コラボ─チート無しクラス転移・厨二病が率いる異世界ライフ
12話
鉄人形が塵となり風に消えたあと
何も遮るものがなくなった草原に
「勝ったーーーーーーーー!」
三人の勝鬨の声が上がる
「何とか勝てたね~、サイトーも原ちゃんも
すごい頑張ってたと思うよ~!」
光希が嬉しそうに言ってくる
「俺たちだけじゃなくて、ミキオだって
すっげー頑張ってたし、最後決めたのアイツだし
ミキオも褒めてやって…」
原が付け加える、ミキオを見ると
美少女──マドリとイチャイチャしてる
ミキオの姿があった
「前言撤回、褒めなくて良いや」
真顔に戻って影を落としながら原が言う
「そう言えば鉄人形を倒したわけだけど
ミッションってどうなったの?」
秋が、思い返したかのように言うと
「あ、確かに、まさか
もう一体居たりしないよね───」
パンパカパーン──辺りに響く快音
「な、なんだ!?」
「コラボ特別ミッション達成オメデトウゴザイマス
今回ゴ贈呈サセテイタダク達成報酬ハ
コチラデス!オ納メクダサイ!」
どこからか響く声がミッションの達成を告げた
やがて揺られながら落ちてきた紙を
マドリがキャッチし、読み上げる
「この紙に一定の衝撃を与えれば
もとの世界に帰れますだって」
「衝撃?ぶん殴ればいいのか?」
─ミキオが紙をぶん殴ると言う原始人レベルの…
「原始の人レベルのコメントありがとミキオ
破れば良いんじゃない?」
─突っ込みはいらなかった
「普通に訂正してくれませんかねぇ!?」
ミキオが盛大に突っ込む
「クソッ…イチャつきやがって」
原が唇を噛んでいる
「ってことで…」
誰からともなく切り出した
「お別れ…だな」
ミキオがポツリと零す
「…ああ、そうだな」
原が静かに返す、その声には
哀愁が滲み出ていた
「その…ありがとうサイトー達が居たから鉄人形が倒せた、ってか居なかったら
倒せなかったと思う」
「…別にそんなこと」
「いや、絶対にそうだった
だからもう一度──助けてくれてありがとう」
深々と頭を下げるミキオたち
「───じゃあ、これで」
少しの間のあと頭をあげる
マドリがミキオへと紙を差し出し
「……ミキオが破って」
「ん、わかった」
ミキオが紙へと手を伸ばした瞬間
「「「あ」」」
突如吹いた風に紙が拐われていった
「ちょ、おいおいおい!?待ってくれー!」
辺りの目が全てミキオへと向かう
「…探して来まーす!」
ミキオが紙を追って走り去って行った後
「ほら、二人ともこっち来てよ
回復魔法使えるから、怪我直してあげるよ」
マドリが元気に言う
「お、じゃあ、頼むわ」
原がひょこひょこと、近づいて行くと
「先にサイトーね、怪我が多いから」
と、原をかわし秋へと近づき回復させる
「よし、じゃあ、俺も──」
と、言うや否や
上から降ってきた何かが原を直撃した
「え?何が起きたの!?」
「何だ上から急に!新手か!?」
土煙の中、二人の人影が立ち上がる
「えっ!瀬屑!?」
マドリが嫌そうな声をあげる
「ケケケ、生きてる・・・?オイラ生きてんだ!!あーーぁ生きてるっていぃーなぁーーー」
瀬屑と呼ばれたその男はマドリ、ミキオ
「お、かつての級友が何故ここに?久しぶりだなぁ!元気にしてた!?オイラは元気さ!すこぶる、すこぶる元気だ!!」
「─────────ケケ」
「元気っていい事だよ!オイラはそう思う!だってさーーーぶっ壊し甲斐があるもんね」
「知ってる人?」
光希が場違いなゆったりとした声でマドリに聞く
「うちのクラスメイトだよ!」
そう言っている間にも戦闘は次の段階へ入っていた
「何だてめぇは…いきなり俺に
ぶつかって来やがって」
原が刀を作りだし瀬屑に斬りかかる
それを飄々とかわしながら
「ケケ─ケケケケケケケケケケ!」
ただただ嗤っている
「クソッ!なんだこの動き!当たらねぇ!」
原が額に汗をにじませている
まるで出鱈目に操られている操り人形の様に
軸がなく、ゆらゆらと揺れるように
原の刀を避けている
そのうち二本目を作りだし
手数で勝負をかけるが
全て避けられる 
誰もがその動向に目を向けるなか
「マジで瀬屑いやがった
ってか、何で原ちゃんと戦ってんだ?」
紙を追いかけていったミキオが戻ってきた
そして、今の状況を聞く
「あ!ミキオ!いきなり隕石が降ってきたと思ったら、瀬屑だったの!
しかも、原ちゃんがいなかったら
ワタシ死んでたかも」
その間にも瀬屑と原の戦いは
次のステージへと向かう
「これで決まれ!」
二本の刀を肩口に構え切り裂く
「原ちゃん!そこまで──ッ!」
秋が思わず声をあげるが
全力で振るった剣は止まること無く
瀬屑へと向かう
「盛者必衰って言ってよぉ
形あるものってさぁ、朽ちるんだよなぁ」
原が振るった刀と瀬屑の手が衝突する
飛び散る血を想像したのかマドリが目をぎゅっと閉じる
振りきられる原の刀───だったものと
無傷の瀬屑の手
「くッ!何だよコイツ!
刀が散り散りになっちまった!」
原が刀を投げ捨て新たに作り出す
「なぁ~、どんだけ実力があっても
負けちまうことってあるよなぁ
───何でだと思う?」
瀬屑が言うが原は構わず切り込み続ける
「知るかよこの通り魔野郎!」
再び一閃、体を狙うが同じように
崩されてしまう
───が、それで良い
地面を踏み締め神速へと至り
瀬屑の背後を取る
背後へと回るその寸前に刀を作り出す
「────獲った」
原が勝利を確信する
「正解は恐れさ」
原の出来る限りの速さをもって動いたが
瀬屑は原の動きを目で追った
「俺の速度を見切って───ッ!」
その速さを見切られ驚愕する原と
「────────」
対照的に何も言わない瀬屑
しかし、両者の目が告げている
────俺の敗けだ
────俺の勝ちだ
その速さを見切った瀬屑は
その手の中にあった何かを原へと投げた
(まずい、剣の塵かあれが目に入ったら…)
飛来する塵を目を閉じて防ごうと本能が
行動するがその思考が
瞼を閉じさせなかった
本能が告げている
─今、ここで目を閉じたら二度と開かないと
「──────ッ!」
「ケケケ…ぶっ壊れろ」
「『異常気象アナマレスウェザ───雷現象ライトニングフェノメノン!!』
何者かにより放たれた雷槍が原と瀬屑へと迫る
「アアアあああぁぁぁぁ!!!?!?」
しかし、原にだけ当たった
「『天候を操る能力』・・・!!」
雷槍を当たる直前に身を引き
雷撃を避けた瀬屑は顔に敵対心を表し
低く唸った。
原は焦げて黒い煙を出している
「そこまでだよ瀬屑、だるいけどアンタをほっといたらホントにどうしようもない事になるからね」
「けけ、北村ホナミ、だったっけ?お前、もっと目ん玉かっぴらいてよぉく狙えよ。オイラはまだ此処にいる。ぶっ壊されずに、此処にいる」
「フハハ、見つけたぞ瀬屑ぅ!!大人しく我が相『棒』のサビになれぇ!!」
何か知らない人が沢山いるなぁ
と、思いながら焦げている原を背負う
一人が瀬屑の脳天へと武器を降り下ろす
しかしーーー
「お前の異能は、嫌いだ・・・!!」
「いくら壊 してもまるで構わないとばかりにまた湧いてくる!まるで命の冒涜じゃないか!勇気を模しただけの臆病者め、吐き気がする」
ミキオが鎖の異能を発動させると
「お・・・!加藤ミキオじゃないか!」
「・・・・・・ッ!?」
急に瀬屑がミキオへと視点を移す
「実はな、オイラ、お前に逢いたいと思ってたんだよ。あの『トラ』を倒したそうじゃないか、一人で」
「・・・よく知ってるな。その事も、オレの名前も」
「ケケ、オイラはな、加藤ミキオ、お前と戦ってみたい。分かるか?オイラは初めて自分以外に興味を持った」
トラ?なんの事だ?
あの人たちの世界でのことか?
「えぇっと、な、瀬屑。オレを買ってくれてるのは光栄なことなんだが、今は少し立て込んでてな・・・。ーーーそうだ!うっかり探し物を森に置いてきちまった!悪いがソレを持ってくるまでーーー」
「ケケ、それはラッキーだったな、加藤ミキオ。探し物はコレだろう・・・?」
「・・・ッ!?それッ!ミッション達成の紙、どうして瀬屑が持ってんだ!」
「さっき飛ばされている時に偶然空を舞っていたからなぁ、ひっ掴んで持ってたんだ」
「・・・・・・・・・ッ!!」
(今はミキオへと注目が移っている
しかし、いつ原へ向かうかわからない
助けるならば今のうちしかない)
「ケケ、で、だ。この紙をーーーーーー・・・ッ!!」
─やるなら今だ─
「その身に刻め龍の名を──龍刻──!!」
瀬屑の身体はバネのように動き回避をする
だが、龍刻の最たる物は
その破壊力でも
不可視の斬撃でもない
回りの空気を巻き込んだ高範囲の制圧力
「・・・・・・つぅッ!!」
「ポッと出の分際で、好き勝手ハバきかせてんじゃねぇよ」
体の回復はしてもらったが
精神力の回復は出来てない
それ故、黒秋が少し表面化する
そしてその成果はーーー
「・・・ッ!?体が、消えてく・・・!?」
指先から腕に、また胴体にかけて徐々に半透明になっていく体を驚き混じりに眺める
どうやら放った龍刻の切れ端が
紙を切り裂いたらしい
「ケケ、勝負はまた次の機会に、って事か。それにしてもーーー」
こちらを見据えて言葉を続ける
「お前、強ぇなぁ。それだったら何でも護れんだろ?」
その目は秋を見てるのか
はたまた秋の中黒秋を見てのことか
「・・・・・・」
「ーーーケケ、否定しないのか・・・!」
「ーーーーーーいいか?本当に強ぇのはお前じゃない、お前のその腕、その異能だ。だからこそ、何でも護れるお前はいつか何にも護れず取りこぼす」
「いつか、絶対に、だ」
「───お前、何を言って──!」
その言葉の続きは瀬屑たちが
消えてしまったため
続くことはなかった────
「え!?これで終わり!?」
何も遮るものがなくなった草原に
「勝ったーーーーーーーー!」
三人の勝鬨の声が上がる
「何とか勝てたね~、サイトーも原ちゃんも
すごい頑張ってたと思うよ~!」
光希が嬉しそうに言ってくる
「俺たちだけじゃなくて、ミキオだって
すっげー頑張ってたし、最後決めたのアイツだし
ミキオも褒めてやって…」
原が付け加える、ミキオを見ると
美少女──マドリとイチャイチャしてる
ミキオの姿があった
「前言撤回、褒めなくて良いや」
真顔に戻って影を落としながら原が言う
「そう言えば鉄人形を倒したわけだけど
ミッションってどうなったの?」
秋が、思い返したかのように言うと
「あ、確かに、まさか
もう一体居たりしないよね───」
パンパカパーン──辺りに響く快音
「な、なんだ!?」
「コラボ特別ミッション達成オメデトウゴザイマス
今回ゴ贈呈サセテイタダク達成報酬ハ
コチラデス!オ納メクダサイ!」
どこからか響く声がミッションの達成を告げた
やがて揺られながら落ちてきた紙を
マドリがキャッチし、読み上げる
「この紙に一定の衝撃を与えれば
もとの世界に帰れますだって」
「衝撃?ぶん殴ればいいのか?」
─ミキオが紙をぶん殴ると言う原始人レベルの…
「原始の人レベルのコメントありがとミキオ
破れば良いんじゃない?」
─突っ込みはいらなかった
「普通に訂正してくれませんかねぇ!?」
ミキオが盛大に突っ込む
「クソッ…イチャつきやがって」
原が唇を噛んでいる
「ってことで…」
誰からともなく切り出した
「お別れ…だな」
ミキオがポツリと零す
「…ああ、そうだな」
原が静かに返す、その声には
哀愁が滲み出ていた
「その…ありがとうサイトー達が居たから鉄人形が倒せた、ってか居なかったら
倒せなかったと思う」
「…別にそんなこと」
「いや、絶対にそうだった
だからもう一度──助けてくれてありがとう」
深々と頭を下げるミキオたち
「───じゃあ、これで」
少しの間のあと頭をあげる
マドリがミキオへと紙を差し出し
「……ミキオが破って」
「ん、わかった」
ミキオが紙へと手を伸ばした瞬間
「「「あ」」」
突如吹いた風に紙が拐われていった
「ちょ、おいおいおい!?待ってくれー!」
辺りの目が全てミキオへと向かう
「…探して来まーす!」
ミキオが紙を追って走り去って行った後
「ほら、二人ともこっち来てよ
回復魔法使えるから、怪我直してあげるよ」
マドリが元気に言う
「お、じゃあ、頼むわ」
原がひょこひょこと、近づいて行くと
「先にサイトーね、怪我が多いから」
と、原をかわし秋へと近づき回復させる
「よし、じゃあ、俺も──」
と、言うや否や
上から降ってきた何かが原を直撃した
「え?何が起きたの!?」
「何だ上から急に!新手か!?」
土煙の中、二人の人影が立ち上がる
「えっ!瀬屑!?」
マドリが嫌そうな声をあげる
「ケケケ、生きてる・・・?オイラ生きてんだ!!あーーぁ生きてるっていぃーなぁーーー」
瀬屑と呼ばれたその男はマドリ、ミキオ
「お、かつての級友が何故ここに?久しぶりだなぁ!元気にしてた!?オイラは元気さ!すこぶる、すこぶる元気だ!!」
「─────────ケケ」
「元気っていい事だよ!オイラはそう思う!だってさーーーぶっ壊し甲斐があるもんね」
「知ってる人?」
光希が場違いなゆったりとした声でマドリに聞く
「うちのクラスメイトだよ!」
そう言っている間にも戦闘は次の段階へ入っていた
「何だてめぇは…いきなり俺に
ぶつかって来やがって」
原が刀を作りだし瀬屑に斬りかかる
それを飄々とかわしながら
「ケケ─ケケケケケケケケケケ!」
ただただ嗤っている
「クソッ!なんだこの動き!当たらねぇ!」
原が額に汗をにじませている
まるで出鱈目に操られている操り人形の様に
軸がなく、ゆらゆらと揺れるように
原の刀を避けている
そのうち二本目を作りだし
手数で勝負をかけるが
全て避けられる 
誰もがその動向に目を向けるなか
「マジで瀬屑いやがった
ってか、何で原ちゃんと戦ってんだ?」
紙を追いかけていったミキオが戻ってきた
そして、今の状況を聞く
「あ!ミキオ!いきなり隕石が降ってきたと思ったら、瀬屑だったの!
しかも、原ちゃんがいなかったら
ワタシ死んでたかも」
その間にも瀬屑と原の戦いは
次のステージへと向かう
「これで決まれ!」
二本の刀を肩口に構え切り裂く
「原ちゃん!そこまで──ッ!」
秋が思わず声をあげるが
全力で振るった剣は止まること無く
瀬屑へと向かう
「盛者必衰って言ってよぉ
形あるものってさぁ、朽ちるんだよなぁ」
原が振るった刀と瀬屑の手が衝突する
飛び散る血を想像したのかマドリが目をぎゅっと閉じる
振りきられる原の刀───だったものと
無傷の瀬屑の手
「くッ!何だよコイツ!
刀が散り散りになっちまった!」
原が刀を投げ捨て新たに作り出す
「なぁ~、どんだけ実力があっても
負けちまうことってあるよなぁ
───何でだと思う?」
瀬屑が言うが原は構わず切り込み続ける
「知るかよこの通り魔野郎!」
再び一閃、体を狙うが同じように
崩されてしまう
───が、それで良い
地面を踏み締め神速へと至り
瀬屑の背後を取る
背後へと回るその寸前に刀を作り出す
「────獲った」
原が勝利を確信する
「正解は恐れさ」
原の出来る限りの速さをもって動いたが
瀬屑は原の動きを目で追った
「俺の速度を見切って───ッ!」
その速さを見切られ驚愕する原と
「────────」
対照的に何も言わない瀬屑
しかし、両者の目が告げている
────俺の敗けだ
────俺の勝ちだ
その速さを見切った瀬屑は
その手の中にあった何かを原へと投げた
(まずい、剣の塵かあれが目に入ったら…)
飛来する塵を目を閉じて防ごうと本能が
行動するがその思考が
瞼を閉じさせなかった
本能が告げている
─今、ここで目を閉じたら二度と開かないと
「──────ッ!」
「ケケケ…ぶっ壊れろ」
「『異常気象アナマレスウェザ───雷現象ライトニングフェノメノン!!』
何者かにより放たれた雷槍が原と瀬屑へと迫る
「アアアあああぁぁぁぁ!!!?!?」
しかし、原にだけ当たった
「『天候を操る能力』・・・!!」
雷槍を当たる直前に身を引き
雷撃を避けた瀬屑は顔に敵対心を表し
低く唸った。
原は焦げて黒い煙を出している
「そこまでだよ瀬屑、だるいけどアンタをほっといたらホントにどうしようもない事になるからね」
「けけ、北村ホナミ、だったっけ?お前、もっと目ん玉かっぴらいてよぉく狙えよ。オイラはまだ此処にいる。ぶっ壊されずに、此処にいる」
「フハハ、見つけたぞ瀬屑ぅ!!大人しく我が相『棒』のサビになれぇ!!」
何か知らない人が沢山いるなぁ
と、思いながら焦げている原を背負う
一人が瀬屑の脳天へと武器を降り下ろす
しかしーーー
「お前の異能は、嫌いだ・・・!!」
「いくら壊 してもまるで構わないとばかりにまた湧いてくる!まるで命の冒涜じゃないか!勇気を模しただけの臆病者め、吐き気がする」
ミキオが鎖の異能を発動させると
「お・・・!加藤ミキオじゃないか!」
「・・・・・・ッ!?」
急に瀬屑がミキオへと視点を移す
「実はな、オイラ、お前に逢いたいと思ってたんだよ。あの『トラ』を倒したそうじゃないか、一人で」
「・・・よく知ってるな。その事も、オレの名前も」
「ケケ、オイラはな、加藤ミキオ、お前と戦ってみたい。分かるか?オイラは初めて自分以外に興味を持った」
トラ?なんの事だ?
あの人たちの世界でのことか?
「えぇっと、な、瀬屑。オレを買ってくれてるのは光栄なことなんだが、今は少し立て込んでてな・・・。ーーーそうだ!うっかり探し物を森に置いてきちまった!悪いがソレを持ってくるまでーーー」
「ケケ、それはラッキーだったな、加藤ミキオ。探し物はコレだろう・・・?」
「・・・ッ!?それッ!ミッション達成の紙、どうして瀬屑が持ってんだ!」
「さっき飛ばされている時に偶然空を舞っていたからなぁ、ひっ掴んで持ってたんだ」
「・・・・・・・・・ッ!!」
(今はミキオへと注目が移っている
しかし、いつ原へ向かうかわからない
助けるならば今のうちしかない)
「ケケ、で、だ。この紙をーーーーーー・・・ッ!!」
─やるなら今だ─
「その身に刻め龍の名を──龍刻──!!」
瀬屑の身体はバネのように動き回避をする
だが、龍刻の最たる物は
その破壊力でも
不可視の斬撃でもない
回りの空気を巻き込んだ高範囲の制圧力
「・・・・・・つぅッ!!」
「ポッと出の分際で、好き勝手ハバきかせてんじゃねぇよ」
体の回復はしてもらったが
精神力の回復は出来てない
それ故、黒秋が少し表面化する
そしてその成果はーーー
「・・・ッ!?体が、消えてく・・・!?」
指先から腕に、また胴体にかけて徐々に半透明になっていく体を驚き混じりに眺める
どうやら放った龍刻の切れ端が
紙を切り裂いたらしい
「ケケ、勝負はまた次の機会に、って事か。それにしてもーーー」
こちらを見据えて言葉を続ける
「お前、強ぇなぁ。それだったら何でも護れんだろ?」
その目は秋を見てるのか
はたまた秋の中黒秋を見てのことか
「・・・・・・」
「ーーーケケ、否定しないのか・・・!」
「ーーーーーーいいか?本当に強ぇのはお前じゃない、お前のその腕、その異能だ。だからこそ、何でも護れるお前はいつか何にも護れず取りこぼす」
「いつか、絶対に、だ」
「───お前、何を言って──!」
その言葉の続きは瀬屑たちが
消えてしまったため
続くことはなかった────
「え!?これで終わり!?」
「冒険」の人気作品
書籍化作品
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29
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0
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2
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58
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93
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147
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969
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52
コメント
キズミ ズミ
お疲れ様でした!
言いたい事は全部本編の近況報告で言ったのでそちらをご覧ください