Licht・Ritter:リッチ・リッター

∞云エンド∞

28話<Space strongest:宇宙最強>

辺りは灰色に包まれる...
灯里はさっきの爆発音を聞き何かを感じたのか、颯爽とその爆発した現場へと向かう、灯里が着いた時にはもう煙は消えかかっていた。
やがて煙が消え、灯里は目の前の光景を見て唖然とする。
特に爆発物を使ったあとはないのにまるで威力がそこそこ強い爆弾が爆発したかのように辺りの物は破損していて、何故かその中央にある車だけがさっきの状態で残っていた...
とても奇妙な光景だった。

(何?これ...)
灯里は心で思うだけで言葉にできなかった。
しかし、灯里のなかで少し疑問が残った。

(耀くんは!?)
そうだ、消えたのは練だけではないこの光景を創り出した張本人の雅視の影も見当たらなかったのだ...

「何が...あっ...たの?」
灯里がそう呟いた次の瞬間、ある人の声が聞こえた。

「まったく...どこもかしこも、魔法をマスターすれば、魔法に任せて悪事ばかり働く...これでは魔法使いの歴史が汚れるではありませんか...」
そこに現れたのはがたいのでかい上半身裸の男だった、とても魔法使いには見えない体だ...灯里はそう思った。
つかさず灯里はその男に対してこう言った。

「あ、あなたは誰?」
「私の名前ですか...まぁその話は後にして、私が不意打ちをした際にあの人も巻き込まれたのですが...大丈夫でしょうか?」
「あの人?...耀くん!?」
灯里がふと向いたところには練が倒れている姿があった、その少し離れた先にはさっき練を攻撃したはずの雅視が倒れていたのだ。
灯里は練が倒れているのを確認するとそこに駆け寄りこう言った。

「耀くん!!大丈夫?」
練はその灯里の呼びかけに対して、辛そうにこう言う。

「あぁ...大丈夫と言いたいところなんだが...多分これ腕折ったわ。」
「え!?」
練と灯里はそのようなやり取りをしているとさっきの男がそっと近づく、そして練の近くでしゃがみこみ、練の折れた腕に手を添える。
すると、練の折れた腕のところから緑色の光が溢れ出す、練はその瞬間、少し痛みがひけてきた気がした。

「もう大丈夫です、完治するまで後少し時間がかかる、まだその体制でいてください。」
「お、おう...」
練はその男の言う通りにじっとしていると、その男の後ろで誰かがよたついてはいるが立ちあがっている姿が見えた、そう...雅視だ...
雅視は体制を立て直すと今にも殴りかかってきそうな構えで右手の拳に魔力を溜める...

「おじさん!!逃げろ!!」
練は咄嗟にその男に呼びかける。

「え?なんですか?」
しかし、その男は話を聞いていなかった。
雅視はもうすぐそこまできていた。

「死ねやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
そう言って雅視は男に向かって拳を振りかざす。

「まったく、大したものです...私の魔力を直に受けても立っていられるなんて...」
男はそう呟くとゆっくりと立ち上がる...
そして雅視の方へ目を向けた次の瞬間、雅視の動きがピタッと止まった。

「しかし...あなたは私を殺すことだけ考えた、だから私があなたをここまで来るように仕向けていることに気づかなかった...」
その男は話してはいるが雅視にはその声は聞こえていない...そう、これは雅視の動きを止めたのではなく、この世界の時間を止めたのだ...

「戦闘において1番大切なこと...それは冷静でい続けるということだ...しかし、あなたは感情だけに身を任せ、私にその拳を向けてきた...よく魔力の溜まった拳だ...」
そういった後、その男は少し黙り込む...
そして、ふと練の方を見る...
そして、その男は何かを呟いた...
そのあとにその男は雅視の方を向いて拳を雅視の鳩尾に打ち込む。
もちろん、その時の雅視には鳩尾を殴られた感覚はない。

「今こそ裁きの時...」
男はそう言って指をパチンと鳴らす。

「グホァ!!!!」
その瞬間...時間が動きだした。
そしてその瞬間、雅視の鳩尾をまるで爆弾が爆発したかのような衝撃が走り、剣で貫かれたかのような痛みが走った、そしてジェット機のような速さで後方へと吹っ飛び建物の壁を貫き、建物の角にあたりその衝撃で雅視は空回りする、建物にあたった衝撃で骨はバキバキに折れ、体は軟体動物のように柔らかくなっていた。
そして、あっという間に雅視は見えなくなった。

「あらら...まさかこれだけの力で...まぁ、日本の警察は優秀ですしなんとかなるでしょう...」
男はまるでさっきの光景に慣れているかのようにそう言った。
しかし、それは練達や周りの人達からしたら青天の霹靂の出来事だった。
練は恐る恐る男にこう質問する。

「おじさん...一体なにもんだ?」
練の言葉を聞いたその男は首だけを少し練の方へ向けこう言った。

「私はただの通りすがりの人です...しかし、今の光景はあなた達にとってはとても過激だったかもしれません...そういえばそこのあなた...少し名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
灯里のことだった。
灯里は少し震えながらもこう言った。

「あ、天野...灯里、です...」
その男は灯里の反応を少しぎこちなく感じた。

「そんなに慌てなくてよろしいのですが...そちらの男性は耀 練さんですね?」
練はその男が自分の名前を知っていたことに疑問を感じた。

「なんで、俺の名前を...」
「まぁ気にしないでください...あっ、そういえば私の名前を教えていなかったですね。」
そう言ってその男は体ごと練達の方へと向いてこう言った。

「私の名前はヨハネス・イニエスタ...宇宙最強と讃えられた男です。」

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