クズスキルでも、努力次第で世界最強!?
プロローグ
俺は5歳の時に孤児院の前に捨てられていたらしい。
らしいって言ったのは拾われる前の記憶が一切なかったからだ。
正直もう思い出せないし、思い出そうとも思わないけど。
まぁ、それはさておき。
それじゃあ話すとしようか。
これは七年前の話。ある日...
ーーーーーーーーーーーーーーーー
ある日、草木が生い茂る森の中を疾走する一人の少年がいた。
疾駆する少年は、何かから逃げるようかのように、又は何かを必死に追いかけるように、木々の隙間を縫うように駆け抜ける。
その顔からは焦燥しているのが見て取れる。
少し長めに切りそろえられた黒髪の先から汗が弾け、少年が過ぎていった所に跡がつく。
森に住んでいる魔物に目もくれず、勢いよく通り過ぎる。
もし、少年の走る速度がほんの少しでも遅ければ、この森を抜けた先にある街では多量の魔物を少年が引き連れてきたと、大騒ぎになっただろう。
そうなっていないのは、少年が日頃から森を走り、体を鍛えていたおかげだろう。
少年は武術家志望である。
孤児院の兄弟(先輩)に憧れ、様々な武術に手を出し、その一環の体力作りとして毎日走り込みをしているのだ。
そのため体は常人よりは遥かに鍛えられた脚力と体力でなんとかなっていた。
この少年が向かっているのは、『武術祭』が行われるクレア闘技場である。
『武術祭』とは俗称で、本来は『クレア武術大闘技大会』という。
この『クレア武術大闘技大会』はクレア大陸にある3つの国の国境にあるマクナ闘技場で行われ、 この世界で有名な武術大会の1つであり大陸内外を問わず、沢山の武術家が集まり自らの研鑽と実力を見せ合う場として、とても賑わうのである。
この時期になると闘技場周辺では沢山の屋台などが開かれ、その様子がまるで祭りのようだ、とういうところから『武術祭』という俗称がついたのだろう。
少年も武術家志望なのだから、『武術祭』に参加しない訳がないのだが…。
俺は今、猛烈に急いでいる。
こうなってしまえば後の祭り、自業自得だ。
だが今年こそは、と一縷の望みをかけて全力で走っている。
流石に5年連続ともなれば、少しは譲歩してくれるのでは、と考えたわけだ。
ようやく森を抜け街に出た。
あとは街道沿いに行けば受付だ。
無駄に美しく方向転換しながら闘技場へ向かう。
それから数分、闘技場についた俺は、受付の片付けを終えた様子の係員を発見し、すぐさま声を掛ける。
「あの、すみません!まだ受付できますか!」
すると係員の人はとても怪訝な顔をし、手に持つ書類を見て、なるほど、と頷くと優しくも残酷な目(主観)をしこう言った。
「君がソーマ君だね?残念だが、今年も君1人を特別扱いはできないな。また来年、出直してくるといい。」
そして振り返ることなく去っていった。なんと冷酷(主観)な係員であろうか。人の心なんか欠片も感じられない(偏見)。
「今年も、ダメだったか…。」
俺は膝から崩れ落ち、地面に向かって呟いた。
すると、それを遠目に眺めていた人混みから1人の男が前に出てきた。
「おう、ソーマ。今年もやったのか?毎度のことだが学習しないな、お前は。」
声を掛けてきたのは、この時期になると受付横を陣取って屋台を開くおっちゃん(名前を知らない)だ。
「屋台のおっちゃんか、1年ぶりだな。串肉一本くれ。」
「まいど。」
このやりとりもこれで5回目か。
そう思うとなかなか奇妙な関係だ。
「それで?今回は何が理由だ?道案内か?それとも、魔物退治か?」
そう、毎年毎年『武術祭』の日に限って色々と面倒事に巻き込まれるのだ。
中でも一番印象的だったのは、魔物退治だろう。
あの時戦ったのはゴブリンの群れ、総勢20名。
その内上位クラスが4名おり、統率のとれたバランスのいい陣形だったため時間を大幅に削られるハメにあったのだ。
そのため間に合わなかったのだが、今回ばかりは自分が悪い。
なぜなら…。
「単純に、寝坊した」
からだ。
そういうと、屋台のおっちゃんは豪快に笑い始めた。
「がっははは!ほんとに飽きないやつだな、お前は。ほれ、串肉おまけでもう1本やろう。」
「むぅ、微妙にありがたいから弄られてるのを怒るに怒れない…。」
素直に受け取って串肉を食べる。相変わらず美味い。
このおっちゃん、この串肉一本でかなり稼いでいるらしい。
なかなかうまい商売をやっているようだ。
まぁ、俺もそれに貢献している訳だが。
「今年も観戦かなー。」
「おっ、てことは恒例のアレもやるのか?」
「勿論。このまま終わるわけにはいかないだろ!」
ニヒルな笑みを浮かべ、串肉を頬張る。
おまけで貰った分も食べきり、闘技場に入っていくのだった。
らしいって言ったのは拾われる前の記憶が一切なかったからだ。
正直もう思い出せないし、思い出そうとも思わないけど。
まぁ、それはさておき。
それじゃあ話すとしようか。
これは七年前の話。ある日...
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ある日、草木が生い茂る森の中を疾走する一人の少年がいた。
疾駆する少年は、何かから逃げるようかのように、又は何かを必死に追いかけるように、木々の隙間を縫うように駆け抜ける。
その顔からは焦燥しているのが見て取れる。
少し長めに切りそろえられた黒髪の先から汗が弾け、少年が過ぎていった所に跡がつく。
森に住んでいる魔物に目もくれず、勢いよく通り過ぎる。
もし、少年の走る速度がほんの少しでも遅ければ、この森を抜けた先にある街では多量の魔物を少年が引き連れてきたと、大騒ぎになっただろう。
そうなっていないのは、少年が日頃から森を走り、体を鍛えていたおかげだろう。
少年は武術家志望である。
孤児院の兄弟(先輩)に憧れ、様々な武術に手を出し、その一環の体力作りとして毎日走り込みをしているのだ。
そのため体は常人よりは遥かに鍛えられた脚力と体力でなんとかなっていた。
この少年が向かっているのは、『武術祭』が行われるクレア闘技場である。
『武術祭』とは俗称で、本来は『クレア武術大闘技大会』という。
この『クレア武術大闘技大会』はクレア大陸にある3つの国の国境にあるマクナ闘技場で行われ、 この世界で有名な武術大会の1つであり大陸内外を問わず、沢山の武術家が集まり自らの研鑽と実力を見せ合う場として、とても賑わうのである。
この時期になると闘技場周辺では沢山の屋台などが開かれ、その様子がまるで祭りのようだ、とういうところから『武術祭』という俗称がついたのだろう。
少年も武術家志望なのだから、『武術祭』に参加しない訳がないのだが…。
俺は今、猛烈に急いでいる。
こうなってしまえば後の祭り、自業自得だ。
だが今年こそは、と一縷の望みをかけて全力で走っている。
流石に5年連続ともなれば、少しは譲歩してくれるのでは、と考えたわけだ。
ようやく森を抜け街に出た。
あとは街道沿いに行けば受付だ。
無駄に美しく方向転換しながら闘技場へ向かう。
それから数分、闘技場についた俺は、受付の片付けを終えた様子の係員を発見し、すぐさま声を掛ける。
「あの、すみません!まだ受付できますか!」
すると係員の人はとても怪訝な顔をし、手に持つ書類を見て、なるほど、と頷くと優しくも残酷な目(主観)をしこう言った。
「君がソーマ君だね?残念だが、今年も君1人を特別扱いはできないな。また来年、出直してくるといい。」
そして振り返ることなく去っていった。なんと冷酷(主観)な係員であろうか。人の心なんか欠片も感じられない(偏見)。
「今年も、ダメだったか…。」
俺は膝から崩れ落ち、地面に向かって呟いた。
すると、それを遠目に眺めていた人混みから1人の男が前に出てきた。
「おう、ソーマ。今年もやったのか?毎度のことだが学習しないな、お前は。」
声を掛けてきたのは、この時期になると受付横を陣取って屋台を開くおっちゃん(名前を知らない)だ。
「屋台のおっちゃんか、1年ぶりだな。串肉一本くれ。」
「まいど。」
このやりとりもこれで5回目か。
そう思うとなかなか奇妙な関係だ。
「それで?今回は何が理由だ?道案内か?それとも、魔物退治か?」
そう、毎年毎年『武術祭』の日に限って色々と面倒事に巻き込まれるのだ。
中でも一番印象的だったのは、魔物退治だろう。
あの時戦ったのはゴブリンの群れ、総勢20名。
その内上位クラスが4名おり、統率のとれたバランスのいい陣形だったため時間を大幅に削られるハメにあったのだ。
そのため間に合わなかったのだが、今回ばかりは自分が悪い。
なぜなら…。
「単純に、寝坊した」
からだ。
そういうと、屋台のおっちゃんは豪快に笑い始めた。
「がっははは!ほんとに飽きないやつだな、お前は。ほれ、串肉おまけでもう1本やろう。」
「むぅ、微妙にありがたいから弄られてるのを怒るに怒れない…。」
素直に受け取って串肉を食べる。相変わらず美味い。
このおっちゃん、この串肉一本でかなり稼いでいるらしい。
なかなかうまい商売をやっているようだ。
まぁ、俺もそれに貢献している訳だが。
「今年も観戦かなー。」
「おっ、てことは恒例のアレもやるのか?」
「勿論。このまま終わるわけにはいかないだろ!」
ニヒルな笑みを浮かべ、串肉を頬張る。
おまけで貰った分も食べきり、闘技場に入っていくのだった。
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