頼む!誰かこの不幸な俺を幸運にしてくれ!

あまたつ

第12話 勉強会のその後

 朝。明るい太陽がギラギラと輝いている。
「はあー。何だかなぁ」
俺はキッチンに目をやる。
「翔太様~!ご飯もう少しでできますよ~!」
ラックが大きな声で俺を呼ぶ。
 ラックはピンク色のエプロンを身に付けていた。端っこにフリフリが付いてるやつ。
 似合っている。似合っているから気に食わん。
 俺はラックに嫌そうな表情を見せた。
「どうしたの翔ちゃん?そんな顔して」
「そんな顔してたら幸せが逃げるぞ?」
ラックよりも奥の方で食事の支度をしていた二人に心配そうな表情で問いかけられた。
 その二人とは誰か。まあ、大体の方は察しがつくだろう。
 そう、完璧美少女の川井小田名と、顔は可愛いが俺への当たりが強い小野琴子だ。
 何で二人が朝っぱらから俺の家にいるのか。それは、昨日の勉強会終了後にさかのぼる。
「あ~、ついに終わりましたね~」
「良く頑張ったね、ラックちゃん!」
小田名がラックの頭を撫でながら言った。
「私も頑張ったぞ!」
琴子も撫でてほしかったのか、小田名に頭を向けながら上目遣いで言っている。
 小田名はハイハイと言いながら琴子の頭を撫でた。
 ラックが小田名に頭を撫でられながら、笑顔で言った。
「そうだ!明日休みですし、もうちょっと遊んでいってくださいよ~」
小田名と琴子は顔を見合わせてからラックに向き直った。
「それも良いね!」
「私も同意件だぞ」
ラックは二人の返事を聞いてパアッと顔を明るくした。
「じゃあ、決まりですね!」
ラックは嬉しそうにニコッと笑った。
 とても微笑ましい光景だった。それはもう、俺の心が和むくらい。うん、ここまではな。
 それから、6時位まで遊んでたんだ。そしたら、思いがけないことが起こった。
「あれれ?雨降ってませんか?」
「あ、ホントだ。降り始めちゃったね」
「やむまでここで待ってるぞ」
ー30分後ー
「雨強くなってませんか?」
「ホントだね~」
「あと少しでやむと信じるぞ」
ー更に30分後ー
「嵐ですね」
「ホントだね~」
「いや、あと少しでやむ!」
ー更に1時間後ー
「余計強くなりましたね」
「どうしようか」
「私に聞かれましても」
いや、マジでお前らどうすんの?
「今日家に親いないんだよね」
「奇遇、私も親いない!」
……ん?
「だから、明日帰っても大丈夫かも」
「私も!」
……いや、まさかな。まさかね…あはは。
「じゃあ、お泊まり会しましょう!」
「「うん!」」
………。

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