流転

「助けて」

 ──ほら、また声が聞こえる。
 悲痛に満ちて、苦しさに満ちて、泣きたい声を殺した声が。

「殺して」
  
 ──ほら、また声が聞こえる。
 憎悪に満ちて、悪意に満ちて、愛おしさに溢れた声が。

 君は一体、どんな声を聞かせてくれるのかな?

 僕はそれが、それだけが楽しみで仕方が無い。

 虚飾で溢れたこの世界で、僕がランダムで決めた君は、一体どんな声で絶望を歌うのかな。

 ククク、楽しみで、うざったくて、殺したくて仕方が無い。
 最後の審判まで、君は生き延びる事が出来るかな?

 天使が鳴らす鐘の音まで……。

 僕達の鳥籠で囀る小鳥たちよ……。

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