クズスキルでも、努力次第で世界最強!?
20話 人の判断は関わりを持ってからにしよう
開いた口が塞がらない、とはよく言ったものだ。
人は驚いた時なにかしら声が漏れることが多い、声がでれば口は開くしあまりにも急なことなら硬直もするだろう。
その様子はまさに、開いた口が塞がらない、という言葉にマッチするというわけだ。
俺はなぜこんなことを考えているのだろうか。
人は鬼気迫る場面や集中しているとき、とっさの判断を迫られているときに思考速度が普段の数倍程度も加速することがある。
まぁ、こんなことを考えているってことはその状況下にあるってことで、つまり驚きのあまり固まった俺は呆けたように口を開け、現状を打開する手を考えるために思考が加速しているわけなのだが。
「どうなんだね、どこまで進展しているんだい?大丈夫、私は怒ったりしない。ただ事実が知りたいだけなのだよ、大事な娘のことだ。気にならない親はいない。さぁ、早く教えてくれたまえ!」
俺に何を言わせたいんだこの人は。
すごい勢いでまくし立ててきたが、いきなりすぎてちょっと状況をつかめ切れていない。
えっと、つまり意訳すると俺とアリサが恋仲的なアレなのでは?といいたいのかな。
どういうことだ?アリサは何をこの人に話したんだ?
ちらっと、アリサのほうを見るとこちらに気づき顔赤くさせながら、首と手をブンブン振っている、可愛いなおい。
さて、どうしたもんか。
正直に答えればいいんだろうけど、この様子だと信じるかどうか……。
とりあえず、早めに答えるだけ答えておこう。
「あの、アルバトラウサムさん。俺達は貴方が思うような関係ではありませんよ?ただの師匠と弟子の関係、それ以外に特別な関係はないですよ。」
「それは本当かね?若い男女が朝から晩まで二人きり、何もないとは考え難いのだが。実は逢引しているんじゃないか?どうなんだい?ん?」
急にめんどくさいエロおやじになったぞ。
あぁ、なんかいい人っていう第一印象がはやくも崩れ去っていくイメージが、頭の中を駆け巡っている。
さっきまでの貴方への敬意を返してください。
「それにうちの娘と二人きりだぞ?余計何もないというのが怪しい、いや何かなくてはおかしいだろう。アリサはこんなにも可愛いのだから!」
「ちょ、ちょっとお父様!?いきなりなにを言っているんですか!?」
おおっと、今度は親バカ発動か?せわしないな。
アリサもいきなり矛先が向けられ、思わず立ち上がって抗議している。
「ほら、見てごらんなさいこの顔を。照れて赤面しながら怒る姿も非常に愛らしいじゃないか!」
確かに照れながらも、可愛いと言われたことにちょっと喜んでいるのがわかる。
可愛い、今まで一度も見たことない表情で新鮮だ。
あ、周りのメイドの人たちは、またかと言わんばかりにあきれてため息をついている人、ニヤニヤ笑いながら様子を見守っている人、腕を組みうなずいている人の三パターン。
この様子だと、アリサをほめまくる流れはこの家では日常茶飯事なのだろう。
「やめて!見ないで!」
「おやおや。両手でその可愛い顔を隠してはもったいないじゃないか、もっとよく見せてあげなさい。」
アリサは俺に背を向け、顔を見せまいとしている。
アルバトラウサムさんは顔を隠している両手を引きはがそうと頑張っている。
ドゴッ!!
あ、腹パンくらった、あれは痛いぞ……。
「ぐほぁっ……、ふ、ふふ、い、いい拳じゃ、ないか。成長していることを、感じられて、お父様嬉しいよ、ぐふっ。」
「あっ、ご、ごめんなさい、お父様!私そんなつもりでは……っ!?」
「ふはは、油断したな我が娘よ!心配してくれたのはとても嬉しいが、娘の拳くらい笑って受け止められなければ、父親は務まらんよ!実は毎日トレーニングしていたのさ、このくらいなんともない!ふはははは!」
なかなか上手な演技にまんまと騙されたアリサは、せっかく隠していた顔をさらけ出してしまいそのせいでアルバトラウサムさんに腕をつかまれてしまった。
自分の娘の良心をなんだと思っているんだろうか、この人は。
たぶん暴走しているだけなんだろうけど、一応止めたほうがいいよな。
何も知らない人が見れば、おっさんが女の子を襲ってるように見えるから。
それに、なぁ……。
「は、放して!」
「ふはは、よいではないかよいではないか。」
「あのー、放してあげたほうがいいと思いますよ。」
「む、なぜかね。」
「いや、その、周りを……。」
「ん?あ……。」
周りにいるのはもちろんのこと、ここで働いているメイドたち。
先ほどまで皆別々の反応をしていたのに、今は一様に笑顔である。
その笑顔から発せられる圧は、混ざりに混ざりとてつもないオーラとなって一転へ注がれている。
そう、アルバトラウサムさんにだ。
「旦那様、少し宜しいですかですか?」
「え、あ、いや、今取り込み中というか……。」
「宜しい、ですね?」
「ア、ハイ。」
メイド衆の中で一番風格がある、俺とアリサを玄関で迎えてくれた人ががっしり肩をつかんで引きづって行った。
アルバトラウサムさんはこちらに助けてほしそうに視線を送ってくるが、眼を逸らすことしかできない。
俺、流石にさっきのは擁護できないです、すみません。
出会ってそうそうだが、あの人には強く生きてもらいたいと、そう思った。
頑張れ、アルバトラウサムさん。
人は驚いた時なにかしら声が漏れることが多い、声がでれば口は開くしあまりにも急なことなら硬直もするだろう。
その様子はまさに、開いた口が塞がらない、という言葉にマッチするというわけだ。
俺はなぜこんなことを考えているのだろうか。
人は鬼気迫る場面や集中しているとき、とっさの判断を迫られているときに思考速度が普段の数倍程度も加速することがある。
まぁ、こんなことを考えているってことはその状況下にあるってことで、つまり驚きのあまり固まった俺は呆けたように口を開け、現状を打開する手を考えるために思考が加速しているわけなのだが。
「どうなんだね、どこまで進展しているんだい?大丈夫、私は怒ったりしない。ただ事実が知りたいだけなのだよ、大事な娘のことだ。気にならない親はいない。さぁ、早く教えてくれたまえ!」
俺に何を言わせたいんだこの人は。
すごい勢いでまくし立ててきたが、いきなりすぎてちょっと状況をつかめ切れていない。
えっと、つまり意訳すると俺とアリサが恋仲的なアレなのでは?といいたいのかな。
どういうことだ?アリサは何をこの人に話したんだ?
ちらっと、アリサのほうを見るとこちらに気づき顔赤くさせながら、首と手をブンブン振っている、可愛いなおい。
さて、どうしたもんか。
正直に答えればいいんだろうけど、この様子だと信じるかどうか……。
とりあえず、早めに答えるだけ答えておこう。
「あの、アルバトラウサムさん。俺達は貴方が思うような関係ではありませんよ?ただの師匠と弟子の関係、それ以外に特別な関係はないですよ。」
「それは本当かね?若い男女が朝から晩まで二人きり、何もないとは考え難いのだが。実は逢引しているんじゃないか?どうなんだい?ん?」
急にめんどくさいエロおやじになったぞ。
あぁ、なんかいい人っていう第一印象がはやくも崩れ去っていくイメージが、頭の中を駆け巡っている。
さっきまでの貴方への敬意を返してください。
「それにうちの娘と二人きりだぞ?余計何もないというのが怪しい、いや何かなくてはおかしいだろう。アリサはこんなにも可愛いのだから!」
「ちょ、ちょっとお父様!?いきなりなにを言っているんですか!?」
おおっと、今度は親バカ発動か?せわしないな。
アリサもいきなり矛先が向けられ、思わず立ち上がって抗議している。
「ほら、見てごらんなさいこの顔を。照れて赤面しながら怒る姿も非常に愛らしいじゃないか!」
確かに照れながらも、可愛いと言われたことにちょっと喜んでいるのがわかる。
可愛い、今まで一度も見たことない表情で新鮮だ。
あ、周りのメイドの人たちは、またかと言わんばかりにあきれてため息をついている人、ニヤニヤ笑いながら様子を見守っている人、腕を組みうなずいている人の三パターン。
この様子だと、アリサをほめまくる流れはこの家では日常茶飯事なのだろう。
「やめて!見ないで!」
「おやおや。両手でその可愛い顔を隠してはもったいないじゃないか、もっとよく見せてあげなさい。」
アリサは俺に背を向け、顔を見せまいとしている。
アルバトラウサムさんは顔を隠している両手を引きはがそうと頑張っている。
ドゴッ!!
あ、腹パンくらった、あれは痛いぞ……。
「ぐほぁっ……、ふ、ふふ、い、いい拳じゃ、ないか。成長していることを、感じられて、お父様嬉しいよ、ぐふっ。」
「あっ、ご、ごめんなさい、お父様!私そんなつもりでは……っ!?」
「ふはは、油断したな我が娘よ!心配してくれたのはとても嬉しいが、娘の拳くらい笑って受け止められなければ、父親は務まらんよ!実は毎日トレーニングしていたのさ、このくらいなんともない!ふはははは!」
なかなか上手な演技にまんまと騙されたアリサは、せっかく隠していた顔をさらけ出してしまいそのせいでアルバトラウサムさんに腕をつかまれてしまった。
自分の娘の良心をなんだと思っているんだろうか、この人は。
たぶん暴走しているだけなんだろうけど、一応止めたほうがいいよな。
何も知らない人が見れば、おっさんが女の子を襲ってるように見えるから。
それに、なぁ……。
「は、放して!」
「ふはは、よいではないかよいではないか。」
「あのー、放してあげたほうがいいと思いますよ。」
「む、なぜかね。」
「いや、その、周りを……。」
「ん?あ……。」
周りにいるのはもちろんのこと、ここで働いているメイドたち。
先ほどまで皆別々の反応をしていたのに、今は一様に笑顔である。
その笑顔から発せられる圧は、混ざりに混ざりとてつもないオーラとなって一転へ注がれている。
そう、アルバトラウサムさんにだ。
「旦那様、少し宜しいですかですか?」
「え、あ、いや、今取り込み中というか……。」
「宜しい、ですね?」
「ア、ハイ。」
メイド衆の中で一番風格がある、俺とアリサを玄関で迎えてくれた人ががっしり肩をつかんで引きづって行った。
アルバトラウサムさんはこちらに助けてほしそうに視線を送ってくるが、眼を逸らすことしかできない。
俺、流石にさっきのは擁護できないです、すみません。
出会ってそうそうだが、あの人には強く生きてもらいたいと、そう思った。
頑張れ、アルバトラウサムさん。
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コメント
シュトロム
気になって確認したら、いつの間にか5万文字超えてました。時が過ぎるのは早いものです……。