俺が魔王!?

暇人001

episode 2

ベルス視点






「ちょっと!ジェニファス起きなさい!」

 誰じゃ…余の睡眠を妨げる者は……

「なんだ……余を起こすとは随分と肝が座っているではないか」

「バカなこと言ってないで、畑耕してきてよっ!」

 なんだこいつは?見るからにニンゲン…それになんなんだこの薄汚い部屋は…

「畑だと?そんなものどこにある、そなたこそバカなことを言うのは よせ」

「ちょっとーあなた〜ジェニファスの頭がおかしくなっちゃったみたい」

 ジェニファス……?誰だそれは。

「なんだ?おいこれ何本に見える」

 ゼンドルは指を3本立ててベルスの顔の近くまで寄せた。

「3だ」

「目はなんともないようだな……俺が誰だかわかるか?」

「余が下等生物の名をいちいち覚えている訳が無かろう」

「か、下等生物…… シェミル、教会へ連れて行こう」

「そうね……」

「貴様ら余が誰だかわかっておるのか?」

「「ジェニファス」」

「戯けッ!違うわッ!!余は魔王城が主人魔王ベルスであるぞ」

 シェミルとゼンドルは見つめ合い同時に頷いた後、ゼンドルはベルスを担いで教会まで走って向かった。






「今日はどうなされたのですか?」

 十字架が大きく描かれた服を着た男性がゼンドルに向かってそう尋ねた。

「神父よ、実はうちの息子が訳の分からぬことを言っているのだ」

「ほぅ……では取り敢えず見てみます」

「よろしく頼む……」

「下ろせッ!!!貴様ら下等生物など取るに取らぬ存在なのだぞっ!?殺されたいのか!?」

 ゼンドルの腕の中でジタバタと暴れるベルス。

「あぁ……」

 神父は何か悟ったようにそう言った。

「どうだ?病か何かか?」

「まぁ、病と言えば病ですね」

「やはり……それで病名はなんと言うのだ?」

「ご存知かと思われますが、厨二病という病名です……非常に恐ろしい病ですが時間が経てば次第に治っていくのでそこまで心配はいりません」

「厨二病……まさか俺の息子がかかるとはな」

「余は下等生物の様に病気などにかかるほど柔な身体では無いわッ!!」

「「末期だな(ですね)」」

 神父とゼンドルが口を揃えて言った。


「助かった、また何かあったら頼む」

「はい。病が治るまではあまり人目がつくとこに居られると親子共々精神的にマズイと思いますのでご注意ください」

「ありがとう」


 再びゼンドルに抱えられ教会を後にするベルス。





「なぜじゃ…なぜ余がこのような者に容易たやすくあしらわれるのだ……」

「なんかいったか?」

「そなた、さては勇者か?」

「ぷははッ!!!そんなわけないだろ、勇者ならこんな田舎で暮らさず魔王を殺しに行くだろ」

 コヤツ……何を言っているだ?まさか余の事を魔王と気づいておらぬのか?

「余は魔王であるぞ?」

「お前の厨二病は長らく続きそうだな」






 暇人001です!
 初心者ですがよろしくお願いします!

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