異世界モノ【削除予定】
レベルアップ+α
目の前で絶命したキャタピラージを、ドロップボックスへ収納するように念じる。
キャタピラージが緑色の粒子となり、中空へと上昇、三メートル辺りで霧散する。
三度目となるその光景を見遣った光瑠は、大きく一息つける。
「ふぅー…………」
溜め息のように息を吐き、すっ、と脳の意識を切り替える。
昔から意識の切り替えが尋常無く早い光瑠は、さて、と発し、帰りますかね、と口にする。
独り言の通り、光瑠は来た方向から逆算するかたちで帰路につく。
一応ギルドカードの機能、ホームを活用する方法も有るが、レイが光瑠とクレヒムへ向かう際はそんな様子は見受けられず、レイの記憶で帰っているのだと分かる。
故に、光瑠自身も自力で帰れるようにした方が何かと都合が良いと考え、結果ホーム機能に頼らず帰ろうと決めたのだ。
それにしても、と光瑠は空を見上げる。
朝早くからクエストに出て、どれくらい経っただろうか。光瑠の目に映る太陽光は真上を通過したあたりに見える。
感覚的にも昼頃だと告げており、そうなると四時間近くは森を歩いていたということになる。
それが早いかどうかは光瑠には分かりえないが、主観的には、予想よりも早い、だった。
午後三時半ばまでかかると思っていた光瑠。
それもこれもキャタピラージを三体瞬殺したためである。
そんなことを考えていると、ふと二体目を倒した時に起きた感覚が気になった。
体が高揚するような、不思議な感覚。
嫌ではないその感覚の正体が何なのか、その疑問を光瑠は頭の片隅に納めつつ、三体目の探索に入った。
それを今思い出したのだ。
あれはいったい何だったのか。そんな疑問に対する推論は一つ。その解答があっているかの確認を、光瑠は歩みを進めつつも始めた。
「ステータス」
別に念じれば出るものだが、行動が結果になる世界で育った光瑠は、念じて起こることに心境的に違和感を覚えるため、慣れるまでは時々口にするようにしていた。
――――――――
名前:霧雨・光瑠
レベル:2(up)
種族:人間種
職業:盗賊
魔力:2577/2577
エクストラスキル:〈強奪〉〈万物破壊〉
スキル:〈短剣術:1〉(new)〈状態異常無効:極〉〈鑑定:極・改〉〈採取:1〉
称号:【解析不明】
――――――――
やっぱりかぁ。心中でそう呟く光瑠。
それは光瑠の推論が当たっていたことを表していた。
目を向けた場所はレベル。
森へ入る前、光瑠のレベルは1のはず。実際にステータスを開いての確認を行ってはいないが、間違っていないだろう。
その証拠になりうるか不明だが、レベルの2の横にカッコupとある。
以上から導き出される答えはキャタピラージ二体倒したことで取得した経験値でレベルアップした、ということであり、二体目を倒した時に感じた高揚感にも納得がいく。
あれがレベルアップの感覚か。
光瑠はあの時の感覚を思い出す。
(あの感覚に早く慣れねぇとなぁ。戦闘中に起きたら堪んねぇわ)
今回はキャタピラージ一体との戦闘三回だったが、複数体を相手にする場合も当然あるだろう。その時にレベルアップする度に僅かな隙でも作ろうものなら死にかねない。
……とは思うものの、光瑠は今回のレベルアップで高揚はしたものの隙を作ってしまうほどの動揺は無かったので、個人的には問題視していなかった。
それよりも。光瑠は目の焦点を下げる。スキルだ。
「短剣術、習得したのか」
自らのステータスなのに他人事なのは、そのスキルの恩恵が身に染みて感じていないためだった。レベル1だからだろう。
しかしレベルは問題ではなかった。問題は習得したという部分。
レイ曰く、スキルの習得には長い時間を有するらしく、人によって個人差はあるが、長ければ一年を必要とする者も居ると言われているよう。
そのため光瑠は初戦闘、それも四時間弱で習得したことに疑問を持ったのだ。
(考えられる可能性は三つ)
異世界人だから習得が早い。光瑠自身に短剣術の才能があった。もしくは――
(称号の影響か)
――解析不明という謎の称号。〈鑑定:極・改〉という異様なチカラですら判明出来ない称号。
これが関わっている可能性を光瑠は考えていた。
しかしそれはあくまでも憶測であり、もっといえば前述三つの中でも可能性としては今のところ一番低いものだった。
それならば異世界人だから、という方がライトノベル的展開からも高いだろうと光瑠は思う。
――――閑話休題。
正直理由を今知ろうとあまり影響しないので光瑠は放っておくことにする。
深く考えても出ない答えならば今は考えるだけ無駄だと、思考を切り替え、ギルドへ戻ってからの予定を組むことにした。
キャタピラージが緑色の粒子となり、中空へと上昇、三メートル辺りで霧散する。
三度目となるその光景を見遣った光瑠は、大きく一息つける。
「ふぅー…………」
溜め息のように息を吐き、すっ、と脳の意識を切り替える。
昔から意識の切り替えが尋常無く早い光瑠は、さて、と発し、帰りますかね、と口にする。
独り言の通り、光瑠は来た方向から逆算するかたちで帰路につく。
一応ギルドカードの機能、ホームを活用する方法も有るが、レイが光瑠とクレヒムへ向かう際はそんな様子は見受けられず、レイの記憶で帰っているのだと分かる。
故に、光瑠自身も自力で帰れるようにした方が何かと都合が良いと考え、結果ホーム機能に頼らず帰ろうと決めたのだ。
それにしても、と光瑠は空を見上げる。
朝早くからクエストに出て、どれくらい経っただろうか。光瑠の目に映る太陽光は真上を通過したあたりに見える。
感覚的にも昼頃だと告げており、そうなると四時間近くは森を歩いていたということになる。
それが早いかどうかは光瑠には分かりえないが、主観的には、予想よりも早い、だった。
午後三時半ばまでかかると思っていた光瑠。
それもこれもキャタピラージを三体瞬殺したためである。
そんなことを考えていると、ふと二体目を倒した時に起きた感覚が気になった。
体が高揚するような、不思議な感覚。
嫌ではないその感覚の正体が何なのか、その疑問を光瑠は頭の片隅に納めつつ、三体目の探索に入った。
それを今思い出したのだ。
あれはいったい何だったのか。そんな疑問に対する推論は一つ。その解答があっているかの確認を、光瑠は歩みを進めつつも始めた。
「ステータス」
別に念じれば出るものだが、行動が結果になる世界で育った光瑠は、念じて起こることに心境的に違和感を覚えるため、慣れるまでは時々口にするようにしていた。
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名前:霧雨・光瑠
レベル:2(up)
種族:人間種
職業:盗賊
魔力:2577/2577
エクストラスキル:〈強奪〉〈万物破壊〉
スキル:〈短剣術:1〉(new)〈状態異常無効:極〉〈鑑定:極・改〉〈採取:1〉
称号:【解析不明】
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やっぱりかぁ。心中でそう呟く光瑠。
それは光瑠の推論が当たっていたことを表していた。
目を向けた場所はレベル。
森へ入る前、光瑠のレベルは1のはず。実際にステータスを開いての確認を行ってはいないが、間違っていないだろう。
その証拠になりうるか不明だが、レベルの2の横にカッコupとある。
以上から導き出される答えはキャタピラージ二体倒したことで取得した経験値でレベルアップした、ということであり、二体目を倒した時に感じた高揚感にも納得がいく。
あれがレベルアップの感覚か。
光瑠はあの時の感覚を思い出す。
(あの感覚に早く慣れねぇとなぁ。戦闘中に起きたら堪んねぇわ)
今回はキャタピラージ一体との戦闘三回だったが、複数体を相手にする場合も当然あるだろう。その時にレベルアップする度に僅かな隙でも作ろうものなら死にかねない。
……とは思うものの、光瑠は今回のレベルアップで高揚はしたものの隙を作ってしまうほどの動揺は無かったので、個人的には問題視していなかった。
それよりも。光瑠は目の焦点を下げる。スキルだ。
「短剣術、習得したのか」
自らのステータスなのに他人事なのは、そのスキルの恩恵が身に染みて感じていないためだった。レベル1だからだろう。
しかしレベルは問題ではなかった。問題は習得したという部分。
レイ曰く、スキルの習得には長い時間を有するらしく、人によって個人差はあるが、長ければ一年を必要とする者も居ると言われているよう。
そのため光瑠は初戦闘、それも四時間弱で習得したことに疑問を持ったのだ。
(考えられる可能性は三つ)
異世界人だから習得が早い。光瑠自身に短剣術の才能があった。もしくは――
(称号の影響か)
――解析不明という謎の称号。〈鑑定:極・改〉という異様なチカラですら判明出来ない称号。
これが関わっている可能性を光瑠は考えていた。
しかしそれはあくまでも憶測であり、もっといえば前述三つの中でも可能性としては今のところ一番低いものだった。
それならば異世界人だから、という方がライトノベル的展開からも高いだろうと光瑠は思う。
――――閑話休題。
正直理由を今知ろうとあまり影響しないので光瑠は放っておくことにする。
深く考えても出ない答えならば今は考えるだけ無駄だと、思考を切り替え、ギルドへ戻ってからの予定を組むことにした。
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