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異世界をギルティ&フェイムで人生謳歌

深谷シロ

一話:神託 - Oracle

「またな。」
「うん。」


学校からの帰り道。僕は電車に乗る友達を見送ると、背後を振り返り再び歩き出した。


『本日は今年最も寒い日です。最低気温は首都圏で-10℃になる地域もあります。皆さん、防寒具をお忘れなく。』


横を通った電化製品屋の中から聞こえてきた。そう言われれば、そうだ。今日は寒い。


いつもと違って、今日は中に服を着込んできた。制服は学ランではない。僕の通う学校は私立で制服が廃止されている。私服登校だ。


以前、友達から聞いた話では、PTAが学校に訴えたそうだ。制服代が高いとか、どうとか。その訴えの多さに学校側も渋々承諾し、私服登校となった。今では完全私服登校になっている。この学校の制服はない。


また、僕の通っている学校は、指定バックが存在していない。さらには教科書が無い。


電子教科書を導入しているのだ。生徒は入学の際に教材が既にダウンロードされている電子機器を購入させられる。それが3年間のお供だ。


さらにこの電子機器は、SNS機能も搭載されていて、学校側には履歴がいかない。プライバシー遵守である。安全性や機能性が高く、評判となっている。


そんなこんなで毎年、受験者が増えている僕の学校は、去年で遂に7000人を超えた。


僕の学校の定員は1000人だ。倍率が7倍以上である。それに伴って学校内の偏差値も上昇し、県内上位の座に名を連ねるようになってきた。


これはここ数年の話だ。


さて、積極的に自分の通う学校の話はするが、自分について何も述べないのはおかしいだろう。


学校に入学して、1ヶ月。そろそろ身の近辺の整理がてら、自分についても振り返るとしよう。


僕の名前は三笠みかさ水斗みなと。姓も名も〈み〉で始まるので、ミミと呼ばれたりもする。僕はどう呼ばれても気にしないけど。


年齢は15歳の男──つまり、高校1年生だ。僕の通っている高校は、私立桜ヶ丘高校という。桜が咲き乱れる美しい丘が由来だそうだ。今でも桜の観光名所としてこの地区〈桜ヶ丘〉は、日本でも有名である。


偏差値が遂に70を越した桜ヶ丘高校の中で僕は、同級生と考査で競い、毎回考査の順位は10位以内だ。将来の夢は……まだ、決めていない。「1年生の内から決めろ。」と担任にも言われるのだが、どうにも自分に合う職業が見つからないのだ。


僕は桜並木が続く、家までの道を歩き終わっていた。目の前にはマンションがある。俗に言う、高級マンションだろう。


父親が転勤ばかりしていて、今はイギリスだ。母親と妹で、3人暮らしのようなものである。


だけど、その父親のお陰で僕は不自由ないため、感謝している。家事もまあまあ出来ると思う。


僕はマンションの共同玄関に入った。自動ドアが開く。革靴であれば踵が当たって音がなりそうな石だが、正式名称は知らない。中に入り、インターホンを鳴らす。すぐに母親が開いてくれた。僕は再び自動ドアを通り抜ける。


エレベーターは最上階に止まっていた。ボタンを押して待つ。


僕の妹は僕よりも頭が良い。中学二年生で県内トップの中学に通っている。偏差値が75だ。全国模試では偏差値を80など出している。


それでいて家では勉強せず、塾にも行っていない。学校でも勉強していないそうだ。根っからの秀才らしい。羨ましい限りだ。妹よ、その才能をお兄ちゃんにもちょっとおくれ。


高校は何故か、桜ヶ丘に行くらしい。ブラコンだったりするのかな。そうだと良いけど。


おっと、エレベーターが来たようだ。乗り込む。17階を押す。エレベーターが動き出した。ゴォオという音を出しながら上へと上がる。


僕は学校指定の電子機器──教科書だ──を見て、明日の時間割を確認していた。


エレベーターが止まったので着いたのかと足を進めた。


すると、何故か頭をぶつけた。同時にエレベーターにぶつかった音が鳴る。どうやらエレベーターの扉が開いていないようだ。


何階なのか確認するために僕は上を見た。


エレベーターには12階で点滅している。


しばらく待ったが、13階に行く気配がない。他の階を押してみたが、うんともすんとも言わない。


どうやらエレベーターが止まったようだ。


仕方無く、エレベーターに備わっている非常用ボタンを長押しする。外部と繋がるのを待つ。


1分……2分……3分……5分……10分。


手が疲れた。10分押し続けたが、外部と通じなかった。完全に外からシャットアウトされたらしい。ここは密室だ。エレベーター事故を防ぐため、エレベーターの扉は自分では開けない。


窒息死を待つだけだ。僕が持っている電子教科書には、携帯機能は付いていない。さらにはSNS機能のメンテナンスがはいっていた。携帯電話は普段から持ってきていない。


終わりだ。僕の命は散ってしまうようだ。誰かが見つけてくれるのを待つしかない。


段々と頭が働かなくなってきた。どうやら酸素量が少なくなっているらしい。もしかしたらとエレベーターの扉を開いたが、ビクともしない。


不幸な人生の終わり方だな……。


『脳内電磁波を送信しました。』


……何だろう。頭がぼんやりしていて上手く脳内で思考が巡らない。


『<転生プログラム>を起動します。ダウンロード開始0%……』


て、んせ……い?それって……何だったけ?考えるほどの力が残っていない。


『ダウンロード完了まで残り8%……7%。』


意識が、飛びそうだ……。これが……死ぬっていう……事なの、かな?何も考え……られない。


『ダウンロード完了まで残り2%……1%……完了しました。<転生プログラム>を起動します。対象を<神界>へ召喚します。召喚まで残り10秒。9、8……』


なに……かが、終わ、った、みたい……だ。僕も……もう、長くない……らしい。もう、すこ……し楽な、死に……方を……した、かった。


そこで意識は飛んだ。エレベーター内でミナトは、光に包まれた。本人の意識は喪失し、自覚はない。


光に包まれ姿が見えなくなってしまったミナトは、その次の瞬間、光とともに消え去ってしまった。


エレベーター内の監視カメラは全てを録画していた。


『<転生プログラム>が<神界>に干渉しています。対象の転移完了まで3、2、1、0。完了しました。』


頭が働かなくなって僕は……どうやら脳内の酸素が足りない余り、夢を見ているらしい。まだ死んでいないのか。もしくは死後の世界か。


夢だとしても自分の命は数分も持たないだろう。監視カメラを誰かが見てくれて救助に来てくれれば良かったのに。やり残した事は沢山あった。


だけど考えていても仕方が無い。今は前を見よう。俯いていた目線を前にやる。


前方には女性が立っていた。足音などしていない。気配もしなかった。そして、僕が俯く寸前までいなかった。どうやって現れたのだろうか。


あぁ、そうか。これは夢か死後の世界のどちらかだった。不可思議な事があってもおかしくない。


「あなたは誰ですか?」


口が勝手に動いていた。疑問が多かったのだろう。ついつい聞いてしまった。


女性はこちらに向かって微笑んでいる。しかし、僕が聞くと口を開いた。


僕はその口の動きに目を奪われた。艶やかで美しい。一言で表すことなど到底出来やしないが、言うならばそうだろう。この世のどんな褒め言葉を並べても足りないのだから。


「ミカサミナトさん。<神界>へようこそ。私は<転生>を司る女神セウスリーナです。勝手ながらあなたを転移させて頂きました。」


僕の目の前の美人はそう告げた。抑揚一つ無く。平然と。息継ぎも無く。表情一つ変えず。


それが自らの天職である<転生>に臨む際の態度なのか、本性なのかは僕には到底分かりようもない。


少なくとも僕が分かるのは女神を名乗る女性が嘘をついてはおらず、無愛想な訳でも無いという事だ。


「よろしくお願いします。」


取り敢えず様子見も兼ねて、挨拶をする。


「はい、よろしくお願いします。」


女神は笑った。この世に存在するとは知らなかった。このような微笑みが。だが、この世は僕が生きていた世界とは異なる世である。つまり、あの世だ。


「あなたには異世界転生をする権利が与えられました。」
「詳しく聞かせてもらってもいいですか?」


様子見する姿勢は変えない。自分が存在していた世界とは違う世界において、油断する事は死と直結する可能性がある。慎重にならなくてはいけない。


「ええ、いいですよ。異世界転生とは、その名の通り、異世界に転生することです。異世界転生する際には、偶然の転移と必然の転移があります。偶然の転移は世界同士の空間の捻れなどの問題で、偶然に異世界転生をしてしまうことです。必然の転移は、神によって選ばれた者達が特別な力を持って、異世界に転生することです。あなたは必然の転移となります。」
「ありがとうございます。それでですが、異世界と僕が生きていた世界の違いが分かりません。教えて頂けますか?」
「それについて語っていれば何日あっても足りないでしょう。詳しくは異世界転生後に【ヘルプ】と唱える事でヘルプ画面がAR表示されます。活用されてください。」
「分かりました。その異世界にスキルや魔法といった異能力の類はありますか?」


僕にとってこれが最大の質問だ。これの有無によって、異世界での生活が大きく変化する。魔法が無ければ科学が発展する。魔法があれば科学は発展しないのだ。とても大切な事なのである。


「魔法やスキルなどはあります。実際、この後にあなたはスキルを選ぶ事ができます。その設定に移りますか?」
「はい。」


僕が頷いた直後に目の前にAR画面が表示された。そこには、【プロフィール設定】と【ステータス設定】がある。


「まずはプロフィールを設定して下さい。いかようにも設定は可能です。勿論、人間以外にも。」


僕は【プロフィール設定】を押した。光が画面から溢れ、次の瞬間には画面が変化していた。


◇◇◆◇◇


【プロフィール設定】


>名前:未記入
>年齢:未記入
>性別:未記入
>種族:未記入
>称号:未取得


◇◇◆◇◇


未記入と書かれている上4つを変更できるみたいだ。名前、年齢と性別は変えない。


僕は書く欄に名前と年齢と性別を記入した。次に種族だ。


「種族はどのようなものがありますか?」
人間ヒューマン族、耳長エルフ族、鉱人ドワーフ族、天使族、鬼族、小人ハーフリング族、竜族、竜人ドラゴニュート族、精霊族、海族、鳥人族、蜥蜴人族、鼠人族、鼬人族、猫人族、犬人族……と無数にあります。また、その他にもハーフエルフや半獣人など亜種などもあります。」
「多いな……。新種族などは作れるのですか?」
「ええ、可能です。ですが、あくまでも元となる種族が必要です。」
「そうですか……まあ、人間ヒューマン族だな。」


種族欄に人間ヒューマン族と記入した。


「ありがとうございます。称号は特定の条件のクリアで自動的に追加されていきます。」


◇◇◆◇◇


【プロフィール】


名前:三笠水斗
性別:男
年齢:15歳
種族:人間ヒューマン
称号:未取得


◇◇◆◇◇


「続いて、ステータス設定をお願いします。」


僕は【ステータス設定】を開いた。


◇◇◆◇◇


【ステータス設定】


レベル:1
ステータス:
>HP特化型
>MP特化型
>攻撃特化型
>耐久特化型
>反撃特化型
>能力特化型


取得スキル:未記入


◇◇◆◇◇


「ステータスはこの中から選べます。選びたいタイプのステータスを選択タップすれば良いですよ。」


どれにしようかな……。目を瞑って選ぼうかな。


僕はど、れ、に、し、よ、う、か、な。と選んだ。これにしよう。タップする。


目を開いて、どれを選択したのか見てみた。……選択されていたのは、『         』だった。正確には、>能力特化型の下の空白だった。


「……すみません、これは何ですか?」
「意図的に隠してあった万能型というタイプです。洞察力や運の良い方が見つけられますよ。」
「という事は良いタイプを選んだという事ですか?」
「はい。」


良かった。運が良かったみたいだ。奇跡を信じるのも良いかもね。この異世界転生も奇跡みたいなものだろうし。


「最後にスキルを選んで頂きます。目の前のスキルから選んでください。」


◇◇◆◇◇


【スキル選択】
※5つのスキルを選択出来ます。下から選んでください。


>大賢者
>家事万能
>飛行
>魔法無詠唱
>身体強化
>魔物召喚
>魔物使役
>水中呼吸
>異常耐久


まだまだ続いていた。全部で100個ある。選ぶのが大変そうだ。


「これはどのようなスキルか見ることが出来ますか?」
「すみませんが禁じられております。」


<転生プログラム>でスキル内容を事前に話すことは禁じられているそうだ。残念な限りだ。兎に角、良いのを選ぼう。


「……僕はこれにします。成長促進・大賢者・魔物使役・鍛冶・自動翻訳の5つで。」
「分かりました。それらを選択タップして下さい。」


この女神様はちょくちょく英語と日本語を混合させて話す。異世界の言葉に慣れてない……とか?


「はい。選択しました。」
「これで<転生プログラム>は完了です。最後にラ?ダムで異世界に転移させます。転移後の地点については保証しかねます。ここからは自力となるでしょう。良き人生を送れることを祈っています。」


その言葉が終わると同時に僕は光に包まれた。それはミナトが<神界>へ訪れた時と同じ光であった。しかし、ミナトは知らない。


数秒後、光と共にミナトは消えた。異世界へ転生したのである。ここからミナトの異世界生活は始まった。


◇◇◆◇◇


【ステータス情報】


名前:三笠ミカサ水斗ミナト
年齢:15歳
性別:男
種族:人間ヒューマン
称号:未取得


レベル:1
経験値:0
有罪ギルティポイント:0
名声フェイムポイント:0


レベルアップのために
必要な経験値:10
必要な有罪ギルティポイント:10
必要な名声フェイムポイント:10


取得スキル:
〈固有スキル〉
大賢者:レベル1
自動翻訳:レベル1
成長促進:レベル1


〈職業スキル〉
鍛冶:レベル1
魔物使役::レベル1


〈通常スキル〉
未取得

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