当初は学園ラブコメ書こうと思っていたのにも関わらず途中から話がおかしくなったけど別に投稿してもいいよねっ!

片山樹

当初は学園ラブコメ書こうと思っていたのにも関わらず途中から話がおかしくなったけど別に投稿してもいいよねっ!

 「ねぇー、なんでオタクなの?」
 放課後。家に帰ろうと勉強用具を机から取り出し、リュックに入れようとしていたら、天月あまつきあかねが喋りかけてきた。
 彼女は悪い事を言ったという素振りは一切みせず、逆にニコッと微笑んでくる。
 どれだけ俺を馬鹿にしているんだかと頭を抱え込みたくなる。確かに俺はクラス内でいつも隅でコソコソと生きている様な人間だ。
 そして僕の目の前にいる彼女はクラスの中心的存在の女の子だ。ムードメーカー的な存在。いつも明るくて元気な女の子。そんな対極な女の子が俺に喋りかけてきた。いや、俺に暴言を吐いてきたと言っても良いだろう。彼女と面識が殆ど無い筈なのに俺をオタク呼ばわりするとはかなり失礼な奴だ。それにニコッと笑われたし。前回のテストで赤点ギリギリ回避したとか言って、ニコニコ笑ってたのが印象深い。
 とりあえず俺と天月茜はそんなに仲が良いというわけではない。数回喋った事がある程度だ。それも一言、二言レベルの。

 「別にオタクじゃねぇーよ」と俺は頬を掻きながら言う。例え、一言二言喋ったレベルの俺と彼女だが、彼女だからこそこんな言葉遣いが出来る。クラス内カースト最上位の他メンバーなら絶対にこんな言葉は使えない。敬語を使って喋っていることだろう。

 「でも鞄とか筆箱とかにオタクグッズつけてるじゃん」
 そう言って天月茜が俺の嫁を指差した。指摘されるとこれは痛い。
 「こっ、これは……」
 言葉を言い返せなかった。普段から誰とも関わらず、今までずっと一人で生きてきた俺。小学生の頃も中学生の頃も、そして高校一年生だった時も俺はずっと一人で生きてきた。それなのに高二になって俺は彼女に出逢った。俺以外の陰キャラにも話しかける程度に彼女は優しい。それは理解している。
 だけどこんなにも積極的に喋りかけてくれる女の子はぼっちにとって最大の毒である。
 何より陰キャラの心に住む自分実はモテるんじゃね?などという自尊心を高めてしまう恐れがある。
 天月が陰キャラ寄りの女の子だったら更に自分の事を彼女は好きなんだと錯覚して酔いしれてしまうに違いない。

 「じゃあ、どうして付けてるの?」

「どうしてって……」
 何故だろうと悩むことは無い。答えははっきりしている。

「そりゃあー二次元の方が可愛いからだよ」
 そう、二次元こそ最強であり、二次元こそ至高だ。
三次元というのは悪だ。俺はそれを身に沁みて痛感しているので良く分かる。
「へぇ〜」
 天月は変な顔を一切せず、頷いていた。

「でもさ、普通にしてれば佐藤さとうはかっこいいんだからさ。それに眼鏡も外して、コンタクトにすればモテると思うんだけどなぁー」
 俺がモテる? 勘違いしてしまうから辞めてほしい。
今時の女子高生はこんな安っぽい嘘を付く様になったのか、時代は変わったもんだぜ。久しぶりにヤフーの知恵袋で『クラスの女子に喋りかけられたのですが、彼女は僕に好意を持っているんでしょうか?』などと書かれた質問の答えを見てみるとしよう。自分からこんな質問をするのは馬鹿馬鹿しいのですることは無いが、そんな馬鹿げた質問をした哀れな奴を見て高笑いしてやろう。
 ベストアンサーはマジレスしてくれる。何故なら彼等は現実を良く知っている大人達ばかりだからだ。
 もしや、これは罰ゲームなのだろうかという一瞬の迷いがあった。オタクを馬鹿にして楽しむというリア充御用達遊びなのか?
 いや、そんな事は無いはずだ。天月茜に限ってそんな事は無いと絶対に言える。彼女はイジメとか罰ゲームとかそんな人が嫌がる様な事を絶対に許さない。
 あれは高一の時に聞いた話だったか? 話によれば、天月茜が一年生時のクラス内で起きたイジメを止めたという逸話があったはずだ。

「俺を煽てようとしても無駄だ。それに俺は二次元にしか興味無いから。じゃあーな」
 鞄とリュックを持ち、教室から立ち去る。
天月は「じゃあねぇー」と手を振ってくれていた。良い奴である。
 だからねっ、そういうのを辞めてほしいんだ。
オタクはすぐに勘違いしてしまうんだからさ。

 ***
 自宅へと帰宅。パソコンを開き、ヤフーの知恵袋で『クラスの女子から喋りかけられた』と検索。
 すぐに表示される質問の数々。この数だけ黒歴史があると思ってしまうと笑いが込み上げてきた。
 しかし自分も同じレベルだと思い、しょぼんとなってしまう。
 まぁーそういう事はどうでもいい。今は対処法が大事だ。

質問1 『僕のクラスには女子が居ます。クラスの女子はいつも僕を見て笑ってきます。これはどういうことなのでしょうか?理解が出来ません。教えて下さい!』

ベストアンサー 『僕のクラスには女子が居ます?文章の意味が分かりません。貴方の学校は男子校ですか? それならば幻想を見てるだけの可能性が有ります。早めに病院に行かれた方が良いと思います』

質問した人からのお礼 『○ね』

質問2 『クラスの女子に喋りかけられました。彼女はクラス内でも人気がある女の子なのですが僕みたいな地味な人にも喋りかけてくれます。最近夜眠る時に彼女を思い出して眠れない時があります。これって恋ですか?』

ベストアンサー 『彼女の為に死ぬ事が出来ると思えるなら恋だと思います。それ以外なら恋ではありません』

質問した人からのお礼 『ちょっと今からロープ買ってきます』

 いや、こえぇーよ! 笑えねぇーよ!
それにこの人のIDを確認してもこの質問以来、質問してねぇーよ。週三ペースの質問してる奴がいきなり止めたらこえぇーよ!

 その後も長々と誰かが作った黒歴史を読み綴った。しかし全くと言って良い情報を得る事は出来なかった。
 黒歴史――自分の中にもそんな事が多々ある。例えば、アイ○スの曲を鼻歌交じりに学校登校中にクラスメイトの女子にバレてしまったとか。中学生の時に某ア○ルトサイトを見た際にお金を請求されて、押し入れの中に隠れた事とか(ヤクザが家に来ると思ってました)。
 今なら後者は笑い話で済む話だが、前者は本当に笑えない。幸いな事にクラスメイトの女子はア○マスを知っていなかったのか、俺の歌声が聞き取りづらかったのか、それとも大人の配慮をして皆には言っていないだけなのか、とりあえず今の所はバレてない。

 ***
 妹が欲しい。俺は授業中にそう思った事がある。一度は誰でもそんな事を思うはずだ。これはもしもテロリストが学校内に攻め込んできたらという典型的な厨二脳の奴が考える事が多い。そんな脳はやはり病にかかっているとしか言いようがない。小学生の理科の授業中に先生が変なビデオを見せてくれたことがあった。確か、人類の進化とかいうビデオだった気がする。俺はそのビデオを見ながら当時好きだった女の子の方をちらちらと見ていた記憶がある。ビデオの内容は人類がどうやって進化してきたのかという子供は絶対に考えない疑問から始まり、太古の昔には天候の変わりが酷かったとか、色々な生物がいたとか、そんな話が続けられた。
 進化に伴って先生が『猿が進化して人間になった説と人間という種族が元々いた説』があると言っていた。
 つい最近に元々人間という種族がいたとかいないとか日本史の担任が言っていた。
 で、天候の変わりが凄まじかったという話を聞き、ノアの箱舟の話を聞いた俺は好きだった女の子を絶対に乗せて、二人だけの楽園を作ろうと誓った。
 当時の俺は彼女とアダムとイブの様な関係になりたかったのかもしれない。
 話は戻るが、妹がメインヒロインのラノベは沢山あるが、姉がメインという作品となると少ない気がする。
 これはどういうことだろうかと考えてみると姉の役割を妹が果たすという作品があるから姉不要論が成り立つと思える。姉キャラは大体しっかり者というのがお約束である。もしくはダメキャラか。
 この二つに大体のキャラは分類出来、『姉』という役目が、役割が、肩書きがある以上はダメキャラにしてしまうと情けないキャラという先行イメージが付いてしまう可能性が高い。しかし妹キャラにすると、『可愛い』というイメージが強くなる。例えば、『○○を取って』と言う台詞を言わせてみると、姉の場合は無理矢理感があるが、妹の場合は仕方ない感が出てくる。
 甘えてくる妹可愛い! という感想が絶対に出てくるはずだ。逆に姉の場合は情けない、クソヒロインとか言われるだろう。
 これぞ、正にキャラ差別である。

 ***
 パンを食いながら学校に登校してくる女の子は果たして本当にいるのだろうか? という疑問を中学時代に考えたことがあった。あの頃の俺は無邪気な奴だった。この世の真理を知らなかったのだ。高校生になれば、美少女がいると。ハ○ヒみたいな女の子が一人や二人ぐらいはいるだろうと考えていた。それに高校生というのはさぞかし、楽しい所だろうと考えていたが、全くといって楽しい場所というわけではなかった。
 所詮、学校である。高校は中学の延長線上にあるものでしかない。受動的な授業に一人で寂しく過ごす休み時間。次の授業は何だっけ?と思っても聞ける友達はいないので自力で思い出すしかない。
 が、忘れてしまう事は絶対にある。大丈夫大丈夫と思っていても突如の授業の入れ替わりにはぼっちでは対応が出来ない。一人で教室に残り、あれ? 間違ったかな? という事は良く起こる。
 やれやれ感を出されたリア充学級委員に「あ、居た。ほらっ、行くぞっ」みたいに授業をサボってるぼっちみたいな扱いを受け、無理矢理連れて行かれ、担当の先生に怒られ、皆には笑われる。
 これは良く起こる。とりあえず授業ボイコットしてやりたいと思いながらも「すいませんすいません」と平謝りして先生のご機嫌を取るしかなかった。
 ぼっちに優しい先生とぼっちに厳しい先生がいる。
前者は楽しく学園生活を過ごす事が出来るが、後者は地獄である。特に授業中に無意味な二人組を作らせる馬鹿は決まって輝かしい学園生活を楽しんだリア充だと相場で決まっている。
 高校一年生だった時に教育実習生が学校にやってきた。超絶リア充な男だった。めちゃくちゃかっこよかった。とりあえず軽く死ねと思いながらも教育実習生の授業を聞かなければならなくなった。
 正直言ってリア充は授業が上手いし、クラスに溶け込むののも上手い。すぐにクラス内のキャラ全員のカーストを把握して、当てる人を決める事が出来る。(ネタキャラを見分けるのが上手く当てる事が出来る)
 だからこそ絶対に失敗はしない。

 ***
 ところで、オタクという定義は何か?
夜眠る時に一人で頑張って答えを出してみようと試みた事がある。何となく自分で導き出した答えはグッズを買うか買わないかというので落ち着いた。
 例えば、今期のアニメ面白かったと思い、原作を買えばオタク。買わなければオタクではない。グッズと書いたが、これはキーホルダーとかの類いの方が良いだろう。原作本+原作ゲームも無しにして、ぬいぐるみとかカードとか限定クリアファイル類がオタクだろう。
 お金を払ってでもその作品を楽しむ事が出来るという覚悟がある奴がオタクである。
 余談になるが、中○病の劇場版が決まり前売り券を早めに買ってしまったが、クリスマス版とハローウィン版の前売り券の方が欲しかったと後悔している。
 でも、やはり高校生ということもあり、お金には裕福ではないので買うことは出来なかった。

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