話題のラノベや投稿小説を無料で読むならノベルバ

One’s day off-Sakura-

嘉禄(かろく)

銃ではなく、君の手を

ある穏やかな初春の日。
お気に入りの銃を手入れしていた俺はふと思い立ってPCと向かい合っている俺のメサイアに声をかけた。

「なぁ尋、久々のオフに篭ってるのも勿体ないからちょっと外に出ないか?」
「外、ですか?」

PCから目を外して尋がこっちを少し驚いたような表情で向く。
今までのオフは部屋でゴロゴロしたり演習場に顔出したりとチャーチから出ることは無かったから意外だったんだろう。

「そう、外だ。今なら早咲きの桜が咲いてると思うんだ、きっと綺麗だぞ。
百瀬も今日は天気が良いって言ってたし、絶好の散歩日和だ。」
「そっか、もうそんな季節になるんですね。
分かりました、行きましょうか。」

尋が微笑んでPCを閉じ準備を終えてから俺たちは外出許可を得て外に出た。
俺が尋の手を取って歩き出すと、尋はまた少し驚くも照れ臭そうに赤くなりながらそっと握り返して隣を歩く。
10分ほど歩くと川沿いに出た。

「見てみろよ尋、河津桜だ。」
「早咲きの桜の一つですね、綺麗だなぁ…雪さんと桜を見るのは初めてですね。」
「そうだな、俺たちが組んでからまだ一年経ってないからな。」

歩きながら桜を見上げていると、尋がポツリと呟いた。

「…あの、雪さん。」
「どうした、尋?」
「…来年も、その次もまたその次も…これからずっと、僕とこうして桜を見てくれますか?」

…なんて事を言い出すんだ、こいつは…真面目に言ってくるからこっちが照れる。まぁ顔に出ることはないけど。
俺は少し苦笑してこう返した。

「当たり前だろ、何を今更。
桜だけじゃない、夏の花火だって秋の紅葉だって冬の雪だってずーっと一緒に見てやるよ。
他でもない、尋の隣でな。」

そう答えると、相当嬉しいんだろう尋の表情がぱっと明るくなった。
わかりやすくて可愛いやつ。
俺たちはそのまま川沿いを進み、桜の木が途切れるまで歩き続けた。

今日くらいは、銃じゃなく君の手を握って歩こう。
俺より小さい、君の手を。

「One’s day off-Sakura-」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「コメディー」の人気作品

コメント

コメントを書く