右目を無くした少年の恋のお話

Akisan

消失

その日、春斗は母親に言われ
お使いに出ていた。
暦では秋になったが
それでもまだ残暑は厳しい
「どのアイスにしよっかな!」
お使いをする代わりに一つアイスを
買っても良いと言われていたため
春斗は飛び跳ねながらスーパーへ向かっていた
横断歩道を渡っていたとき

───事故は起きた

トラックが信号無視をしたこと警察は言う

この時、右半身に強い衝撃を受けたことにより
右肩から手首にかけての骨を粉砕骨折し
右目は見えなくなった

目が覚めると白い天井が視界に入ってきた
体は動かない

──ここはどこだろう?
この時春斗は何もわからなかった
何で左目しか見えないのか
何で右手が動かないのか
そもそも、ここはどこなのか

暫くすると誰かの声がして
慌ただしく足音が遠ざかっていった
が、すぐに足音が増えて近づいて来た

「良かった、目が覚めたのね」
と、母親の声がする
その声はとても震えていた




そのあと事の顛末を聞いた
自分の右目が見えないこと
右腕が粉々になっていること

しかし、子供の自分にはわからなかった──


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