頼む!誰かこの不幸な俺を幸運にしてくれ!

あまたつ

第11話 地獄?の勉強会

 ……さて、どうしたものか。
 俺は今、リビングで勉強会をしている。メンバーは小田名、ラック、そして、琴子だ。
 いや~実に気まずい。何でこのタイミングで琴子を誘ったんだ。さっきから俺に目線を合わせようともしない。
 配置は、俺の左にラック、目の前に琴子、琴子の右隣に小田名だ。
 これ、配置にも悪意あるだろ。何で俺琴子の前なんだよ。
「翔太様~、ここ分からないです~」
隣からラックに、分からない問題を指で指しながら言われた。
 つーか、お前分からないとこ聞くの何回目だ。1問1問きいてくるな。鬱陶しい。
 表情に出ていたのか、俺の心を察したらしい小田名が、俺に代わってラックに問題の解き方を教えてくれた。
「お~!小田名さんとても分かりやすいです!翔太様の100倍位分かりやすいです!」
「うっせ!」
こいつ、それが教えてもらってる人間の発言か、このやろう。
 ……ていうか、こいつ人間じゃないんだったな。
「う~ん、ここも分からないです~」
お前本当にバカだな。それでよく神になれたもんだ。
「あ!じゃあここは琴子さんに教えてもらいます!」
「え?私?」
急に指名された琴子が、驚きの表情でラックに聞き返した。
「はい!3人の中で誰が一番教えるのが上手か比べてみたいです!」
「ん…まあ、別に良いよ」
琴子は笑顔でラックに言った。俺に一度も見せたこと無いよなその表情。
「ここがこうでね?それから……」
「なるほど!琴子さんも教えるの上手ですね!翔太様の100倍位!」
「もう分かったからそれ大声で言わないでくれ!」
俺の発言に、自然と皆笑顔になった。
 琴子も笑っていた。やっぱり琴子は可愛い。
「う~ん、一番を決めるのは難しいですね~。翔太様は問答無用でビリですが」
問答無用って!酷くね!?
「う~ん…、お二人とも上手だったので、どっちも一番です!」
「やったね琴子ちゃん!」
「うん」
三人とも笑顔で話している。ていうか、この三人いつのまにかめっちゃ仲良くなってんな。
 三人の笑顔を見ていると、俺も笑顔になってしまうくらいとても穏やかな空間だ。心が安らぐ。
 誰かさんと二人きりの時に比べたら100倍いい空間だよ、このやろう!
 俺はラックに視線を向けた。
 ラックは俺の視線に気づいたようで、俺に向かって笑顔を向けてきた。何の屈託もない優しい笑顔。
「!」
……不覚にも可愛いと思ってしまった。
 俺は恥ずかしくなり、フイと視線をそらした。
 視線をそらした先、琴子と目が合った。
 琴子は、口には出さなかったが、ごめんねと言いたげな表情の笑顔を向けてきた。おそらく、俺の腹を蹴ったことを謝りたいのだろう。
「悪いのは俺だ。驚かせてすまなかった」
琴子にだけ聞こえる声で俺も謝った。
「もう気にしなくていいよ」
琴子は恥ずかしそうに顔を赤く染めながら言ってきた。
 琴子の言葉に、俺はほっと胸を下ろした。

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