苦役甦す莇

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Re:EpisodeX GoldeN WinD & MaplE


 ある晴れた秋の日。カエデはとある公園を訪れていた。

 ゆっくりとベンチの腰をかけると、ふと足元に広がる落ち葉が目に入った。

「紅葉......楓の葉......」

 カエデは地面から一枚、楓の葉を拾い上げると、それをゆっくりと眺めた。

「Happy Birthday  To Me......」

 眺めていると、ふと、視界に仲良く遊ぶ子供達が視界に入った。

「私も、もう18歳か......早いなぁ。」

 瞬間、ゴウっと大きな風が1つ吹いて、カエデが手に持っていた楓の葉を吹き上げた。

「......私よ、風に乗ってどこまでも飛んでゆけ......」

 その風は、黄金色に染まっていた。



「おーい! カエデ〜!」

 ふと、公園の入口の方からカエデの名を呼ぶ声が聞こえた。カエデがそちらを向くと、見慣れた彼女がいた。


「ソウ......」


 奏はトコトコと楓の所まで歩いてきて、嬉しそうな気持ちを押し殺せない表情でこちらを見てきた。

「カエデ、誕生日おめでとう!」

 奏は楓に、一つの小包を手渡してきた。そして、楓は嬉しい気持ちと高ぶる気持ちが混ざった気持ちで、その小包を受け取った。


「ありがとう。」

 カエデは満面の笑みをソウに見せた。晴れやかで、なんの曇りも無い純粋な笑顔を。


「開けてみてよ。」

 カエデはソウに促されるがまま、小包を開けてみた。すると、そこには楓の葉っぱを模した髪飾りが入っていた。


「つけてもいい?」

「もちろん。」


 カエデは頭にその髪飾りを付けた。そして、ゆっくりと手を下ろした。


「どう......かな?」


「あっ......」


「あっ......?」


「語彙力が溶けるほど可愛い......というか......尊い......!」


「そんなに?」


「すごく可愛いよ!」

 ソウは勢いに任せてカエデに抱きついた。カエデは、そんなソウを受け入れ、頭をポンポンと撫でた。


「もう......私そんなに可愛くないよ......」


「何を言うか! カエデはこの世で1番可愛い存在ですぞ! ボクにとってNO.1だよ!」


「ありがとね。っと、そろそろ時間だ。」


「時間って、今日何か予定あるの?」


「今日は私の誕生日でもあるし、お父さんの命日だから。お母さんとお父さんの思い出の場所巡りしてて、これから電車に乗らなきゃ。」


「なるほど! じゃあボクも一緒に行くよ!」


「オッケー。じゃ、行こっか。」


 2人は公園を出て駅に向おうとした。しかし公園を出る瞬間、ソウは誰かにぶつかってしまった。

「あたっ! あ、すみません!」


「いえいえ、こちらこそすみません。お怪我はありませんか?」


「大丈夫です......って、あれ?」


「どうかしました?」


「えーっと......人違いなら申し訳ないんですけど、どこかでお会いしませんでした?」

 ソウは、ぶつかってしまった女性に、何故かどこかで会ったような気がしたのだ。そしてそれはカエデも同じだった。


「ん......無いと思うんですけど、私も貴女達にどこか見覚えが......」


「友達がぶつかってしまってすみません。ただ、私たち急いでるので行ってもよろしいでしょうか?」


「ん、あ、全然構いませんよ。」


「すみませんでした。」
「すみませんでした。」

 2人は頭を下げ、公園から立ち去ろうとした。その瞬間、その女性の横に男が見えたような気がした。


「なんだろ......この違和感......やっぱりどこか会ったような......ま、いっか。」


 2人はその場を後にし、公園には先ほどの女性だけが残った。


「結構枯れてしまったな......まぁ、春になればまた芽吹くんだろうけど。なんだか少し寂しさを感じるな。」

 女性はゆっくりと枯れ木に触れてみた。すると、枯れ木にはナイフでつけたキズのようなものがあった。


「木は常に全てを物語っているな。」

 そう言うと女性は、小さな鎖を枝に引っ掛けて、その場を後にした。


 その瞬間、木から1羽の鷲が飛び去った。その鷲は高く高く、どこまでも高く飛翔した。

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