愛殺―あいころ― 番外編・イラスト
媚薬チョコレートどっちが食べる?
アヴィルは説明とチョコレートをじっと見つめたあと、メアリの方に声を放った。
「俺が食うと抑えきれねえからさ、メアリ食って」
「え……でもこれ魅惑魔法みたいな感じなのよね? そうだとしたら記憶がなくなっちゃうし……」
「記憶はあんだろ。ちょっとムズムズするだけ」
「ムズムズ……」
「メアリは元々性欲みたいのないし、きっと大したことねえって。だから、頼む。俺が飲んだらメアリが傷つくことになる」
「そうなの……?」
「あぁ。襲っちまうと思うぜ」
「こ、この前みたいに?!」
「そーそー。それだと怖いだろ?」
「そうね……分かったわ……」
メアリはチョコレートを食べた。
すぐに体が熱くなっていく。アヴィルを見ると、いつもよりもずっと格好よく見える。今もアヴィルはメアリのことを、茶目っ気のある瞳で見つめている。
メアリはソファの上をゆっくり動いて、アヴィルの方に近づいた。
「あ、アヴィル……」
メアリが上目遣いでアヴィルを見た。メアリの目は潤んで、頬が赤くなっている。耳まで赤い。アヴィルの手にメアリの手が重なった。メアリの身体がいつも以上に熱い。
甘えるようにして近付いてきたメアリを見て、アヴィルの心拍が急激に激しく打ち始めた。
 
(やべー。ちょうかわいい。
俺のこと見てる。あー、俺が食べるべきだったかも。どっちにしても抑えきれねえ。
かわいい。食いたい。勘弁しろよな……)
「大丈夫かよ」
アヴィルは恐る恐る手を出して、メアリのことを抱きしめた。メアリの体の温度が伝わっていく。メアリはアヴィルの方を見上げた。アヴィルの胸元の服を掴んで、吐息混じりに言う。
「アヴィル……、キス、する……」
「あー、やばい。メアリのせい」
アヴィルの赤い瞳が見開いて、爛々と輝く。首筋にみるみる新緑の鱗が並んでいく。メアリを抱く右腕を強くしたあと、左手でメアリの顎を掴んだ。
「目瞑って」
メアリが瞼を閉じたのを見て、アヴィルの唇が薄く開く。尖った歯の隙間から二本の下がチロチロ蠢き、そのまま唇に蓋をした。
**********************
ラムズは媚薬入りのチョコレートを手に持って、メアリに言う。
「メアリが食べるとおかしくなるからな。俺が食べる」
「ラムズだとおかしくならないの?」
「知らない。だがあんたよりはマシだろう」
メアリが止める間もなく、ラムズはチョコレートを食べた。何も起こらない。やはり媚薬の効果はラムズにはなかった。だがメアリが心配そうにこちらを見ているのに気付いて、ラムズの頭の中で唇が嗤った。
ラムズはメアリの腕を引いて、自分の胸に連れ込んだ。そのまま抱き締める。
「お、おかしくなってるじゃない!」
「メアリ……」
「な、なに……。大丈夫……?」
「大丈夫じゃない」
ラムズはメアリの首元に唇を落とした。メアリがびくんと肩を震わせる。ラムズの胸を叩いて、離れようとした。
「だ、だめ……!」
「無理……メアリ、なあ、キスしよ?」
「ダメだってば!」
ラムズは首筋にキスをすると、その唇をつうっと動かした。メアリが硬直している。ラムズは密かにほくそ笑んだあと、顔を上げる。
「ダメだってば……」
「悪い、俺も無理」
ラムズはメアリの顎を掴み、じっとメアリを見つめた。メアリは固まったまま動かない。ラムズは青い瞳を細めると、唇を落とした。
「俺が食うと抑えきれねえからさ、メアリ食って」
「え……でもこれ魅惑魔法みたいな感じなのよね? そうだとしたら記憶がなくなっちゃうし……」
「記憶はあんだろ。ちょっとムズムズするだけ」
「ムズムズ……」
「メアリは元々性欲みたいのないし、きっと大したことねえって。だから、頼む。俺が飲んだらメアリが傷つくことになる」
「そうなの……?」
「あぁ。襲っちまうと思うぜ」
「こ、この前みたいに?!」
「そーそー。それだと怖いだろ?」
「そうね……分かったわ……」
メアリはチョコレートを食べた。
すぐに体が熱くなっていく。アヴィルを見ると、いつもよりもずっと格好よく見える。今もアヴィルはメアリのことを、茶目っ気のある瞳で見つめている。
メアリはソファの上をゆっくり動いて、アヴィルの方に近づいた。
「あ、アヴィル……」
メアリが上目遣いでアヴィルを見た。メアリの目は潤んで、頬が赤くなっている。耳まで赤い。アヴィルの手にメアリの手が重なった。メアリの身体がいつも以上に熱い。
甘えるようにして近付いてきたメアリを見て、アヴィルの心拍が急激に激しく打ち始めた。
 
(やべー。ちょうかわいい。
俺のこと見てる。あー、俺が食べるべきだったかも。どっちにしても抑えきれねえ。
かわいい。食いたい。勘弁しろよな……)
「大丈夫かよ」
アヴィルは恐る恐る手を出して、メアリのことを抱きしめた。メアリの体の温度が伝わっていく。メアリはアヴィルの方を見上げた。アヴィルの胸元の服を掴んで、吐息混じりに言う。
「アヴィル……、キス、する……」
「あー、やばい。メアリのせい」
アヴィルの赤い瞳が見開いて、爛々と輝く。首筋にみるみる新緑の鱗が並んでいく。メアリを抱く右腕を強くしたあと、左手でメアリの顎を掴んだ。
「目瞑って」
メアリが瞼を閉じたのを見て、アヴィルの唇が薄く開く。尖った歯の隙間から二本の下がチロチロ蠢き、そのまま唇に蓋をした。
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ラムズは媚薬入りのチョコレートを手に持って、メアリに言う。
「メアリが食べるとおかしくなるからな。俺が食べる」
「ラムズだとおかしくならないの?」
「知らない。だがあんたよりはマシだろう」
メアリが止める間もなく、ラムズはチョコレートを食べた。何も起こらない。やはり媚薬の効果はラムズにはなかった。だがメアリが心配そうにこちらを見ているのに気付いて、ラムズの頭の中で唇が嗤った。
ラムズはメアリの腕を引いて、自分の胸に連れ込んだ。そのまま抱き締める。
「お、おかしくなってるじゃない!」
「メアリ……」
「な、なに……。大丈夫……?」
「大丈夫じゃない」
ラムズはメアリの首元に唇を落とした。メアリがびくんと肩を震わせる。ラムズの胸を叩いて、離れようとした。
「だ、だめ……!」
「無理……メアリ、なあ、キスしよ?」
「ダメだってば!」
ラムズは首筋にキスをすると、その唇をつうっと動かした。メアリが硬直している。ラムズは密かにほくそ笑んだあと、顔を上げる。
「ダメだってば……」
「悪い、俺も無理」
ラムズはメアリの顎を掴み、じっとメアリを見つめた。メアリは固まったまま動かない。ラムズは青い瞳を細めると、唇を落とした。
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