総理大臣バトルロワイヤル

ノラ

第2話 僕の秘密

???「ねぇ?君さぁ?ちょっといいかな?」
断ることも出来ず流されるまま控え室の隣にある部屋に連れていかれた。
何を言われるかは薄々感づいている。
あの場にいた全員を騙すことなどできないとわかっていたからだ。
???「私は水野 羽衣(みずの はごろも)」
僕「初めましてぇ〜僕は出雲。よ、よろしくねぇ〜」
信じられないほど声が震えた。
羽衣「うん!んまぁ自己紹介はこの辺にして本題に入るわ。あんた異能力ないでしょ?」
羽衣の目の色が変わる。睨むような目付きで真実を探ろうとしてくる。
僕「は、はは。何言ってるのさ。そんなわけな...」
羽衣「隠さなくていいよ。無理に隠す必要なんてない。」
僕「だ、だから隠してることなんてなにもな...」
そう言いかけている途中で僕は服の胸ぐらを掴まれ壁に押し付けられた。
羽衣「困るんだよね!あんたみたいなやつ。みんな真面目に総理大臣を目指しに来てるのに。異能力がない雑魚が邪魔しに来るの。」
僕「僕だって来たくて来てるわけじゃないよ」
無意識にそうつぶやいていた。
羽衣「それはどーゆー意味?!なんか事情があるってゆーの?!」
僕「信じてくれないと思うけど、異能力を持ってない僕に何故か招待状が届いたんだ。でも強制参加型だから行かないわけには行かないし。だから、ここに来た。別に邪魔しに来たわけじゃないんだ。ごめん」
羽衣「やっぱり。あんたもだったのね。正直に話してくれてありがとう。私あんたのこと手助けするよ!」
突然の展開に頭の整理が追いつかない。
僕「あんたもってことは羽衣さんも異能力を持たない人間なんですか?!」
羽衣「いいえ、私は異能力を持つわ。でも私の兄が。。」
僕「兄が、どうしたんですか?」
羽衣「今から話すことは誰にも話してはいけないよ。
私の兄さんもあんたと同じ異能力を持たない人間だった。そしてあんたと同じようになぜか、このバトルロワイヤルに招待されたの。そして殺された。異能力を悪用した者達に。本来これはニュースになる予定だった。けれどその当時の総理大臣が自分の地位を保つために隠蔽したの。」
羽衣の過去を知った僕はなんて言い返すべきなのか分からず黙ってしまった。
羽衣「でも大丈夫!私があなたを守る。手助けする。」
僕「手助けってどうするの?」
羽衣「まぁ私に任せて!私の今からいうことをそのまま試験場でもいうのよ?」
羽衣はそう言うと控え室へ戻って言った。

そのころ、試験場では一次審査が終わっていた。

「それでは最後に受付番号12番の方。プールへ移動したのであなたの異能力を披露してください。」
僕「よし。確か羽衣がいえって言ってた言葉は」
    
         深海に眠りしその力よ。今よみがえれ。
                パトリオットオーシャン!

そう言うと突然プールの水が突然巻き上がって会場すべてを水のベールで包み込んだ。

「素晴らしい力ですね。一次審査合格です。次の控え室へ移動してください。」

次の控え室へ移動しようとしている僕の元へ羽衣が満面の笑みを浮かべながらスキップしてきた。
羽衣「凄かったでしょ!私の力!」
僕「凄かったよ!あんなすごい異能力を持ってるなんて!羨ましいよ!」
僕がそう褒めると羽衣は愛しい程の笑顔を見せた。
何故かわからないが。その笑顔に見とれてしまった。
羽衣「何じっと顔みてんのよ。それより!次の二次試験が問題よ。」
僕「二次試験って、どんな試験なの?」
羽衣「そうねぇ。簡単に言えば、2人1組でチームになりコンビネーション技を披露しなきゃいけないの。」
僕「2人1組って、羽衣と一緒になれなきゃ異能力ないのバレて一環の終わりじゃん?!」
羽衣「そうなのよね。だからあんたなんか特技ない?」
僕「特技?............一応3歳から陰陽師になるための修行はしてきたから少しは陰陽師らしいことはできる。」
羽衣「いいじゃない!1回見せてよ!」
僕「えぇ。そんな見せるほどのものじゃ。」
羽衣「いいよいいよ!見せて!」
羽衣が目を輝かせて僕を見てくる。
僕「わかったよ。んじゃ簡単なやつ見せるね。」
僕はそう言うと紙に犬の絵をかいた。
僕「いまからこいつを紙からだすから。」
                      幻 獣  紙 紙
                  げんじゅうしし
呪文を唱えた瞬間紙から犬が飛び出した。
羽衣「す、すごいわ!もっとないの!とびきりすごいやつ!」
羽衣はもっと目を輝かせて見てくる。
僕「すごいやつって言っても。
僕の家の陰陽術式は憑依術なんだ。つまり、霊を体に憑依させ、そこから成仏させる。
だから派手なものはないんだ。」
羽衣「なになに。もっとすごそうなものじゃない!」
羽衣の興味津々のところを見て僕は今まで積んできた修行も悪くはないものだと初めて感じた。

テレテレテーレン

急にBGMが近くにあったテレビから流れてきた。
「二次試験を始めたいと思います。一次試験合格者は広場へ集まってください。」

                                                                   つづく

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