?高緑先輩に会えるよね?」

杏は少し困った。高緑には今日文芸部の部室でこのことを話そうと思っていたのだ。こうなったら今日は仮病で放課後に保健室に直行しようか。

「赤城先輩でもいいよ。杏ちゃん本当は仲良しなんでしょ?赤城先輩と。このこと司くん知ってるのかな?赤城先輩が女遊び激しいって1年生にも情報回って来てるよ?」

桃華は杏が悩んでいる間にどんどん畳みかけてくる。だが桃華の言い分に杏は少し引っかかりを覚えた。もしかしたら桃華は宗助と杏がそういうちょめちょめな関係だと思っているのではないだろうか。ま、あまり顔も似ていないし従兄って言われないとわからないものだよなと思う。これなら宗助とのことはしらを切れそうだ。

「ごめん、その赤城先輩ってだれだろう?昨日も思ったんだけど言うタイミングがなくて」
「は?そんなわけないでしょ。杏ちゃん赤城先輩と寝てんじゃないの?」

カッと目を見開いた桃華がとんでもない爆弾を落として、クラス中が杏と桃華を見ていた。杏は昨日の先輩を思い出しながら、まだあの人の方がかっこよくて威厳があったなと考えていた。もしかしなくてもこの子は猫をかぶるのがドヘタなんじゃないだろうか。

「だから、その赤城先輩って人私知らないんだけど、桃華ちゃんは知ってるの?その人がどんな人か知ってるの?」

杏はわざと大きな声でそう言い返していた。少なからずお前に宗助を語られたくないという思いがあった。ざわざわとするクラスメイトを見て桃華はあわてて笑顔を取り繕った。

「違うよ!杏ちゃんが可愛いから先輩に泣かされないか心配なの」

目をうるうるさせて首を傾げた桃華は、萌え袖の両手を顎の下で軽く握りしめた可愛い(笑)ポーズをとってごめんねと謝った。

杏は萌え袖をギザギザのはさみで切ってやろうかと思った。何がごめんねなのかよくわからないし、営業謝罪はいりません。


それからの1日は悲惨だった。学校にいるときは桃華スタイルを崩さないようで、思ってもいないくせに杏ちゃん、杏ちゃんと杏の後ろをついて回って、じゃれてきていた。なかなかに滑稽ですこし自分の性格が悪くなってしまったと落ち込むくらい笑った。
一番面白かったのが尾白と3人でお弁当を食べるときである。相変わらず来週末のクッキーづくりの話で、ヘタな杏が作りやすそうなものを探して、こうするのはどうだろうかと永遠に話ていた。尾白の純粋な好意は嬉しかったが、桃華の言葉選びはいちいち杏をイラつかせ、公開処刑されている気分だった。


結局放課後になって、杏が文芸部に顔を出さずに校舎を出ていったのを見て、桃華は諦めて宗助を探しに行くことにしたようだ。イベント回収頑張ってねと心の中で呟いた杏は、こっそり引き返して文芸部の部室に滑り込んだ。

「おっと、忘れないうちに宗助に逃げろメールしなきゃ」

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