頼む!誰かこの不幸な俺を幸運にしてくれ!

イエ介

第6話 不幸を運んできた転入生

 一通り友人との会話を終え、俺は席についた。
 俺の席は一番左端の一番後ろである。ただでさえ話し相手が少ない悲しい席なのだが、隣がいないというとてつもなく余計なオプション付きだ。
 もう慣れたけどな。
 ……結局ラックはどこに行ったんだろうか。
 まあ別に良いか。
「席につけー。HRホームルーム始めるぞー。」
 ガラガラと音をたてて扉を開き、担任の女性教師が席につくよう言ってくる。
 皆自分の席につき、近くの席の人と話している。
「おーい。今から大事なこと話すんだからしっかり聞いとけよー」
 ざわざわしていた教室が若干静かになった。
「今から転入生を紹介するー」
 一度静かになったざわつきがまた大きくなった。
 ……何だろう、嫌な予感しかしない。
「入っていいぞー」
 教師が扉の外に向かって言うと、ガラガラと音をたてて一人の生徒が入って来た。
 ……。
 転入生は、教卓の前に立つと、自己紹介を始めた。
「おはようございます。本日転入しました、寺尾ラックです。どうぞ、よろしくお願いいたします。」
 うん。分かってた。
「うおおおおおおおおお!!!」
 男子生徒が、転入生の可愛さに歓喜の声をあげる。
 まあ、みてくれは良いんだ、こいつは。うん…みてくれはな。
 男子生徒は今だに興奮が押さえきれないようで、ラックを質問責めにしていた。
「好きな食べ物は?!」
 定番すぎるな。
「今日一緒に帰らないか!?」
 俺が困る。
「ラックちゃん!S?M?」
 お前それ聞いてどうする気だ?
 とまあ、こんな感じだ。
 ラックは慌ててる様子だったが、段々まんざらでもなさそうな表情になってきた。
 つーかこいつ、さりげなく俺の名字使ったよね!?
 教師は「静かにしろ」と男子を注意しながら、ラックを席へと案内した。
 ……何だろう、勘違いだろうか、俺の方に向かって来るような……。
「はい。君の席はここだ」
 教師が運んでいた机を俺の席の隣に置いた。
 おいおいマジかよ!
 男子生徒が俺を睨み付けてくる。
 痛い…とてつもなく視線が痛い…。
「よろしくお願いいたします!翔太様!」
 ラックが俺に笑顔を向けて言ってくる。
 お、おい!学校で翔太は…!
 教室がざわついた。
 無理もないな。同級生に様付けなんて、普通は考えられない。
 まあ、俺とこいつが一緒に住んでることさえばれなければまだいいんだ。
「翔太様~。今朝は本当にすみませんでした」
 再び教室がざわついた。
 おい、お前それ以上口を滑らすな。
 ただでさえ今、俺は皆から疑いの目を向けられているんだぞ。
「もう寝てる間にキスはしません!」
「お前口を閉じろーーー!!」
 余計なことを言ったラックに俺は間髪いれずに発言をさえぎった。
 ハッ!
 気付くと、俺の周りを生徒が鬼の形相で囲んでいた。

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