異世界モノ【削除予定】
高性能、ギルドカード
生活が変わると日が経つのも早く、ギルドカードを受け取る日がやってくる。
光瑠は受付嬢に言われたように、朝七時、冒険者ギルドの活動開始時間に来ていた。
「どうもー、ギルドカード貰いに来ましたー」
前回と同じ受付嬢、テイミーに声をかける。
「あ、お久しぶりです。今から取ってきますから待っててください」
テイミーはそう言って奥の部屋へと入っていく。
数分も待たないうちに戻ってきたテイミーの手には一枚の黄色いカードが。
「こちらがヒカルさんのギルドカードになります」
自己紹介した覚えのない光瑠だったが、質問事項用紙に名前は記入していた事を思い出す。
「どもども」
カウンターに置かれたカードを受け取る。
「それではこれから冒険者になるヒカルさんへ説明をあちらで行います」
受付カウンターとは少し離れた場所に移動する。おそらく時間がかかるため受付カウンターで話すのを避けたのだと理解する。
「今からする説明のなかには前回記入していただいた用紙と同じ内容を説明、質問します」
カードをまじまじと見ていた光瑠は聞く姿勢を見せる。
「まず冒険者へ登録される際に発生します発行料、一金貨は即払いではなく、これからの活動で得た報酬から回す、ということでよろしいですか?」
その問いに光瑠は、よろしいですよー、と答える。
これは用紙に書かれていた質問と同じなので迷うことなく返答出来た。
「そして毎月始め、当ギルドは皆様冒険者に対し一金貨の徴収を行っており、それを支払わない場合は脱退という規則があります。勿論即日でなくともよろしいですが、期限はその月の初週末、何らかの事情がある場合は要相談となっています」
ギルドに所属していると与れる恩恵があり、冒険者はそれを利用出来る代わりに毎月一金貨収めなくてはならないルールがあった。
期限に関しては書かれていなかったが、これも用紙に書かれていた事項であり、了承のサインをしていたので口を挟む内容では無かった。
「では次にクエストに関する説明を行います。冒険者ギルドでは様々な方から送られる依頼を主とし、その達成に対し、報酬を与える形となっています」
――――クエストはクエストボードから自分で選ぶか、受付嬢に相談してランクに見合ったクエストを受けることが出来る。
そしてクエストにもランクが存在し、その者のギルドランクと同ランク以下しか受けることが出来ないとしている。これは無謀なランクのクエストを報酬目当てで受注し、そのまま帰らぬ人となるのを防ぐためだった。
「因みにヒカルさんの現在のランクはEランクとなっています」
ランクは低い方からF、E、D、C、B、A、S、M、Jとなっており、ランクごとにギルドカードの色が違う。黄色、これはEランクを示す色なのだ。
「次にギルドカードの説明に入ります」
まずはギルドカードを開くように意識してください。
受付嬢に言われ、光瑠が実行すると、ステータスの時のような半透明の液晶が目の前に現出した。
――――――――
名前:霧雨・光瑠
ランク:E
ホーム:クレヒム
所持金:――――
アイテム
装備詳細
クエスト内容
魔物一覧
ドロップボックス
行動記録
称号:――――
――――――――
「今ヒカルさんが見ているそれはギルドステータスと呼ばれ、様々な機能を有しています。名前、ランクは良いですかね。ホームですがこれはギルドカードが促す道しるべ、とでも思ってください」
冒険者は常日頃から様々な場所へと赴く。そのため歩んだ道が分からなくなる場合がある。そんな時ホームに登録しているへの案内となるのがホームだった。
この機能は道順を知りたい場合などにギルドカードを持って念じれば、ホームのある方向へと向いた矢印が表示されるのだ。
これによって道に迷うという恐れは無くなるのだ。
無論地図が浮かぶわけでも正確なルートが表示されるわけではないので完璧とは言い難いが、それでもこの世界においては高性能といって然るべき性能だった。
――――次に説明を受けた所持金。ギルドカードは貨幣を貯金する能力が備わっており、ギルドカードの名前と貨幣の持ち主の名前が一致した貨幣をギルドカードに貯めることが出来る。
貯金している貨幣はギルドカードが手元にあれば取り出すことが可能で、いつでもどこでも取り出せることから、光瑠はこの機能をどこでもATMと呼ぶことにした。
「そして次にアイテムです。こちらもカードの名前と所有者が一致するモノを保管する機能です。ただ重量制限が有りまして五キログラム以上は収納出来ない仕様となっています」
五キログラムをどう捉えるかは各々の見解があるが、光瑠としては無くとも良いし、有れば有効活用程度にしか思っていないぐらいの機能でしか無かった。
というのも将来的には五キロなんて生半可な重量よりも更に収納出来るマジックボックスを手にする予定だったからだ。
「装備詳細はそのまま今装着している装備の詳細が見れる機能で、主に破損具合などを確認する時に使います」
破損具合は耐久値だと認識している光瑠。
防具もそうだが武器は特に消耗が激しいもので、剣であれば斬れば斬るほど血や衝撃で脆くなっていくもの。血を拭おうが、どれだけ気を付けて斬ろうが破損はしていく。
それをそのまま放っておいて敵との戦闘時に壊れてしまっては危機に至るだろう。なので装備の状態が分かる機能は大変助かるものだと理解する。……光瑠には鑑定極改というスキルがあるので必要無いだろうという見解だったが。
「クエスト内容は今現在その人が受けているクエストの内容と進行状況が分かります」
例えばゴブリン五体の討伐で三体を討伐済みの場合、ゴブリン3/5のように表示されるんだろうと推測する光瑠。
記憶にはそこそこ自信はあるが、ないに越したことは無いだろう。
「魔物一覧とは魔物に関する情報や過去倒した魔物の数などが記録される部分で、知らない魔物の情報が乗ることは有りません」
知らない魔物は乗らない、とテイミーは言っている通り、人から聞いた魔物の情報や、魔物の情報が乗った本を読んで知ったことは記録されるという。
つまり見たことも戦ったことも無い敵の情報を記録することも出来るわけである。勿論その場合討伐数は0と表記されるだろうが。
「さて。そしてこのギルドカードでも一番高性能とされるのが次のドロップボックスです」
以上のような機能を差し置いて、一番と言わしめるドロップボックスの機能は、凄まじかった。
「この機能は、討伐した魔物と、その魔物が所有していたモノを収納する能力を持っています」
ゴブリンを倒した場合、そのゴブリンの死体とゴブリンが持っていたモノを収納出来る、ということ。
しかしこの機能のなにが凄いのか、それは続けてテイミーが言った内容にあった。
「そしてこのドロップボックスには重量制限という概念はなく、倒した魔物とその魔物の所持していたモノという条件さえ達成していればいくらでも収納出来ます」
そう。このドロップボックス、制限が無いのだ。
ギルドカード所有者と討伐者が一緒であれば、死んだ魔物を際限なく収納することが可能なのだ。
正直言ってそれは破格の機能といえる。なぜならこの機能を利用すれば食料に困らないのだから。
アイテム、ドロップボックス、マジックボックスといった異次元収納系は全て時間の経過に影響しないと言われている。
つまり倒した魔物の肉が腐らずに保存されるというわけである。
加えて敵が武器を持っていた場合、いざという時はその武器を利用出来るわけである。
(こんな有り得ないレベルのものを作れるとか、古代の遺産凄すぎだろ)
加えてギルドカードを作成する古代の遺産は数多く存在し――故に古代の遺産という本来であれば厳重に保管されるものがこの街にも置かれているのだが――、過去現出した古代の遺産の中では低ランクというのだから恐ろしい話だと光瑠は感じた。
光瑠は受付嬢に言われたように、朝七時、冒険者ギルドの活動開始時間に来ていた。
「どうもー、ギルドカード貰いに来ましたー」
前回と同じ受付嬢、テイミーに声をかける。
「あ、お久しぶりです。今から取ってきますから待っててください」
テイミーはそう言って奥の部屋へと入っていく。
数分も待たないうちに戻ってきたテイミーの手には一枚の黄色いカードが。
「こちらがヒカルさんのギルドカードになります」
自己紹介した覚えのない光瑠だったが、質問事項用紙に名前は記入していた事を思い出す。
「どもども」
カウンターに置かれたカードを受け取る。
「それではこれから冒険者になるヒカルさんへ説明をあちらで行います」
受付カウンターとは少し離れた場所に移動する。おそらく時間がかかるため受付カウンターで話すのを避けたのだと理解する。
「今からする説明のなかには前回記入していただいた用紙と同じ内容を説明、質問します」
カードをまじまじと見ていた光瑠は聞く姿勢を見せる。
「まず冒険者へ登録される際に発生します発行料、一金貨は即払いではなく、これからの活動で得た報酬から回す、ということでよろしいですか?」
その問いに光瑠は、よろしいですよー、と答える。
これは用紙に書かれていた質問と同じなので迷うことなく返答出来た。
「そして毎月始め、当ギルドは皆様冒険者に対し一金貨の徴収を行っており、それを支払わない場合は脱退という規則があります。勿論即日でなくともよろしいですが、期限はその月の初週末、何らかの事情がある場合は要相談となっています」
ギルドに所属していると与れる恩恵があり、冒険者はそれを利用出来る代わりに毎月一金貨収めなくてはならないルールがあった。
期限に関しては書かれていなかったが、これも用紙に書かれていた事項であり、了承のサインをしていたので口を挟む内容では無かった。
「では次にクエストに関する説明を行います。冒険者ギルドでは様々な方から送られる依頼を主とし、その達成に対し、報酬を与える形となっています」
――――クエストはクエストボードから自分で選ぶか、受付嬢に相談してランクに見合ったクエストを受けることが出来る。
そしてクエストにもランクが存在し、その者のギルドランクと同ランク以下しか受けることが出来ないとしている。これは無謀なランクのクエストを報酬目当てで受注し、そのまま帰らぬ人となるのを防ぐためだった。
「因みにヒカルさんの現在のランクはEランクとなっています」
ランクは低い方からF、E、D、C、B、A、S、M、Jとなっており、ランクごとにギルドカードの色が違う。黄色、これはEランクを示す色なのだ。
「次にギルドカードの説明に入ります」
まずはギルドカードを開くように意識してください。
受付嬢に言われ、光瑠が実行すると、ステータスの時のような半透明の液晶が目の前に現出した。
――――――――
名前:霧雨・光瑠
ランク:E
ホーム:クレヒム
所持金:――――
アイテム
装備詳細
クエスト内容
魔物一覧
ドロップボックス
行動記録
称号:――――
――――――――
「今ヒカルさんが見ているそれはギルドステータスと呼ばれ、様々な機能を有しています。名前、ランクは良いですかね。ホームですがこれはギルドカードが促す道しるべ、とでも思ってください」
冒険者は常日頃から様々な場所へと赴く。そのため歩んだ道が分からなくなる場合がある。そんな時ホームに登録しているへの案内となるのがホームだった。
この機能は道順を知りたい場合などにギルドカードを持って念じれば、ホームのある方向へと向いた矢印が表示されるのだ。
これによって道に迷うという恐れは無くなるのだ。
無論地図が浮かぶわけでも正確なルートが表示されるわけではないので完璧とは言い難いが、それでもこの世界においては高性能といって然るべき性能だった。
――――次に説明を受けた所持金。ギルドカードは貨幣を貯金する能力が備わっており、ギルドカードの名前と貨幣の持ち主の名前が一致した貨幣をギルドカードに貯めることが出来る。
貯金している貨幣はギルドカードが手元にあれば取り出すことが可能で、いつでもどこでも取り出せることから、光瑠はこの機能をどこでもATMと呼ぶことにした。
「そして次にアイテムです。こちらもカードの名前と所有者が一致するモノを保管する機能です。ただ重量制限が有りまして五キログラム以上は収納出来ない仕様となっています」
五キログラムをどう捉えるかは各々の見解があるが、光瑠としては無くとも良いし、有れば有効活用程度にしか思っていないぐらいの機能でしか無かった。
というのも将来的には五キロなんて生半可な重量よりも更に収納出来るマジックボックスを手にする予定だったからだ。
「装備詳細はそのまま今装着している装備の詳細が見れる機能で、主に破損具合などを確認する時に使います」
破損具合は耐久値だと認識している光瑠。
防具もそうだが武器は特に消耗が激しいもので、剣であれば斬れば斬るほど血や衝撃で脆くなっていくもの。血を拭おうが、どれだけ気を付けて斬ろうが破損はしていく。
それをそのまま放っておいて敵との戦闘時に壊れてしまっては危機に至るだろう。なので装備の状態が分かる機能は大変助かるものだと理解する。……光瑠には鑑定極改というスキルがあるので必要無いだろうという見解だったが。
「クエスト内容は今現在その人が受けているクエストの内容と進行状況が分かります」
例えばゴブリン五体の討伐で三体を討伐済みの場合、ゴブリン3/5のように表示されるんだろうと推測する光瑠。
記憶にはそこそこ自信はあるが、ないに越したことは無いだろう。
「魔物一覧とは魔物に関する情報や過去倒した魔物の数などが記録される部分で、知らない魔物の情報が乗ることは有りません」
知らない魔物は乗らない、とテイミーは言っている通り、人から聞いた魔物の情報や、魔物の情報が乗った本を読んで知ったことは記録されるという。
つまり見たことも戦ったことも無い敵の情報を記録することも出来るわけである。勿論その場合討伐数は0と表記されるだろうが。
「さて。そしてこのギルドカードでも一番高性能とされるのが次のドロップボックスです」
以上のような機能を差し置いて、一番と言わしめるドロップボックスの機能は、凄まじかった。
「この機能は、討伐した魔物と、その魔物が所有していたモノを収納する能力を持っています」
ゴブリンを倒した場合、そのゴブリンの死体とゴブリンが持っていたモノを収納出来る、ということ。
しかしこの機能のなにが凄いのか、それは続けてテイミーが言った内容にあった。
「そしてこのドロップボックスには重量制限という概念はなく、倒した魔物とその魔物の所持していたモノという条件さえ達成していればいくらでも収納出来ます」
そう。このドロップボックス、制限が無いのだ。
ギルドカード所有者と討伐者が一緒であれば、死んだ魔物を際限なく収納することが可能なのだ。
正直言ってそれは破格の機能といえる。なぜならこの機能を利用すれば食料に困らないのだから。
アイテム、ドロップボックス、マジックボックスといった異次元収納系は全て時間の経過に影響しないと言われている。
つまり倒した魔物の肉が腐らずに保存されるというわけである。
加えて敵が武器を持っていた場合、いざという時はその武器を利用出来るわけである。
(こんな有り得ないレベルのものを作れるとか、古代の遺産凄すぎだろ)
加えてギルドカードを作成する古代の遺産は数多く存在し――故に古代の遺産という本来であれば厳重に保管されるものがこの街にも置かれているのだが――、過去現出した古代の遺産の中では低ランクというのだから恐ろしい話だと光瑠は感じた。
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