ノスタルジアの箱
いたずら星みっけ
下弦の月が嫉妬するから
流星群は はっきりとは見られないんだって聞いた
8月のはくちょう座、12月のふたご座
こぐま座も見れるといいのに シャケ抱えてるかもね
だから、特別な双眼鏡を準備して
だいすきなドーナツをくわえて、見えても見えなくてもいいことにしよう
ぼくは 別に 君と手をつなげたら、それでいい
ドーナツを半分こできれば、尚の事いい
*
あの夜、君に送ってしまった 書き損じのメール
流星ずきな君を 密かに さりげなく誘いたくて
流れ星って書くつもりで、らっかせいって打ってしまったら
何故か 落花生じゃなくて、落下星に変換された
そうしたら、もう 「落下星」の方が断然いい気がして、説明もなく使っちゃった
それを、君はとても気に入って
今でも、そっとミミモトで言うと 目に星が入る合言葉
*
時折、不安定な空模様の雨が
豹変して、雹《ひょう》に変わることがあるね
まるで怒ってるみたいに、空から刺さる氷の粒
降っている間は、決して近付いちゃいけない
過ぎ去ってから、そっと落とし物を見に行くとね
中に、星の形をしているものが混ざってるんだ
金平糖みたいに 透明の姿に光を内包した、あれが
落下星が 地球まで 到着したものなんだ
四つ葉のクローバーと同じように
見つけた人はいいことがあるんだって
言い伝えだけど、ほら、ぼくが 君と一緒にいることが
きっとそうだよって、てのひらに 金平糖をのせてみる
満天の夜空の下の 一人占めの特権
幾つもの夏を 二人で過ごせたらいい この先も
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