クズスキルでも、努力次第で世界最強!?
19話 貴族にもいい人はいるもんだなぁ
俺はアリサの家のメイドたちに誘われ、というよりは運ばれて客間らしき場所に通された。
うん、流石王族の分家の貴族、客間の広さがとてつもない。
そして過剰に装飾されている、客間より美術館といったほうがあっていると思う。
縦に細長い部屋の中央にこの部屋に合わせて作られたかのような縦長のテーブルが鎮座している。
そこに均等な距離で並べられているであろう椅子が数十席あり、その中で短い辺のほうの一席しか置かれていない場所に座らされた。
たぶん今俺が座っているのが下座で対面にあるのが上座だろう。
確かメイドたちは旦那様がお会いしたいだのなんだの言っていた気がする、いきなり連れてこられてパニックであまり聞き取れてはいないが。
ということは俺の体面に旦那様、つまりアリサの父親が座るのか。
……遠いな。
だいぶ声を張らないと聞こえなさそうなんだが、天井も高いなこの部屋。
十メートルあるかないかぐらいの距離があるのだが、これで話しをするのだろうか。
それよりも本当に貴族と一対一で話をするのか。
アリサはメイドたちと一緒にどこかに行ってしまったし、一人見知らぬ家で放置とかひどくない?
まぁ俺平民だしそれが普通なのかもしれないな、貴族の特権ってやつだ。
……それにしても、俺はここで何をしてればいいんだ?
座って待っていればいいんだろうけど、いったいどれだけ待っていればいいのかわからないというのは精神的につらい。
……インデンスの手入れでもしておくか。
普段インデンスは専用のベルトに下げてある。
一本約20センチの棒、それが八本。
形状はすべて同じで端が一回り大きくなって節ができている。
組み立て方は多岐にわたり、直角までなら楽々取り付け可能。
やろうと思えば三角形だって作れる、なにに使えるか知らないけど。
それに付け加えて、インデンス専用アタッチメントがそこそこの数ある。
いつも持っているのは剣と槍と大斧のアタッチメントの三つ。
他には大剣とか薙刀とか、特殊なもので弓、三節棍などもある。
ただ武器を集める趣味を持っているみたいに見えるかもしれないが、今作ってあるアタッチメントの武器は全て並より上くらいのレベルまでは使える、俺の師匠基準の判断でだが。
さっそく、インデンスをテーブルにならべる。
確か今日たくさん使ったのは、一番から五番までだったかな?
まず一つとって確かめる。
傷はなさそうだな、ちょっと汚れてるくらいか。
これもいつも持っている布で拭く。
淡々と流れ作業のごとくチェックしては拭くを繰り返す。
「ふぅ、綺麗になったな。我ながらいい仕事をしたぜ。」
並べられたインデンスのパーツたちは見違えるほどピカピカになった(主観)。
満足、満足。
出したものをちょうど片付け終わったところで俺の正面、対面の席の後ろの扉が開いた。
そこから俺を客間まで連れてきたメイドたちも含めて、総勢百名もの従者とみられる人たちがぞろぞろと行進しながら入ってきた。
二列で入りテーブルをはさむように分かれると、最後尾にアリサと一緒に装飾の立派な服装の男性がいた。
彼がアリサの父親でここの家主だろう。
俺は扉が開いたタイミングで席を立って待っていた。
座ったまま待つのは失礼かなと思っての判断だったのだが、メイドたちがあんなにも多いとは思わなかった。
とても洗練された動きで素晴らしい集団行動だったから、思わず感嘆したがそれにしても歩くのが遅い。
たぶん恭しい雰囲気を出したかったのだろうが、まぁ出ていたけど。
それをするのは家主だけでいい、だからもう少し早く歩いてもよかったと思うんだ。
訓練終わりで疲れている体にさらなるダメージが……、明日寝坊するかもしれん。
「よくぞ参ったな。ここまで招いたのは私だ、遠慮などせず座るがよい。」
「え?あ、はい、失礼します。」
「この派手な客間では落ち着かないとは思うが、貴族というものは外に対していいように見せなければならないのでね。別の部屋を用意できればよかったのだが、何分急だったものだからじゅんびができていなかったのだ、許してくれたまえ。」
「い、いえ、とんでもございません。こちらから押し掛けたようなもの、お気になさらず。」
家主の男性から声をかけられどもってしまう。
突然話しかけられて驚いたというより、貴族らしい自信と高貴さに満ちた話し方に少し気おされてしまった。
なんか、思ってたのと違うな……。
貴族ってもっとこう、平民とかを見下しまくってるイメージが強かった、というか俺が育った孤児院によく来た貴族の子供はそんな感じだった。
後で怒られるかボコられるかするのに、ほぼ毎日のように来ていたのは今でも不思議に思っている。
こんなに威厳をもってちゃんとした雰囲気の人初めて会ったかもしれない。
整った黒髪と不摂生には見えない程度のひげが、できるおじさん感を漂わせている。
実際にやり手なんだろうな。
俺がするわけではないけど、この人に仕えている人はさぞかし誇らしいだろうな。
おっと、いけない。
今は話をする場面なんだった。
「えっと、それで俺、じゃなくて僕?…になんの御用でしょうか。」
あー、すっごいカチコチな敬語、恥ずかしい…。
「そう硬くならずともよい、敬語も無理に使って間違えるほうがよほど失礼にあたることもある。
大事なのは相手を敬う心だよ。」
「な、なるほど……。」
めちゃくちゃいい人じゃん。
貴族に会うのだから粗相のないように、と自分に言い聞かせていたがこの調子ならやらかすことなくやり過ごせそうで、内心ほっとした。
「まず、自己紹介をしよう。私の名は、アルバトラウサム・エイセラという。」
「俺はソーマです。」
「君は我が娘、アリサに剣術を教えてくれているそうだね。」
「教えるというほど、的確なアドバイスをしているわけではありませんよ。彼女自身が考えて成長しようと頑張っているから、手を貸しているだけです。」
アリサのほうを見る。
俺の対面に座っているアルバトラウサムさんの左手側に椅子に座っているのだが、……なんだろう。
すごく居心地の悪そうな顔をしているが、裏で何かあったのだろうか。
考え事をしていると、アルバトラウサムさんは先ほどまでの柔和な表情から一転、真剣な顔で尋ねてきた。
「それでは本題に入ろうか。」
「あ、はい。なんでしょう。」
「君は、アリサと師弟関係ということを除いて、どういう関係なのかね。」
「…………はい?」
いきなりすぎる質問に俺は唖然として、聞き返すことしかできなかった。
うん、流石王族の分家の貴族、客間の広さがとてつもない。
そして過剰に装飾されている、客間より美術館といったほうがあっていると思う。
縦に細長い部屋の中央にこの部屋に合わせて作られたかのような縦長のテーブルが鎮座している。
そこに均等な距離で並べられているであろう椅子が数十席あり、その中で短い辺のほうの一席しか置かれていない場所に座らされた。
たぶん今俺が座っているのが下座で対面にあるのが上座だろう。
確かメイドたちは旦那様がお会いしたいだのなんだの言っていた気がする、いきなり連れてこられてパニックであまり聞き取れてはいないが。
ということは俺の体面に旦那様、つまりアリサの父親が座るのか。
……遠いな。
だいぶ声を張らないと聞こえなさそうなんだが、天井も高いなこの部屋。
十メートルあるかないかぐらいの距離があるのだが、これで話しをするのだろうか。
それよりも本当に貴族と一対一で話をするのか。
アリサはメイドたちと一緒にどこかに行ってしまったし、一人見知らぬ家で放置とかひどくない?
まぁ俺平民だしそれが普通なのかもしれないな、貴族の特権ってやつだ。
……それにしても、俺はここで何をしてればいいんだ?
座って待っていればいいんだろうけど、いったいどれだけ待っていればいいのかわからないというのは精神的につらい。
……インデンスの手入れでもしておくか。
普段インデンスは専用のベルトに下げてある。
一本約20センチの棒、それが八本。
形状はすべて同じで端が一回り大きくなって節ができている。
組み立て方は多岐にわたり、直角までなら楽々取り付け可能。
やろうと思えば三角形だって作れる、なにに使えるか知らないけど。
それに付け加えて、インデンス専用アタッチメントがそこそこの数ある。
いつも持っているのは剣と槍と大斧のアタッチメントの三つ。
他には大剣とか薙刀とか、特殊なもので弓、三節棍などもある。
ただ武器を集める趣味を持っているみたいに見えるかもしれないが、今作ってあるアタッチメントの武器は全て並より上くらいのレベルまでは使える、俺の師匠基準の判断でだが。
さっそく、インデンスをテーブルにならべる。
確か今日たくさん使ったのは、一番から五番までだったかな?
まず一つとって確かめる。
傷はなさそうだな、ちょっと汚れてるくらいか。
これもいつも持っている布で拭く。
淡々と流れ作業のごとくチェックしては拭くを繰り返す。
「ふぅ、綺麗になったな。我ながらいい仕事をしたぜ。」
並べられたインデンスのパーツたちは見違えるほどピカピカになった(主観)。
満足、満足。
出したものをちょうど片付け終わったところで俺の正面、対面の席の後ろの扉が開いた。
そこから俺を客間まで連れてきたメイドたちも含めて、総勢百名もの従者とみられる人たちがぞろぞろと行進しながら入ってきた。
二列で入りテーブルをはさむように分かれると、最後尾にアリサと一緒に装飾の立派な服装の男性がいた。
彼がアリサの父親でここの家主だろう。
俺は扉が開いたタイミングで席を立って待っていた。
座ったまま待つのは失礼かなと思っての判断だったのだが、メイドたちがあんなにも多いとは思わなかった。
とても洗練された動きで素晴らしい集団行動だったから、思わず感嘆したがそれにしても歩くのが遅い。
たぶん恭しい雰囲気を出したかったのだろうが、まぁ出ていたけど。
それをするのは家主だけでいい、だからもう少し早く歩いてもよかったと思うんだ。
訓練終わりで疲れている体にさらなるダメージが……、明日寝坊するかもしれん。
「よくぞ参ったな。ここまで招いたのは私だ、遠慮などせず座るがよい。」
「え?あ、はい、失礼します。」
「この派手な客間では落ち着かないとは思うが、貴族というものは外に対していいように見せなければならないのでね。別の部屋を用意できればよかったのだが、何分急だったものだからじゅんびができていなかったのだ、許してくれたまえ。」
「い、いえ、とんでもございません。こちらから押し掛けたようなもの、お気になさらず。」
家主の男性から声をかけられどもってしまう。
突然話しかけられて驚いたというより、貴族らしい自信と高貴さに満ちた話し方に少し気おされてしまった。
なんか、思ってたのと違うな……。
貴族ってもっとこう、平民とかを見下しまくってるイメージが強かった、というか俺が育った孤児院によく来た貴族の子供はそんな感じだった。
後で怒られるかボコられるかするのに、ほぼ毎日のように来ていたのは今でも不思議に思っている。
こんなに威厳をもってちゃんとした雰囲気の人初めて会ったかもしれない。
整った黒髪と不摂生には見えない程度のひげが、できるおじさん感を漂わせている。
実際にやり手なんだろうな。
俺がするわけではないけど、この人に仕えている人はさぞかし誇らしいだろうな。
おっと、いけない。
今は話をする場面なんだった。
「えっと、それで俺、じゃなくて僕?…になんの御用でしょうか。」
あー、すっごいカチコチな敬語、恥ずかしい…。
「そう硬くならずともよい、敬語も無理に使って間違えるほうがよほど失礼にあたることもある。
大事なのは相手を敬う心だよ。」
「な、なるほど……。」
めちゃくちゃいい人じゃん。
貴族に会うのだから粗相のないように、と自分に言い聞かせていたがこの調子ならやらかすことなくやり過ごせそうで、内心ほっとした。
「まず、自己紹介をしよう。私の名は、アルバトラウサム・エイセラという。」
「俺はソーマです。」
「君は我が娘、アリサに剣術を教えてくれているそうだね。」
「教えるというほど、的確なアドバイスをしているわけではありませんよ。彼女自身が考えて成長しようと頑張っているから、手を貸しているだけです。」
アリサのほうを見る。
俺の対面に座っているアルバトラウサムさんの左手側に椅子に座っているのだが、……なんだろう。
すごく居心地の悪そうな顔をしているが、裏で何かあったのだろうか。
考え事をしていると、アルバトラウサムさんは先ほどまでの柔和な表情から一転、真剣な顔で尋ねてきた。
「それでは本題に入ろうか。」
「あ、はい。なんでしょう。」
「君は、アリサと師弟関係ということを除いて、どういう関係なのかね。」
「…………はい?」
いきなりすぎる質問に俺は唖然として、聞き返すことしかできなかった。
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コメント
シュトロム
コメントありがとうございます。
貰ったコメントから活力を得て、創作意欲がわいて頑張れます。
つまり、貰えばもらうほど頑張れちゃうのでじゃんじゃんコメントください。
自分も楽しんで書けるので嬉しいです。
斉藤 自由
ありがとうございます。
早く投稿してくれてこれでまだ生きてられる…