右目を無くした少年の恋のお話

Akisan

お願い2

「お前に頼みたいことがある」
俺の目を見てハッキリと告げられた願いを

「断る」
しっかりと断る、面倒事はごめんだ
思わせ振りな態度を取るとどうなるかわからない

「ちょ、話ぐらい聞いてくれても良いじゃないか」
肩を落としてうなだれる

「て、言うか俺、お前の名前知らないんだけど」
束の間の静寂の後
「はぁぁぁぁぁ!?」
「うるさい」
相手の男が大声をあげた

「もう一ヶ月ぐらい経つのに?
クラスメイトの名前を知らない?」
───はぁ、と、ため息をついて

「俺の名前は京極智也お前の横の席だ」
手を差し出してくる

「京極…同じような名前の作家が居たな」
「はぁ?何言ってんの?」
因みに握手はしない

「ホントに頼む一つだけ、な?
ちゃんとお礼するから」
と、手を合わせて頭を下げてくる

「わかった、一つだけな」
しつこくなる前に了承してやる

「マジ!?助かる!」
「お礼は食堂の定食な」
ボリューム満点の日替わり定食お値段580円
「うぐぉっ、ま、まぁ良いだろう」
「で、頼みとは?」
内容を聞かないことにはどうしようもない

「その、アイツに今日校舎裏に来るように
伝えてほしいんだけど、良いか?」
なるほど、この男やはり──

「わかった、伝えておこう」
「さんきゅ!ホントに助かる!」
と、肩をバシバシと叩いてくる

「校舎裏に呼び出すとか、カツアゲみたいだな」
「うるせっ」

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