龍の生涯

クロム ジェル

お礼と教え

   クロエの家は伯爵家というだけとても大きく、部屋数も多かった。
また、メイドや騎士達の住まう寮も建てられており、伯爵家の使用人の数も相当な人数がいるようだ。

「この度は不詳な娘をお送り下さり誠にありがとうございました。」

「連絡を怠ったこと以外は何も思ってないから大丈夫だよ。」

「聞いた話によればオークの群れに襲われていた所を助けていただいたとも…なんと言えばいいか…」

「いえいえ、食料補給のついでみたいに助けただけだから、頭下げなくてもいいよ。」

「いえ、親として恩に対する態度はしっかりしなければ…お礼と言ってはなんですが、必要なものなどがございましたら何なりとお申し付けください。それと、少しではございますが、お金をご用意致しました。白金貨200枚…2億ペリカでございます。お納めください。」

「お金と言われても、これまで使わないでも生きて来れたからね…クロエに貰った金貸だけで充分だよ。」

断ろうとしたが人の街で生活する時に絶対に必要になると言われたり、持っておいても損は無いと力説されたためとりあえず貰っておくことにした。
確かに人の街でのご飯は美味しく量も人間達の食べる量を基準にして作られているため、僕の食べる量的に言ったらお金がかかることだろ………ご飯だけの為に貰ったんじゃ無いからね?……

受け取ったあと、これからの行動を聞かれたため、聖女に会うために旅をしていたこと、街に入るために身分証(僕の場合はギルドカード)を手に入れなければ行けないことを話すと、身分証が発行できるように手回ししてくれることと、出来るまでの間クロエの家…ミレーユ伯爵家の一室を使わせてくれることになった。

とりあえず、今日はもう夜になったので夕食をご馳走になった後寝るだけだ。明日にはギルドに行って魔物の解体と販売に挑戦してみようと思っている。

騎士団長に魔物の解体方法を知りたいと聞いた時に冒険者をやっている騎士団長の弟を明日ギルドに向かわせると言っていたので期待しよう。弟の都合が悪い場合は知り合いの冒険者を当たってみると言っていたので誰かは来てくれると思うしね。

待ち合わせ場所はギルドの酒場の席で、行く時は騎士団長が一緒に行ってくれて僕と解体方法を教えてくれる人を合わせたあと騎士練習に戻るらしい。

僕が「15歳だけど人間からしたら見た目8歳くらいにしか見えないから一緒に行かなくても大丈夫じゃない?」って聞くと騎士団長は知らない冒険者とかが構って来るかもしれないしなぁっと言って笑っていた。小さい声で結界があるとはいえ悪い考えの冒険者がいる可能性もあるしなと言っていたのを聞いてなんだか心が暖まる感じがして、お父さんがいたらこんな感じなのかなって考えが浮かんだのは頭の隅に追いやっておこう。




朝が来た…街の空は大樹の葉で覆い尽くしているのに光が窓から差し込んでいた。
朝食の時にその事を聞くと結界により光度を調整しているらしく、高度な結界を維持しているのはミレーユ伯爵家の前にある大樹、精霊王を祀っている樹らしい。

太陽のような温かさも感じられる為、すごく心地の良い光だった。玄関の塀の上で日向ぼっこをしながら大樹を眺めていると少し光ったような気がしたが一瞬の出来事だった為気の所為かな?

そこで時間を潰すつもりがいつの間にか寝ていたらしい。起きた時には騎士団長が近づいてきてそろそろ冒険者ギルドへ行きますよと声がかかった。
僕はそれに頷き騎士団長の後ろをついて行った。




街は人々により活気で溢れていた。
商店の店主が冒険者達に生還のお祝いをあげていたり、冒険者同士で今日はどこの酒場で飲むかや武器を新調しなきゃなと言った声、街の人々はとても元気で仲が良いみたいだ。

「バラドさんお久しぶりです。」

「あぁ、久しいなクリスティ」

「あら?後ろの子はバラドさんの息子さんですか?」

「ちげーよ。聖夜様はクロエお嬢様を助けてくれた方だ。今から聖夜様を冒険者ギルドに案内してクラリスに合わせるところだ。」

騎士団長と話しているエルフの女性はクリスティというらしい…スタイルが良く金髪のサイドアップがとても似合っていた。そして腰にはレイピアがある。…ていうか…騎士団長ってバラドっていう名前なのかな?…

「はじめまして、聖夜君でいいのかな?私はクリスティ、Aランク冒険者をしているの宜しくね?」

「呼び方は何でもいいよ。ぼくは聖夜、種族は龍で冒険者ランクはない仮登録状態だよ。」

「え…バラドさん…ほんとなの?…龍?」

「あぁ、そうだぞ。危険はないから大丈夫だ。敵対しない限りはだけどな。」

騎士団長を見ていたクリスティの疑いの目は何故かぼくを見る時にはキラキラと輝いていた。
クリスティから何故クラリスに会いにいくことになっているかと聞かれ魔物の解体の仕方を教えて貰うためと答えたら一緒に行くって言い始めて騎士団長が諦め気味に許可を出していた。騎士団長は僕の方を向いてギルドの酒場で軽食を奢るので同行させてやってくださいと少し頭を下げてきたので、ぼくも頷き3人でギルドへ歩き始める。

これから10分後ギルドに着いた為1階の奥にある酒場へ行き椅子?に座った……
上を向くとクリスティの顔がある…なぜこうなった…
椅子に座ろうとしたまではよかったのだが…
その瞬間クリスティの座る隣の席から抱き上げられて膝の上に座らされた…

「なにやってんの?」

「いいじゃない?減るもんじゃないし?」

「まぁいいけど…はぁ…」

「聖夜様…本当にすみません…」

「いやいいよ…」

騎士団長は何度もすみませんと繰り返してから注文してきますのでここでお待ちくださいといってカウンターへ向かっていった。

「クリスティ…なんでぼくの頭を撫でるの?」

「えへへーいいじゃないいいじゃない」

「はぁ…」

ぼくはクリスティにされるがままで騎士団長が戻ってくるのを待っていた。
しばらくしてサンドイッチを2皿分持ってきてくれたので、ありがとうと行って食べ始め、ぼくが食べている間、騎士団長とクリスティは会話をしており、食べ終わった直後ぼくは疑問に思っていた事を騎士団長に聞き始めた。

「そう言えば、騎士団長ってバラドって名前なの?」

「自己紹介がまだだったことを忘れておりました。私の名前はバルラルドと言います。バラドは幼少の頃からの愛称ですね。」

「なるほど、覚えたよ!バルラルドさん!」

「聖夜様、バラドでいいですよ」

「わかったよバラド、それで今日教えてくれる人は?」

「弟は依頼が今日からではダメだったので、私とクリスティの幼馴染であり、クリスティと同じAランクの冒険者です。役職は片手剣使いですね。そうそう、あそこに今入ってきた感じの貧にゅ…グハッ!?」

入口を見ると轟速で盾をバラドに投げた体制の女性、燃えるように綺麗な赤髪セミロングでスラッとしたスタイルのハーフエルフの女性がいた。








あ、この2人のどちらかがヒロインの予定です…今のところは…

本日2話目の投稿はサボったツケの精算ではありません!本当に違うからね?ほんとだよ?…うん…多分…違う…


次回解体…


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