僕と彼女の物語
プレゼント選び
「あー最悪、最悪、めっちゃ嫌な気分です」
となりにいる僕の彼女によく似た可愛らしい女の子が僕に言う。
「まあ、そんなこと言わないでよ」
僕が今日、妹経由でちなちゃんの妹のゆいちゃんと連絡を取り、なんとか呼び出すことに成功した。
「で、急に人を呼び出しといてなんの用なんです?」
ゆいちゃんが機嫌悪そうに僕に尋ねる。
「その、もうすぐちなちゃんの誕生日だから何かプレゼントをあげたいんだけど、選ぶの手伝ってくれないかな?」
そう、もうすぐ僕の彼女でゆいちゃんの姉であるちなちゃんの誕生日なのだ。だからそれまでにプレゼントを用意したいのだが、どんな物が喜ばれるか僕にはよくわからない。だからちなちゃんのの妹であるゆいちゃんにちなちゃんの好みなどを教えてもらいながらプレゼントを選びたいのだが…
「お断りします」
やっぱか…
ゆいちゃんがそう言い立ち去ろうとする。
「そこをなんとか!頼むよ!」
「お断りします!」
何度頼んでも断られた。仕方ない、あの手を使うか…
「あーあー、家に親戚が送って来た老舗のどら焼きがたくさんあるんだけどなぁ、たくさんありすぎて困ってるんだよなぁ」
「先輩、早くお姉ちゃんへの誕生日プレゼントを選びに行きましょう」
そう言いながらゆいちゃんが僕の手を引っ張る。
え?ちょろすぎだろ、まさか本当にどら焼きで釣れるとは……初めて聞いた時は妹の冗談だと思っていたが、冗談ではなかった…
「あ、うん、そうだね、行こうか」
「あとでちゃんとどら焼きくださいね?」
「うん。わかってるよ」
ゆいちゃんの念押しに答えて僕達は近くのデパートに向かう。
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