異世界ファイター ~最強格闘技で異世界を突き進むだけの話~

チョーカー

摂津の血

 「譲れ、弟子を助けるのは師匠の役目だ」
 「それは、どっちの弟子だ? トーヤか? 俺か? それとも―――」

 明はレオを指さしながら――――

 「あの弟子を救うって意味か?」

 それを聞いた源高は笑いながら――――

 「決まっている。全員だ」
 「ふ~ん、それじゃ、俺は助けてもらおうじゃないか」

 明は、そういうと前に出る。

 「この馬鹿! ワシよりも先に行くな!」

 そう言いながら、源高は明の背中は力強く蹴った。
 それによって、明の動きは不規則な加速を見せる。
 レオは明の動きに反応できない。
 それどころか、何をされたのか理解できたのかも怪しい。
 そのまま両者はすれ違う。 しかし、明はこう呟いた。

 『摂津流 九鬼閃雷』

 正確無比の打撃がレオを打ち抜いた。――――それも人体の急所を正確に打ち抜いたのだった。
 「硬いな」とその手ごたえと伝える明。

 「やはり、人間を打った感覚とは違うか?」と源高の質問に明は頷いた。

 「さて、教会ということは魔王城の宝物庫のどれかと使っているのだろうが……ロザリーめ、余計な真似をしおって……見当もつかぬわ」
 「もしかして、これは親父の知り合いの仕業か?」
 「おうよ。今も教会の事実上のトップは500年前にワシと魔王退治した仲間の1人、聖職者のロザリーという女よ。レベルアップシステムなんて奇妙な真似をしてるから、昔みたいに何か企んでいるとは察していたが……ん? レベルアップか……」

 源高は何かを感づいたようだった。
 しかし、それ以上の親子の会話はなかった。
 レオが2人を認識したのだ。

 「ぎ?がが……き、き、き、来てくれた……だね? 兄さん? と、と、父さん?」
 「あぁ、そうだぞ。お父さんが来たから、もう安心だ。お兄ちゃんも一緒だ」

 飄々という源高を見ながら「誰がお兄ちゃんだ」と明は突っ込んだ。

 「わ、私、つよい。強ければ、強くなければ摂津流ない?」
 「むっ……う~ん、どうだろう? お兄ちゃん? 基本、強者こそ摂津流って設定なんじゃが?」
 「俺に振るなよ。 あいつ、凄い目で俺を見てるぞ」
 「年の近い弟が急にできたからって、あんまり動揺するんじゃねぇぞ。レオがかわいそうじゃろ?」
 「ぽんぽん、異世界で子供作りやがって……」
 「ん? お前の兄弟がたくさんいるって話をした記憶はなんじゃが、どうしてわかった?」
 「よし、この戦いが終わったら元の世界に帰るわ。 帰って母さんに浮気の報告を……ってあぶねぇ! 殴るか? 普通?」
 「はっはっはっ、ふざけた事を言うからだ。かかってこい愚息め。ついでにレオも同時でいいぞ?」

 「フン」と明は源高に上段回し蹴りは放つ。それを源高は交わし、カウンターを放つ。
 拳でのカウンター。それを片手で受けるも衝撃を十分に殺せず、後方に明は吹き飛んだ。

 「あぁ本気か? 本気なんだ? このいクソ親父が」
 「上等じゃい! 親が不在で当主になれた男が、なんぼのもんじゃい!」

 2人は、どこまでも本気だった。本気で戦いを始めた。
 呆然とするのは観客。そして、それはレオも同様だった。

 どうすればいい?

 そう考えるも一瞬。
 レオもまた、血がつながらないとは言え――――
 何らかの力が暴走。知能に変化が起きているとは言え――――
 その根本にあるのは摂津流の拳士と同じ。

 彼は駆け出していた。
 その動きは、久しぶりに再会した飼い主に駆け寄る忠犬のようにも見えた。


 

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