【佳作受賞作品】おっさんの異世界建国記
農耕を始めよう(4)
木材と言うのは燃やすと音を鳴らす物がある。
それは、木材の中に含まれている水十分に抜けていない薪などに多い。
もともと、音を鳴らす原理は乾燥しきってない水分が熱で膨張し逃げ場を失い、その際に木材を突き破って爆ぜた音だ。
そして、開拓村エルは俺が冒険者として――、そして開拓者として来てから一ヶ月くらいしか経っていない。
つまり木材を乾かす時間が無かったし、そこまで村には余裕もない。
人口が14人しかいない村だから当然と言えば当然とも言える。
いや、村どころか集落と言っても差し障りないだろう。
――そんな開拓村エルの朝は、いつも決まって火にくべられていた薪が音を鳴らす事から始まる。
昨日は、リルカと床を共にして色々とあって疲れてしまったのか、何時の間にか俺は寝ていたようだ。
そんな俺の眠りを覚ましたのは、乾ききっていない木材が鳴らす音である。
まどろみの中で俺は、ゆっくりと瞼を開ける。
瞼を擦りながら、俺は小さく欠伸をしながら気配がする方へと視線を向けると、リルカが朝食を作っていた。
「エイジさん、おはようございます」
「おはよう」
彼女の挨拶に俺は、横になりながら答える。
俺の言葉に、リルカが微笑みかけてくると「もうすぐ出来ますから」と語りかけてきた。
「今日からはエルナはいないのか……」
「はい、あの子も色々と思うところがあったと思いますので――」
「村人全員の干し肉を一ヶ月で食べてしまう事とかか……?」
「いえ、それは関係ないと思いますけど……」
「ふむ――」
まぁ、リルカが生命の危機に瀕していた状態で干し肉を食べたことに関しては仕方ないと俺は思っているので、その点に関して気に病んでないのなら問題ないな。
――と、なると……。
「あと考えられるのは俺とリルカのことを考えてくれたからか……」
「はい。たぶん、そうだと思います。秋から春にかけて狐族は、子供を作る時期なので――」
「……そ、そうか……」
自分が父親にという心構えが出来ていないことから、答えが中途半端になってしまう。
どうも自分が将来、父親になるという映像が頭の中に浮かばない。
たしか、男というのは子供が生まれて抱いてから初めて子供が出来たと実感する生き物だと日本に居たときに勤めていた会社の上司が、飲み会のときに言っていた気がする。
「今日は、これからどうしますか?」
リルカが塩を鍋の中に入れて味を調整した後に、振り返り俺に語りかけてきた。
「そうだな、まずは朝食を取ってから俺とリルカだけでソドムの町に行くとするか?」
「二人きりですか?」
「――ああ」
「大丈夫でしょうか? また、何か問題に巻き込まれたりしないでしょうか?」
「大丈夫だ、問題ない。それに、ソドムの町はエンパスの町よりも大きいからな、近くの火山で眠りについているエンシェント・ドラゴンが目を覚まして攻撃してこない限り、ソドムの町が灰燼に帰すことはないと思うぞ?」
「そうですか、安心しました。ドラゴンは一度眠りにつくと中々、目を覚まさないと言われていますので大丈夫ですね」
「ああ、それより問題は塩の持ち運びと販売。そのあとに秋から冬にかけても蒔いて収穫できる種籾の収穫と、2ヶ月から3ヶ月くらいの食料確保のほうだな」
「そうですね……、何人か連れていきますか?」
「いや、今回はリルカと二人ということで……、それに湯治場もあるからな。新婚旅行としてはいい場所だと思うんだが、どうだろうか?」
「新婚旅行ですか?」
俺の言葉にリルカが首を傾げながら不思議そうな表情で疑問を口にしていた。
「ああ、そうか……。この世界には新婚旅行というのが無いんだな……。俺の世界では、結婚すると互いの絆を深めるために新婚旅行というものをするんだ」
「そうなのですか? でもどうして旅なんかを? それな床を重ねた方がいいような……」
「それだと、あれだからな……」
「――でも、エイジさんと二人きりになれるのでしたら、新婚旅行もいいかも知れませんね!」
「だな――」
とりあえずは、ソルティに塩を取りに行くことを伝えてエルナを含めたほかの獣人のみんなには村の維持を頼むとしようか。
それは、木材の中に含まれている水十分に抜けていない薪などに多い。
もともと、音を鳴らす原理は乾燥しきってない水分が熱で膨張し逃げ場を失い、その際に木材を突き破って爆ぜた音だ。
そして、開拓村エルは俺が冒険者として――、そして開拓者として来てから一ヶ月くらいしか経っていない。
つまり木材を乾かす時間が無かったし、そこまで村には余裕もない。
人口が14人しかいない村だから当然と言えば当然とも言える。
いや、村どころか集落と言っても差し障りないだろう。
――そんな開拓村エルの朝は、いつも決まって火にくべられていた薪が音を鳴らす事から始まる。
昨日は、リルカと床を共にして色々とあって疲れてしまったのか、何時の間にか俺は寝ていたようだ。
そんな俺の眠りを覚ましたのは、乾ききっていない木材が鳴らす音である。
まどろみの中で俺は、ゆっくりと瞼を開ける。
瞼を擦りながら、俺は小さく欠伸をしながら気配がする方へと視線を向けると、リルカが朝食を作っていた。
「エイジさん、おはようございます」
「おはよう」
彼女の挨拶に俺は、横になりながら答える。
俺の言葉に、リルカが微笑みかけてくると「もうすぐ出来ますから」と語りかけてきた。
「今日からはエルナはいないのか……」
「はい、あの子も色々と思うところがあったと思いますので――」
「村人全員の干し肉を一ヶ月で食べてしまう事とかか……?」
「いえ、それは関係ないと思いますけど……」
「ふむ――」
まぁ、リルカが生命の危機に瀕していた状態で干し肉を食べたことに関しては仕方ないと俺は思っているので、その点に関して気に病んでないのなら問題ないな。
――と、なると……。
「あと考えられるのは俺とリルカのことを考えてくれたからか……」
「はい。たぶん、そうだと思います。秋から春にかけて狐族は、子供を作る時期なので――」
「……そ、そうか……」
自分が父親にという心構えが出来ていないことから、答えが中途半端になってしまう。
どうも自分が将来、父親になるという映像が頭の中に浮かばない。
たしか、男というのは子供が生まれて抱いてから初めて子供が出来たと実感する生き物だと日本に居たときに勤めていた会社の上司が、飲み会のときに言っていた気がする。
「今日は、これからどうしますか?」
リルカが塩を鍋の中に入れて味を調整した後に、振り返り俺に語りかけてきた。
「そうだな、まずは朝食を取ってから俺とリルカだけでソドムの町に行くとするか?」
「二人きりですか?」
「――ああ」
「大丈夫でしょうか? また、何か問題に巻き込まれたりしないでしょうか?」
「大丈夫だ、問題ない。それに、ソドムの町はエンパスの町よりも大きいからな、近くの火山で眠りについているエンシェント・ドラゴンが目を覚まして攻撃してこない限り、ソドムの町が灰燼に帰すことはないと思うぞ?」
「そうですか、安心しました。ドラゴンは一度眠りにつくと中々、目を覚まさないと言われていますので大丈夫ですね」
「ああ、それより問題は塩の持ち運びと販売。そのあとに秋から冬にかけても蒔いて収穫できる種籾の収穫と、2ヶ月から3ヶ月くらいの食料確保のほうだな」
「そうですね……、何人か連れていきますか?」
「いや、今回はリルカと二人ということで……、それに湯治場もあるからな。新婚旅行としてはいい場所だと思うんだが、どうだろうか?」
「新婚旅行ですか?」
俺の言葉にリルカが首を傾げながら不思議そうな表情で疑問を口にしていた。
「ああ、そうか……。この世界には新婚旅行というのが無いんだな……。俺の世界では、結婚すると互いの絆を深めるために新婚旅行というものをするんだ」
「そうなのですか? でもどうして旅なんかを? それな床を重ねた方がいいような……」
「それだと、あれだからな……」
「――でも、エイジさんと二人きりになれるのでしたら、新婚旅行もいいかも知れませんね!」
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コメント
ミーウィ
フラグを立てていくスタイルかw