クズスキルでも、努力次第で世界最強!?
24話 特級危険人物
「まぁそういうと思ってたよ。」
「えぇ!もっと驚くと思ってたのに……。」
「俺を驚かせたかったなら、武術関連以外ですることだな。今のアリサがすることのできる選択肢の中ではそれが一番の最適解だし、そういうって思ってたしな。」
武術関連での読みは外したくない、と言うか外せない。
俺にできることは考えて動くことだけだから、それすらできないとなるとちょっと困る。
そこよりも、俺自身の知らずに固まった考え方を替えあられてしまったことの方が驚いた、そんなこと正直に言わないけどね。
「まぁ俺はアリサが諦めずに続けるって選択を自らしてくれたことに関しては、ちょっと驚いたしなにより嬉しかったよ。」
「な、なにそれ。どういう意味?あんな諦めさせようとすること言っておいて。」
「だからだよ、人に言われてとかそれ以外に方法がなくて仕方なくするより、自分で決めて続けるっていうのは意味の大きさが違う。さっき言っていた雑念の話に戻るけど、大した関心もなしいっそ嫌だと思いながらやるのと、率先して楽しみながらやるのとではやる気も意気込みもかわってくるだろ?」
「まぁ、それは確かにそう思うけど。」
「自分で決めたことには誰から課せられたわけでもなく、責任みたいなものがついてくる。でもそれは重責にはならない、誰にも責められないし否定もされる筋合いがないからな。何を言われたって自分を信じてまっすぐ突き進めばいい。それが意志ってもんだ、曲げられるのは自分だけだがつき進めるのも自分だけだ。後悔しないように頑張ればいい、努力してるやつには誰だって手助けしてくれる。何かあったら誰でもいいから頼れ、アリサならできるさ。」
「……いいこと言って、さっき言った酷いこと帳消しにしようとしてない?」
な、なぜわかった。
いやまだだ、まだ完全にはバレていないはずだ。
平常心で、いつも通りの感じで……。
「そんなこと、ナイゾ?」
「なんで一瞬片言になったの!?怪しい、非常に怪しいわ!ていうか何かを隠そうとしてるのまるわかりなんですけど!?」
……俺にポーカーフェイスなるものはできないようだ。
うん、こういう時はあれだな。
「撤退だ!」
「あ、こらっ、待ちなさいっ!!」
「待てと言われて待つやつがいるか、ふはははは!」
全力ダッシュで屋敷の中へ、アリサの身体能力を考えると外で本気を出されると即刻捕まってしまう。
俺にとってはもはや迷路なこの家の中なら逃げやすい、入り組んでる場所ならアリサもゆっくり走らねばならないだろう。
と思ってたんだけどな……。
「何か言い訳とかありますか?」
「……いえ、ありません。」
「私に言わなければいけないことがありませんよね?」
「……いきなり逃げて、すみませんでした。」
「よろしい。」
屋敷に入る前に捕まったら意味ないよね、こいつ速すぎだわ。
俺にはどうしようもなかったんだよ。
くそぅ、いつか見返してやるからな…。
「それで、なんで逃げたの?何か私に隠してることがあるんでしょ、怒らないから言って?」
「さっきまで怒ってたやつが何言ってんだ…。」
「何か?」
「何でもありませんですはい。」
怖ぇぇ、笑顔で凄むのは本当に止めてほしいです。
「ほら、早く白状しなさい。」
「えぇ、別に大したことじゃないんだけど。」
「そういうのいいから。そろそろ朝ごはんの時間だから、侍女のみんなが準備し始めてるみたいだし。できたら呼びに来るからもう時間がないの、だから早く吐きなさい。」
「いいことを聞いたな、呼ばれるまで黙ってればいいわけだな。」
「今日の朝ごはん、あなたは食べれるかしらね?」
そういって黒剣を抜き素振りを始めるアリサ、お前俺の顎でも吹きとばすつもりか!?
なんでそんなに脅しの技術高いんだよ!
お前実は裏家業とかに手を染めてるとかじゃないよな?
「話す、話すからそんな近くで素振りすんな!当たりそうだろ!」
「大丈夫、絶対当たらないから。」
と言って俺の真正面で大上段に構える。
…まさか、おいやめろ!!
「フッ!!」
勢いよく振り下ろされた抜身の黒剣が俺の額からわずか数センチのところで止められる。
振り切れば確実に死んでいた、振り切らなくても一歩間違えれば大怪我だ。
よほど自信があったんだろうが、普通そんなことするかよ!
「どう、すごいでしょ。」
「ドヤ顔するな、危ないことして自慢げにするな、ほめてもいいよ?みたいな目線送ってくるな。流石の俺もこんなこと許さんぞ、剣は遊び道具でもなければこうやって使うものでもない!めちゃくちゃ怖かったんだぞこの野郎!」
「なによ、武術家になるんだったらいつでも覚悟を持って行動するべきじゃない?」
「こんな形で命を危険にさらすだなんて誰も思わねぇよ!……お前、最近拍車をかけて遠慮とか容赦とかなくなってきてないか?」
「別になくてもいいじゃない。そんなことはどうでもいいの、それで何を隠してたの?」
こいつ、何事もなかったかのように話し進めやがって。
「…お前がさっき、強くなるためだけに武術の道を進む人はいないって言ったろ?」
「まぁ確かにそんな感じのことは言ってたわね。」
「それで思い出したんだよ、俺も昔は他に目的があったなって。」
「へぇ、私にあんなに言っておいて自分のことは棚上げですかそうですか。」
「今は純粋に強くなりたくて頑張ってるから、そのこと忘れてたんだって!」
ジトーッとした目でこっちを見てくるアリサ。
このこと言ったら絶対そういうと思って言いたくなかったんだよ。
「それでソーマにはどんな目的があったの?」
「んー、目的と言うか目標かな。俺、生まれてからずっと孤児院育ちだからさ、先輩後輩と言うよりか兄弟姉妹がたくさんいるんだが、そのうちの一人に武術家の人がいてさ。当時の俺はそのかっこいい姿を見てすげー憧れたんだよ。俺もこんな風になりたい、俺も弟妹たちにかっこいい姿見せたい、ってさ。」
「ふーん。」
いや自分から聞いたんだから、もっと興味持てよ。
なんでそんな不貞腐れた顔してんだよ、それはこっちがする顔だろうに。
と、変なやり取りをしていると屋敷からメイドがやってきた。
「お嬢様、ソーマ様、朝食の準備が整いました。こちらへどうぞ。」
タイミングが良かったのか悪かったのかわからないが、一先ず落ち着けそうなのでよしとしておこう。
「わかったわ。ソーマもいつまで正座してるつもりなの?早くいくわよ。」
「あ、あぁ。」
正座させたのはお前だろ!とは言わない、言えない、言ったら何されるかわかったもんじゃない。
早朝の短い時間で、俺の中でアリサは危険人物から特級危険人物にグレードアップした。
扱いを間違えればいつか刺されそうだ、今のうちに慣れておきたい。
俺の将来の安寧のために!
「えぇ!もっと驚くと思ってたのに……。」
「俺を驚かせたかったなら、武術関連以外ですることだな。今のアリサがすることのできる選択肢の中ではそれが一番の最適解だし、そういうって思ってたしな。」
武術関連での読みは外したくない、と言うか外せない。
俺にできることは考えて動くことだけだから、それすらできないとなるとちょっと困る。
そこよりも、俺自身の知らずに固まった考え方を替えあられてしまったことの方が驚いた、そんなこと正直に言わないけどね。
「まぁ俺はアリサが諦めずに続けるって選択を自らしてくれたことに関しては、ちょっと驚いたしなにより嬉しかったよ。」
「な、なにそれ。どういう意味?あんな諦めさせようとすること言っておいて。」
「だからだよ、人に言われてとかそれ以外に方法がなくて仕方なくするより、自分で決めて続けるっていうのは意味の大きさが違う。さっき言っていた雑念の話に戻るけど、大した関心もなしいっそ嫌だと思いながらやるのと、率先して楽しみながらやるのとではやる気も意気込みもかわってくるだろ?」
「まぁ、それは確かにそう思うけど。」
「自分で決めたことには誰から課せられたわけでもなく、責任みたいなものがついてくる。でもそれは重責にはならない、誰にも責められないし否定もされる筋合いがないからな。何を言われたって自分を信じてまっすぐ突き進めばいい。それが意志ってもんだ、曲げられるのは自分だけだがつき進めるのも自分だけだ。後悔しないように頑張ればいい、努力してるやつには誰だって手助けしてくれる。何かあったら誰でもいいから頼れ、アリサならできるさ。」
「……いいこと言って、さっき言った酷いこと帳消しにしようとしてない?」
な、なぜわかった。
いやまだだ、まだ完全にはバレていないはずだ。
平常心で、いつも通りの感じで……。
「そんなこと、ナイゾ?」
「なんで一瞬片言になったの!?怪しい、非常に怪しいわ!ていうか何かを隠そうとしてるのまるわかりなんですけど!?」
……俺にポーカーフェイスなるものはできないようだ。
うん、こういう時はあれだな。
「撤退だ!」
「あ、こらっ、待ちなさいっ!!」
「待てと言われて待つやつがいるか、ふはははは!」
全力ダッシュで屋敷の中へ、アリサの身体能力を考えると外で本気を出されると即刻捕まってしまう。
俺にとってはもはや迷路なこの家の中なら逃げやすい、入り組んでる場所ならアリサもゆっくり走らねばならないだろう。
と思ってたんだけどな……。
「何か言い訳とかありますか?」
「……いえ、ありません。」
「私に言わなければいけないことがありませんよね?」
「……いきなり逃げて、すみませんでした。」
「よろしい。」
屋敷に入る前に捕まったら意味ないよね、こいつ速すぎだわ。
俺にはどうしようもなかったんだよ。
くそぅ、いつか見返してやるからな…。
「それで、なんで逃げたの?何か私に隠してることがあるんでしょ、怒らないから言って?」
「さっきまで怒ってたやつが何言ってんだ…。」
「何か?」
「何でもありませんですはい。」
怖ぇぇ、笑顔で凄むのは本当に止めてほしいです。
「ほら、早く白状しなさい。」
「えぇ、別に大したことじゃないんだけど。」
「そういうのいいから。そろそろ朝ごはんの時間だから、侍女のみんなが準備し始めてるみたいだし。できたら呼びに来るからもう時間がないの、だから早く吐きなさい。」
「いいことを聞いたな、呼ばれるまで黙ってればいいわけだな。」
「今日の朝ごはん、あなたは食べれるかしらね?」
そういって黒剣を抜き素振りを始めるアリサ、お前俺の顎でも吹きとばすつもりか!?
なんでそんなに脅しの技術高いんだよ!
お前実は裏家業とかに手を染めてるとかじゃないよな?
「話す、話すからそんな近くで素振りすんな!当たりそうだろ!」
「大丈夫、絶対当たらないから。」
と言って俺の真正面で大上段に構える。
…まさか、おいやめろ!!
「フッ!!」
勢いよく振り下ろされた抜身の黒剣が俺の額からわずか数センチのところで止められる。
振り切れば確実に死んでいた、振り切らなくても一歩間違えれば大怪我だ。
よほど自信があったんだろうが、普通そんなことするかよ!
「どう、すごいでしょ。」
「ドヤ顔するな、危ないことして自慢げにするな、ほめてもいいよ?みたいな目線送ってくるな。流石の俺もこんなこと許さんぞ、剣は遊び道具でもなければこうやって使うものでもない!めちゃくちゃ怖かったんだぞこの野郎!」
「なによ、武術家になるんだったらいつでも覚悟を持って行動するべきじゃない?」
「こんな形で命を危険にさらすだなんて誰も思わねぇよ!……お前、最近拍車をかけて遠慮とか容赦とかなくなってきてないか?」
「別になくてもいいじゃない。そんなことはどうでもいいの、それで何を隠してたの?」
こいつ、何事もなかったかのように話し進めやがって。
「…お前がさっき、強くなるためだけに武術の道を進む人はいないって言ったろ?」
「まぁ確かにそんな感じのことは言ってたわね。」
「それで思い出したんだよ、俺も昔は他に目的があったなって。」
「へぇ、私にあんなに言っておいて自分のことは棚上げですかそうですか。」
「今は純粋に強くなりたくて頑張ってるから、そのこと忘れてたんだって!」
ジトーッとした目でこっちを見てくるアリサ。
このこと言ったら絶対そういうと思って言いたくなかったんだよ。
「それでソーマにはどんな目的があったの?」
「んー、目的と言うか目標かな。俺、生まれてからずっと孤児院育ちだからさ、先輩後輩と言うよりか兄弟姉妹がたくさんいるんだが、そのうちの一人に武術家の人がいてさ。当時の俺はそのかっこいい姿を見てすげー憧れたんだよ。俺もこんな風になりたい、俺も弟妹たちにかっこいい姿見せたい、ってさ。」
「ふーん。」
いや自分から聞いたんだから、もっと興味持てよ。
なんでそんな不貞腐れた顔してんだよ、それはこっちがする顔だろうに。
と、変なやり取りをしていると屋敷からメイドがやってきた。
「お嬢様、ソーマ様、朝食の準備が整いました。こちらへどうぞ。」
タイミングが良かったのか悪かったのかわからないが、一先ず落ち着けそうなのでよしとしておこう。
「わかったわ。ソーマもいつまで正座してるつもりなの?早くいくわよ。」
「あ、あぁ。」
正座させたのはお前だろ!とは言わない、言えない、言ったら何されるかわかったもんじゃない。
早朝の短い時間で、俺の中でアリサは危険人物から特級危険人物にグレードアップした。
扱いを間違えればいつか刺されそうだ、今のうちに慣れておきたい。
俺の将来の安寧のために!
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