右目を無くした少年の恋のお話

Akisan

忙しい日

放課後

(ったく、何の用だアイツ早く帰りたいのに)
何て思っていると

「ごめん!掃除してたら遅くなっちゃった」
手を合わせながら謝罪をしてくる

「それで?用ってなに?」
意識したつもりはないが
少し言い方がキツくなってしまった

「あの、咲宮君って─ちゃんのこと」
名前のところがベルの音に掻き消される

「え?何?誰?」
聞き返すが

「何時も咲宮君と一緒にいる人!」
と、言われた

「それがどうした?」
「昨日、あのあと私にこれを渡すように
言ったの、明日休むからって」

そう言って二つ折りになった紙を渡してくる

「中は?」
「見てない」

そして、紙を開くと

『授業のノートよろしく!』
と、書いてあった

「おい、これ朝に渡すように言われなかったか?」
「スゴい!何でわかったの!?」
と、目を輝かせて言う

「この内容今からじゃどうしようもねぇだろ!」
「ごめーん!朝渡そうと思ってたら
昼になっちゃって」
「それなら昼の時に渡せよ!バカか!?」

「ったく、それで用は終わりか?」
「あ、うん、ありがと」
そう言ってまた小走りで去っていった

(チッ、なんで俺なんだよ)

メモのことは忘れて家に帰ろうとすると

「見つけたぞ咲宮ァ!」
京極が走ってくる

「またかよ!忙しいなもう!」

鬼ごっこ再スタート

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