龍の生涯

クロム ジェル

ミレーユ伯爵サイドと旅1日目の夜食

「報告します。銀龍が領地に入り都市に向かって来ていると情報が入りました。」

「そう…厳戒態勢で事にあたりなさい。」

銀龍が領地内に現れたのは知っていた。
でも、目的は知らないのだ。

私は領軍を動かし警戒をさせてるが不思議と不安な感じがしない。
何故この都市に来るのだろう程度にしか思えないのだ。

普通龍と言えば触れてはならないもの、見たら終わりなどと言われており、関わる事すら無い関わる事を躊躇する生物。

なのに何故厳戒態勢を取らせたかと言うと領民に不安を与えない為なので、私の心情を理解してる人はこの中にはいないだろう。

「ギルドと連携した方が良いのでは?」

「ギルドと連携することでも無いわ。それにこの街の周りはモンスターが少ないのですもの冒険者と言えど弱い子達が集まったら邪魔でしか無いわ。Sランカーが居る事を期待するけども希望的観測でしか無いもの。」

「では、街の人々はどうしましょう。」

「精霊結界が動いている以上悪の心を持ったものは入れないわ。闘う事になっても街の外になるのではなくて?」

そう、この街は精霊結界により護られており悪や邪の心を持っていると通過できない仕組みとなっている。
魔物や盗賊などはもちろんのこと、一般人や貴族でもこの街を害する為にやってきたら結界によりはじき出される事になる。

今回の龍の件だけれど、龍は魔物とは違い牛や犬、人と同じように生物の分類に属すもので、悪や邪な心を持っている場合ここには入ってこれないのだが、ただ訪れるのには結界が作動しない。

しかし、問題もあり中に一回入ってしまった後なんらかのきっかけで悪の心を持った者を外に出す事は出来ないのだ。

なので、龍が街に入って来る場合の対処は穏便に済ませるしかない。
下手に刺激をしてしまうとこちら側がやられてしまうから…はぁ…








「今日はここら辺で野宿でいい?」

「はっはい!」

街を発った後、ぼくたちは日が傾き夕暮れ時となる前に平野に降りて野宿する為の準備を始めた。

ぼくが収納していたアイテムの中から荷馬車を出して寝床焚き火よ準備を騎士達が整えている。
その間メイドはクロエと飲み物の用意や食材の調理をしていた。

「焚き火の用意が出来ました。」

「鍋の用意が出来たので火にかけてもらえる?」

「はい!承知しました。」

あ…野菜多めなのか…
肉が…いい…肉肉肉肉ーー!!

「聖夜様?」

「うん?」

「なんでヨダレ垂らしながら顔は真っ青なのですか?」

流石に肉が食いたいとは言えないよね…

「い、いや!量が少ないんじゃないかなー?って思っただけだよ!」

「ホントは?」

「ホ、ホントダヨ!!た、足りなそうだからこれを焼いてくれる?」

そう言いぼくはアイテムボックスからロイヤルボアと呼ばれるイノシシの魔獣を出した。
この肉は柔らかくて焼くと肉汁が肉の中から外へ出にくく味わい深い。
今まで食べてきた肉の中では上位に入る味がする。

「ロ、ロイヤルボアですか!?」

「うん、時間が経過しない収納魔法で保存してたから捕まえたばかりの状態だよー」

「こんな高級食材持ってるのですか…煮込むと味を整えてくれて、焼くと肉の味を良くする。生で食べると後味を楽しめる滅多に市場に出回らない希少な食材じゃないですか!!」

「ぼくは生より焼いた方が好きだったけど、煮込んだのは食べたことないな。」

「あ、あの!!この肉私達も頂いて良いでしょうか??対価はお支払いするので!!」

「ん?いいよー?その代わり解体とかはやってくれると助かる。」

クロエや騎士達はありがとうございますと言ってロイヤルボアの解体を始める。
メイドに少し話を聞いたところ度での食事は黒パンと干し肉野菜を使った料理が殆どで、生肉を食べるれる事は少ないらしい。しかもロイヤルボアなどの高級食材は貴族の食卓であってもなかなかお目にかかれないほどの食材でそれを旅の途中で食べれる事をすごく喜んでいるらしい。


「料理が完成しました。こちらがロイヤルボアの肉を入れて煮込んだスープと黒パン、骨などを取って焼いたロイヤルボアの肉になります!!」

クロエと騎士が一緒に大きい皿に盛った肉とスープを持ってきてくれた。
盛り付けにも少し凝っているのかミリアムレアに焼かれた肉と散りばめられた香辛料、3つ葉で飾られており、香ばしい匂いがお腹の減りを急激に加速させる。

「ふふっ、ヨダレが垂れてますよ聖夜様。ちゃんとスープも野菜よりお肉を多めにしておきましたからね。」

ば、バレてた???

「あ、ありがとう」

「いえいえ、どういたしまして」

「それでは、クロエお嬢様、皆で食べ始めましょう」

騎士がクロエを座るように促し、みんなで頂きますといい食べ始めた。
ロイヤルボアの肉は前食べた時と違い香辛料で味付けもされておりとても美味しいもので、すぐ食べ終わってしまった…
スープはロイヤルボアの油がスープ全体の味をまとめており、味良しの油ぽさがあまり感じられずあっさりとした仕上がりとなっており飲みやすい。
この組み合わせならいくらでも食べられそうだった。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品