Lv.1なのにLv.MAXよりステ値が高いのはなんでですか? 〜転移特典のスキルがどれも神引き過ぎた件〜

術平ニムル@休止中

これは本当に異世界転移モノなのですか?

「急な申し出で申し訳ない、魔王バルトラ様」

 バルトラが向かった先で待っていた老齢の男は、どこかで見知った顔、どころの話ではなかった。

 その男はかつて、映士にバルトラがやられる少し前、暇を出してそのまま帰ってくることのなかった、かつての臣下だった。

「イストゥム……」

「ええ。貴方の元臣下、イストゥム・ブルリガンデでございます」

「我はもう臣下など取らん。貴様が我が組織のものではないなら立場は対等だ」

「……また随分とお代わりになられましたね。この言葉遣いは元来のものでございますので心配なさらず。私がこの口調をやめる時なぞ、それこそ次の生を得た時でしょう」

「ならよい。それで、どのような要件でこちらに足を運んだ。今更こちら側にいることなどは興味のないことだ。現にこうして、異なる姿とはなっていても私がここにいるのだからな」

「ええ。まぁ一応話に関わってくるところですので暇の間にこちらに落ち着いたと思っていただければ」

「良いから早く説明をせい。我に如何なる用があってここへ訪れたのだ」

 イストゥムはわかりましたと答え、外に待たせていた2人を招き入れた。

 1人はバルトラの見覚えのある、白い布の上に軽武装をした美麗な女性。もう1人は全くもってバルトラの見覚えのない、覇気のない顔をした海賊顔の大男だった。

「バルトラ様、久しゅうございます」

「貴様まで来ていたか、ミネルヴァ」

「以前お話したでしょう? 私は元々こちらの世界にいた者です」

「ミネルヴァ殿、貴女程の神性を持ちながらこんな小物の傘下に名を連ねていたとは、嘆かわしい限りですなぁ! あっはははははははははは!」

「おいミネルヴァ、そこの小バエはなんだ」

「さぁ。私にはわかりかねます」

「それはそれは、みなさんがたがお気づきなさらねぇのも無理はないですなぁ、ふはははははは!」

 大仰に笑う男を見て、バルトラはひとつ質問をする。

「おい、小バエ。貴様の体ではないだろう、その器」

 すると途端に男は笑うのを辞め、ギロりとバルトラを睨む。

「ほう、小物のくせに少しばかりやるじゃあないですかい……」

「ほらその辺にしておいてください、初代西の魔王」

「まさか、西の王が未だに俺と同じ特性を有していたとは、驚きですなぁ! まぁ、俺の場合は体を奪うのは力が足りていない時とか緊急時とかそんな感じですがねぇ」

 初代西の魔王と呼ばれた男がバルトラを睨むのをやめるように、イストゥムが諭す。

「ではバルトラ様、本題に入ります。私たちは世界中を周り、帝国側に転移して殺された勇者たちを集めてここに馳せ参じました。今や世界は神性という神性が信仰を失いつつあり、濃い神性が残るのはこの日本のみ」

「なんだと?」

「故にこの提案に乗っていただきたい。我らと逃げ延びた神性たちと共に、この世界を守るために戦っていただきたい」

 唐突に発せられた多くの情報と突拍子な提案に、バルトラは一時的に押し黙るしかなかった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 走る。馬の如く、風をきって兎に角前へ。

 追い付く。もう二度と置いていかれることのないように、しがみついて離れないように。

 私はもう二度と、自分の周りの大切な人を失いたくはないから。

 その為に、私は自身の犠牲を厭わない。

 たとえその事を馬鹿だと罵られて信仰を失おうとも、私の守りたい世界は、守りたい人々はここにいるのだ。

 さぁ、剣を取れ、槍を取れ、雷霆を取れ。

 私は神だ。信仰を得ることで生きる生き物だ。故に私は人を信じ、人と同じ方向を向こう。

 私はギリシアを統べし神。傲慢であろうとなんであろうと、私はいつまでも人の歩む未来を追い続けるのだ。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 その夜、雷が落ちた。ひとつの場所に滞空し続けるその雷雲は恐ろしいもののはずなのに、自然と、誰もがそう思うことなくその場に居座っている。

「あちゃー、また派手なのに居座られたな。さて、あれをどうやって追い払うかなぁ」

 そんな雲を見て、1人の少年は心底不満げにそう呟いた。

「ねぇ、君はどうすればいいと思う? 

「僕の姿を使っていつまでこんな遊びを続けるつもりだ、!」

 箱を片手に問いかける少年に、同じ姿をした磔の少年が怒りの声を上げる。

「いつまで? はは、そんなの決まっているだろう?」

 少年の体がぶくぶくと膨れ上がり、巨大な人の形となって落ち着く。

「このどうしようもない宇宙の全てを壊すまでだよ!」

 大きく両手を広げて叫んだ巨人は心底愉しそうに笑う。

「僕はねぇ、自分が主役じゃあないとつまらないのさ。だから壊して潰して混ぜて、グチャグチャにして、もう一度はじめからやり直すんだ、この宇宙を。その為にわざわざ色々と仕込みをしてきたんだから」

「くっ、どうしてこんなことに……」

 巨人ロキ。北欧の地に伝わる、「終わらせる者」の役割を背負った神性。

 最悪の対戦を引き起こした悪神が次に引き起こすのは宇宙の破滅。

 それを間近で見ていながら止めることの出来ない現状に、ノアはただただ自責の念を感じることしか出来なかった。

「Lv.1なのにLv.MAXよりステ値が高いのはなんでですか? 〜転移特典のスキルがどれも神引き過ぎた件〜 」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く