苦役甦す莇
Another:Episode10 I know who you are
俺は川の流れを利用し、随分と遠くまで来ていた。そして、川の周辺に小さな村のようなものが見えると、俺は地上へと上がった。
「結構移動したな......ゴク、さっき壊れちまったホムンクルスはどうだ? 修理出来そうか?」
「修繕出来る道具を使ってるが、まぁまだちょっと時間がかかりそうだ。ホムンクルスが直り次第、病院に戻って、ヨギを回収して、クール時間終了のタイミングで時空の扉を使えばOKだろうさ。」
「じゃあホムンクルスが直るまで、ちょっとあそこの村に寄ってみようか。」
「お、村に入るならこれだけ持っておけ。」
ゴクは俺の手に何か渡してきた。それは、サリューと話す時や、さっき襲ってきた連中と話す時に持たされた物だった。
「これはなんて言う道具なんだ?」
「これは『エイリンガル』て道具だ。」
「言語の壁を無くすなんてなかなか便利だな。これもレベル1なんだろ?」
「そうだ。お前にレベル3以上はまだ早すぎる......と言うか使ったお前が死にかねない。」
「ちぇっ......まぁいいや。お、村の入口に着いたぜ。」
俺は村に入ると、周りに居た者が、俺の事をじっと見てきた。そして、何やらボソボソと話し始めた。
「なんだなんだ? この居心地の少し悪い感じのする雰囲気は?」
(さぁ? 俺の顔になんかついてんのかな?)
そんな風に俺が暢気に構えていると、いきなり村の奥の方から、一人の老婆が歩いてきた。
「なんだいバァさん? 俺になんか用かい? この村の人めちゃくちゃ俺の事見てくるんだけど、なんかあったわけ?」
俺は第一村人として会話してくれそうなバァさんに向かって話しかけた。
「なんか用かいじゃないわァ! このバカタレが! 今更どの面下げて帰ってきた!」
「は?」
俺は訳が分からなかった。いきなり見ず知らずの婆さんに怒られている。しかも『帰ってきた』などと言った。
「バァさん、なんか人違いしてないか? 俺ァこんな所初めて訪れたぜ? バァさんの知り合いとクリソツなだけの別人なんじゃないか?」
「いいや! そんな事は無い! お前は間違いなく、レーア・アソートだろ!?」
「レーア......アソート? いやいやいやいや、違いますよ。俺の名前はサイ・イスルギ。レーア・アソートなんて名前じゃないっスよ。」
「何を言うか! その顔! 絶対忘れることは無い! だって孫の顔なのだから!」
「孫? 俺がバァさんの孫ってか? バカ言っちゃいけねぇよ。どんだけ俺と似てんだよ、そのレーアとかいう奴。
とにかく、俺は別人! 何をどう言おうと、俺はサイ! サイ・イスルギだかんね!」
俺とバァさんが口論していると、そこに一人の若い男の人がやってきて「まぁまぁ」と仲裁に入った。
「モガ婆さん、どうやらコイツはホントにレーアじゃないみたいだ。レーアと喋り方が若干違うし、それにレーアなら他に一緒に出ていったヤツらと一緒に戻ってくるハズだろ?
すまんなサイさん。モガ婆さんは、レーアが非行に走って村を出て行ったことを、未だに引きずってんだ。
アンタはあまりにもレーアに似すぎている。生き写しって良いくらいにな。」
「いえいえ、こちらこそすみません。なんか要らない誤解を招いちゃったみたいで。」
「サイ君、今日の宿とか家に帰る目処はあるのかい?」
「宿の方は心配ありません。だけど、ちょっとメシのことが心配で......」
「なるほど......じゃあうちに来るといい!」
「シュン! なに勝手な事を!」
「モガ婆さんは黙ってて! 婆さんもうちっと考えを柔軟にしてくれよ。考えが堅いから、レーア達に村から出ていかれちまったんだろうが!」
「......そうかい。じゃあ好きにしな。」
「すみません......ご厄介になります。」
「なになに、気にすんなって。」
一方、病院前にて対峙する2人の雄。料理人修行中のヨギと、死刑執行待機中のティフォル。
「凡そ......教育らしい教育は何一つ受けちゃいねぇが、2つだけ他人に負けねぇと自負してるものがある。」
「なんだ?」
「それは腕っぷしと......」
ティフォルがそう言うと、近くにある石ころをまた拾い上げた。そしてこう続けた。
「負けん気かな?」
またもティフォルはヨギを容赦なく殴りつけた。普通の人間なら頭がかち割れて脳みそグジュグジュ飛び出さているレベルだが、この世界の血が混ざったヨギには1ミリも通用しなかった。
「おいおい......テメェの言う『誰にも負けん腕っぷし』ってのは、まさかこんな『ナデナデ』のことじゃねぇよなぁ?」
ヨギは思い切り拳を握り、ガラ空きになっていたティフォルのどてっぱらに一撃ぶち込んだ。
「なわけ......ねぇだろうが!」
ティフォルは新たな一撃を放とうとしたが、ヨギの顔面に当たる寸前に、ヨギの右手によって阻まれてしまった。
「残念ながら......お前は俺に及ばない。」
ヨギはティフォルの右手を握ったまま、手をグルンと回した。すると、ティフォルは普通なら曲がらない方向に腕を曲げられ、痛みのあまり悶絶し始めた。
その様子を、ミカが病院の中から見ていた。そして大きな溜息を一つだけついた。
「はぁ......見てらんないね......ティフォル! そろそろ潮時だよ! ここにゴクはいなかった!」
そう言ってミカは、ティフォルの右肩に向けて一枚のカードを投げた。投げられたカードはティフォルの肩に突き刺さり、そこでミカは呪文を唱え始めた。
「空の魔力よティフォルに無限の力を与え給え......カエルム・アル・ラー・ニハーヤ・メギンギョルズ!」
ミカの呪文詠唱が終わると、ティフォルの肩に刺さったカードは彼の肉体へ吸収され、その詠唱の通り、彼は湧き上がる無限の力で目覚めた。
「うおあああああああ!」
ティフォルの内から湧き出る膨大なエネルギーは、彼の右腕を異形のものへと変形させた。
「うおっ!? なんだ!?」
居直り強盗の如くいきなり凄み始めたティフォルの様子を見て、ヨギは少しビビり、気圧されてしまった。
「はぁっ!」
ティフォルは、その異形となった右の拳を思い切り突き出した。すると、その拳がヨギに直接触れはしなかったものの、とてつもない衝撃波を放ち、ヨギの肉体を奥の雑木林へと吹き飛ばしてやった。
「おぉ......こりゃ凄い......ふふふ......ははははは! あーっはははははは!」
ティフォルは今まで持っていなかった大きな力を手にし、いきなり玩具を手にした幼児のように喜び、高笑いをその乾いた空に響き渡らせた。
「ティフォル! 行くよ! さっきも言ったけど、ここにはゴクはいなかった!」
「あぁミカ。分かったぜ。」
俺らはシュンという青年に導かれるまま、彼の家へと招かれた。
「お、大きいですね。こんなに家の中が広いなんて思いませんでしたよ......」
「まぁ、この辺の気候の特性上、地上に大きい建物は建てられないからね。地下に掘っていく技術が発達してて、外見では分からないほど大っきい家が作られるんだよ。」
シュンは俺に色々説明しながら、とある部屋まで案内してくれた。
「この部屋は?」
「今日はこの部屋で寝泊まりするといい。ホントは姉さんの部屋なんだけど、今日帰って来れないそうだから好きに使っていいよ。」
「姉さん? 女の人の部屋なのに貸してくれるってか......? 男の俺に......?」
「あぁ、まぁ、姉さんは生身の人間じゃないから。多分そんな事気にしないと思うよ。」
「生身の人間じゃない?」
「ん? あぁ、サイ君は他所からやって来た人だから知らないのか。この辺はロボット産業が栄えていてね。鋼鉄の肉体を持つロボットはここら辺じゃ生活の一部に組み込まれているんだ。
建築用ロボットやら、介護用ロボットやら、経理用ロボットやらがいてね。そんな沢山ある種類の中に家族用ロボットってのがあって、その家族用ロボットの中にも沢山種類があって、その数ある中の『Pシリーズ』と呼ばれてる群の一体が俺の姉さん。名前はカエデって言うんだ。」
「なるほどね。じゃあ少しは遠慮なく使える感じかな......まぁロボットとは言え女性の部屋だから、やっぱり少しビビっちまうけど。」
「ははは......別に構わないよ。さ、どうぞ。入って入って。」
「ほんとに申し訳ない。ありがとう。」
俺は勧められるままに部屋へ足を踏み入れた。部屋の中は整然と整えられていて、住んでいる人の性格が手に取るように分かった。
「それじゃあ、晩メシが出来たら呼ぶよ。あ、トイレはこの部屋のすぐ隣だから。」
シュンはそう言い残し、ドアをパタンと閉めた。部屋には俺とゴクだけになり、俺は何となく置いてあったベッドに座ってみた。
「なぁゴク。」
「なんだ?」
「取り敢えず、落ち着ける場所の獲得には至ったから、ここにヨギを呼びたいんだ。ヨギの所へ戻るよりよっぽど安全策だろ?」
「そうだな。じゃあ、サリューも一緒にヨギのことをここに連れてくるか。」
「何か良い道具があるのか?」
「あぁ。これとこれだ。」
ゴクは部屋の床に道具を2つ吐き出した。他人の部屋でコイツは平常運転かよと思う反面、少し申し訳ない気持ちが出てきた。
「メガネと......ガラスのボール?」
「メガネの形をしているのは『千里眼鏡』で、ガラスのボールの形をしているのが『渾天法螺璃』だ。
千里眼鏡を装着すれば、この星のありとあるゆる場所を視ることが出来る。それでヨギとサリューを探し出す。その後コンテンポラリーを使い、コンテンポラリーに今現在のこの星を映し出し、サリューやヨギが居る場所と同じ場所をタッチすれば、ここに呼び出すことが出来る。」
「了解だ。じゃあ呼び出すとするか。」
「結構移動したな......ゴク、さっき壊れちまったホムンクルスはどうだ? 修理出来そうか?」
「修繕出来る道具を使ってるが、まぁまだちょっと時間がかかりそうだ。ホムンクルスが直り次第、病院に戻って、ヨギを回収して、クール時間終了のタイミングで時空の扉を使えばOKだろうさ。」
「じゃあホムンクルスが直るまで、ちょっとあそこの村に寄ってみようか。」
「お、村に入るならこれだけ持っておけ。」
ゴクは俺の手に何か渡してきた。それは、サリューと話す時や、さっき襲ってきた連中と話す時に持たされた物だった。
「これはなんて言う道具なんだ?」
「これは『エイリンガル』て道具だ。」
「言語の壁を無くすなんてなかなか便利だな。これもレベル1なんだろ?」
「そうだ。お前にレベル3以上はまだ早すぎる......と言うか使ったお前が死にかねない。」
「ちぇっ......まぁいいや。お、村の入口に着いたぜ。」
俺は村に入ると、周りに居た者が、俺の事をじっと見てきた。そして、何やらボソボソと話し始めた。
「なんだなんだ? この居心地の少し悪い感じのする雰囲気は?」
(さぁ? 俺の顔になんかついてんのかな?)
そんな風に俺が暢気に構えていると、いきなり村の奥の方から、一人の老婆が歩いてきた。
「なんだいバァさん? 俺になんか用かい? この村の人めちゃくちゃ俺の事見てくるんだけど、なんかあったわけ?」
俺は第一村人として会話してくれそうなバァさんに向かって話しかけた。
「なんか用かいじゃないわァ! このバカタレが! 今更どの面下げて帰ってきた!」
「は?」
俺は訳が分からなかった。いきなり見ず知らずの婆さんに怒られている。しかも『帰ってきた』などと言った。
「バァさん、なんか人違いしてないか? 俺ァこんな所初めて訪れたぜ? バァさんの知り合いとクリソツなだけの別人なんじゃないか?」
「いいや! そんな事は無い! お前は間違いなく、レーア・アソートだろ!?」
「レーア......アソート? いやいやいやいや、違いますよ。俺の名前はサイ・イスルギ。レーア・アソートなんて名前じゃないっスよ。」
「何を言うか! その顔! 絶対忘れることは無い! だって孫の顔なのだから!」
「孫? 俺がバァさんの孫ってか? バカ言っちゃいけねぇよ。どんだけ俺と似てんだよ、そのレーアとかいう奴。
とにかく、俺は別人! 何をどう言おうと、俺はサイ! サイ・イスルギだかんね!」
俺とバァさんが口論していると、そこに一人の若い男の人がやってきて「まぁまぁ」と仲裁に入った。
「モガ婆さん、どうやらコイツはホントにレーアじゃないみたいだ。レーアと喋り方が若干違うし、それにレーアなら他に一緒に出ていったヤツらと一緒に戻ってくるハズだろ?
すまんなサイさん。モガ婆さんは、レーアが非行に走って村を出て行ったことを、未だに引きずってんだ。
アンタはあまりにもレーアに似すぎている。生き写しって良いくらいにな。」
「いえいえ、こちらこそすみません。なんか要らない誤解を招いちゃったみたいで。」
「サイ君、今日の宿とか家に帰る目処はあるのかい?」
「宿の方は心配ありません。だけど、ちょっとメシのことが心配で......」
「なるほど......じゃあうちに来るといい!」
「シュン! なに勝手な事を!」
「モガ婆さんは黙ってて! 婆さんもうちっと考えを柔軟にしてくれよ。考えが堅いから、レーア達に村から出ていかれちまったんだろうが!」
「......そうかい。じゃあ好きにしな。」
「すみません......ご厄介になります。」
「なになに、気にすんなって。」
一方、病院前にて対峙する2人の雄。料理人修行中のヨギと、死刑執行待機中のティフォル。
「凡そ......教育らしい教育は何一つ受けちゃいねぇが、2つだけ他人に負けねぇと自負してるものがある。」
「なんだ?」
「それは腕っぷしと......」
ティフォルがそう言うと、近くにある石ころをまた拾い上げた。そしてこう続けた。
「負けん気かな?」
またもティフォルはヨギを容赦なく殴りつけた。普通の人間なら頭がかち割れて脳みそグジュグジュ飛び出さているレベルだが、この世界の血が混ざったヨギには1ミリも通用しなかった。
「おいおい......テメェの言う『誰にも負けん腕っぷし』ってのは、まさかこんな『ナデナデ』のことじゃねぇよなぁ?」
ヨギは思い切り拳を握り、ガラ空きになっていたティフォルのどてっぱらに一撃ぶち込んだ。
「なわけ......ねぇだろうが!」
ティフォルは新たな一撃を放とうとしたが、ヨギの顔面に当たる寸前に、ヨギの右手によって阻まれてしまった。
「残念ながら......お前は俺に及ばない。」
ヨギはティフォルの右手を握ったまま、手をグルンと回した。すると、ティフォルは普通なら曲がらない方向に腕を曲げられ、痛みのあまり悶絶し始めた。
その様子を、ミカが病院の中から見ていた。そして大きな溜息を一つだけついた。
「はぁ......見てらんないね......ティフォル! そろそろ潮時だよ! ここにゴクはいなかった!」
そう言ってミカは、ティフォルの右肩に向けて一枚のカードを投げた。投げられたカードはティフォルの肩に突き刺さり、そこでミカは呪文を唱え始めた。
「空の魔力よティフォルに無限の力を与え給え......カエルム・アル・ラー・ニハーヤ・メギンギョルズ!」
ミカの呪文詠唱が終わると、ティフォルの肩に刺さったカードは彼の肉体へ吸収され、その詠唱の通り、彼は湧き上がる無限の力で目覚めた。
「うおあああああああ!」
ティフォルの内から湧き出る膨大なエネルギーは、彼の右腕を異形のものへと変形させた。
「うおっ!? なんだ!?」
居直り強盗の如くいきなり凄み始めたティフォルの様子を見て、ヨギは少しビビり、気圧されてしまった。
「はぁっ!」
ティフォルは、その異形となった右の拳を思い切り突き出した。すると、その拳がヨギに直接触れはしなかったものの、とてつもない衝撃波を放ち、ヨギの肉体を奥の雑木林へと吹き飛ばしてやった。
「おぉ......こりゃ凄い......ふふふ......ははははは! あーっはははははは!」
ティフォルは今まで持っていなかった大きな力を手にし、いきなり玩具を手にした幼児のように喜び、高笑いをその乾いた空に響き渡らせた。
「ティフォル! 行くよ! さっきも言ったけど、ここにはゴクはいなかった!」
「あぁミカ。分かったぜ。」
俺らはシュンという青年に導かれるまま、彼の家へと招かれた。
「お、大きいですね。こんなに家の中が広いなんて思いませんでしたよ......」
「まぁ、この辺の気候の特性上、地上に大きい建物は建てられないからね。地下に掘っていく技術が発達してて、外見では分からないほど大っきい家が作られるんだよ。」
シュンは俺に色々説明しながら、とある部屋まで案内してくれた。
「この部屋は?」
「今日はこの部屋で寝泊まりするといい。ホントは姉さんの部屋なんだけど、今日帰って来れないそうだから好きに使っていいよ。」
「姉さん? 女の人の部屋なのに貸してくれるってか......? 男の俺に......?」
「あぁ、まぁ、姉さんは生身の人間じゃないから。多分そんな事気にしないと思うよ。」
「生身の人間じゃない?」
「ん? あぁ、サイ君は他所からやって来た人だから知らないのか。この辺はロボット産業が栄えていてね。鋼鉄の肉体を持つロボットはここら辺じゃ生活の一部に組み込まれているんだ。
建築用ロボットやら、介護用ロボットやら、経理用ロボットやらがいてね。そんな沢山ある種類の中に家族用ロボットってのがあって、その家族用ロボットの中にも沢山種類があって、その数ある中の『Pシリーズ』と呼ばれてる群の一体が俺の姉さん。名前はカエデって言うんだ。」
「なるほどね。じゃあ少しは遠慮なく使える感じかな......まぁロボットとは言え女性の部屋だから、やっぱり少しビビっちまうけど。」
「ははは......別に構わないよ。さ、どうぞ。入って入って。」
「ほんとに申し訳ない。ありがとう。」
俺は勧められるままに部屋へ足を踏み入れた。部屋の中は整然と整えられていて、住んでいる人の性格が手に取るように分かった。
「それじゃあ、晩メシが出来たら呼ぶよ。あ、トイレはこの部屋のすぐ隣だから。」
シュンはそう言い残し、ドアをパタンと閉めた。部屋には俺とゴクだけになり、俺は何となく置いてあったベッドに座ってみた。
「なぁゴク。」
「なんだ?」
「取り敢えず、落ち着ける場所の獲得には至ったから、ここにヨギを呼びたいんだ。ヨギの所へ戻るよりよっぽど安全策だろ?」
「そうだな。じゃあ、サリューも一緒にヨギのことをここに連れてくるか。」
「何か良い道具があるのか?」
「あぁ。これとこれだ。」
ゴクは部屋の床に道具を2つ吐き出した。他人の部屋でコイツは平常運転かよと思う反面、少し申し訳ない気持ちが出てきた。
「メガネと......ガラスのボール?」
「メガネの形をしているのは『千里眼鏡』で、ガラスのボールの形をしているのが『渾天法螺璃』だ。
千里眼鏡を装着すれば、この星のありとあるゆる場所を視ることが出来る。それでヨギとサリューを探し出す。その後コンテンポラリーを使い、コンテンポラリーに今現在のこの星を映し出し、サリューやヨギが居る場所と同じ場所をタッチすれば、ここに呼び出すことが出来る。」
「了解だ。じゃあ呼び出すとするか。」
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