Lv.1なのにLv.MAXよりステ値が高いのはなんでですか? 〜転移特典のスキルがどれも神引き過ぎた件〜
極運は役ただずですか?
「バルトラ様!」
「どうした」
「蛇の親と見られる個体から、強烈な魔力反応が消えました!」
「な……蛇に吸い尽くして消されたか?」
「いえ、それが、蛇はその場で倒れ、魔力を喰らう力も残っていないようです。強大な魔力反応は離れた場所に移動しています」
「……そうか。ならいい。あの男がいないと我らの計画は破綻するからな」
「ご主人が生きてるって!?」
「そう急ぐな。おい、12班、この者にその魔力反応が滞在している場所を案内しろ」
15人ほどの制服を着た所員たちが、一斉にバルトラに敬礼をしてシルティスに寄る。
「ささ、早くこちらへ」
「強大な魔力行使反応を確認しました。恐らく、彼の記憶は戻っているものと思われます」
「!?」
驚いて口をぽかんと開けるシルティス。しかしすぐにその表情を直すと、12班を連れてすぐにその場から離れていった。
「やれ、手のかかる小娘だな、あのサキュバスは」
シルティス・ゲオルギウスはサキュバスである。本来ならば、男の精を貪ることで生きる悪魔だ。そうしなければ死んでしまう。
しかし、何事にも例外はある。
例えばマキナは人の身そのまま、サキュバスに変化した。
そして、シルティスは更に奇異な例外であった。
先祖にありとあらゆる種の魔族が名を連ねたハイブリッド。さらにその魂は人間の女性のものと来た。
特性こそサキュバスであるが、実際問題、性質はサキュバスとは異なるというべきだろう。
彼女は魔族の間ではこう言われている。
曰く《万能器》と。
背中を見せて去っていくシルティスの姿を見ながら、バルトラは彼女が描く魔族の終着点について思いを馳せていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「うぉいうぉい、ヲタミンよぉ、思い出したのならまず私に言うことない? ねぇ、ない?」
「ん? 特段何か言うべきことはないと思うけどな。むしろこうして安全地帯を用意してやったことを感謝してほしいところだぞ? 脳足リンオタ姫」
「あああっ、それよ、それに腹を立ててるんだってば!」
「記憶が戻る前もそう言ってたと思うんだけどな」
自分が作り出したダンジョンの最奥で、柳沼と2人でカップ麺をすする。
テレビはどこも放映しておらず、かと言ってこの二人きりの状態で会話だけで何もかもが持つかと言われると微妙なので、オフラインでも遊べるゲームを探してROMをセットする。
ゲームと言ってもノベルゲームで、ただシナリオを見るだけなので言ってしまえばアニメを見ているのと何ら変わりはないのだけれど、まぁその辺は大丈夫だろう。
なんせ、あの漫研の姫だ。うちの漫研は廊下にアニメの音声が聞こえるくらいに爆音でアニメ見てやがったからな。それなりに耐性もあるというか、むしろ好きな部類だろう。
「んにゃー、これねー、何度やっても私じゃあ隠しシナリオ見つけられなかったのよ」
「はーん、いがいですなぁ、姫ともあろうものが、そんじょそこらのヲタクに劣っていて良いのでござるかぁ?」
少し煽ってやると、カチーンという音がまるで聞こえたような気がして、その後柳沼が親指の爪を噛みながらブツブツと呟き始めた。
「いい度胸じゃない、やってやるわよ、ヲタミンよりも早く全エンド回収してやろうじゃないの、さぁ、そこに同じROMがもうひとつあるのは分かってるの、早く別端末で開きなさい!」
ガチギレした柳沼の勢いに推され、仕方なく保存用のROMを開封……するわけが無い!
ははは、馬鹿め、そんなもの今の俺の力で複製すればいいだけの事! ぬかったな、柳沼透花! その程度では俺の心をおることは出来んて!
……はい、茶番はさておき、ひとまずは超能力で複製した擬似ROMを使ってプレイをしよう。やるなら本当は本物がいいんだけども。
しっかし、家中の電気をなんとか魔法で賄うことが出来てよかった。よくあるラノベの設定みたいに、地球は空気中の魔力が少ないから魔法使えない、とかだったらどうしようかと思ったわ。
「バックで家中の電気回路にずっと魔法で電力を流しているのでなんとか出来ている行為です。災害時は皆さんテレビゲームなんてできないと思っててね!」
「ヲタミンが変なところに向かって話してるー、キモいにゃー」
こんな感じで適当に喋りながらシナリオを進めていると、入口から誰かがこのダンジョンに入ってきた気配がした。
「……柳沼、客が来たぞ、とりあえずいつでも戦えるように準備しとけよ。セーブ済ませとけ」
「えええっ!? い、今やっと五郎と鈴音がイチャコラし始めたところなのにっ!?」
「関係ねぇよ、死んだらゲームプレイなんてできんでしょうが」
「うぅー、プレイだなんて、ヲタミンエッチだにゃー」
「勝手に言ってろ、頭湧いてんのかこのバカが」
「い、今までで1番辛辣!?」
俺の本心を聞いて動揺する柳沼はさておき、今中に入ってきたやつが、この場所にとって招かれざる客か歓迎すべき客がどうかを判断すべき時が近づいてきているようだ。
「さぁ、入口を開けておいたのが吉と出るか凶と出るか」
全ては俺の運にかかってる。さぁ、きっちり働いてくれよ? 極運。君、いつも僕を殺しにくるからさ、今回くらい生かしてよね?
「どうした」
「蛇の親と見られる個体から、強烈な魔力反応が消えました!」
「な……蛇に吸い尽くして消されたか?」
「いえ、それが、蛇はその場で倒れ、魔力を喰らう力も残っていないようです。強大な魔力反応は離れた場所に移動しています」
「……そうか。ならいい。あの男がいないと我らの計画は破綻するからな」
「ご主人が生きてるって!?」
「そう急ぐな。おい、12班、この者にその魔力反応が滞在している場所を案内しろ」
15人ほどの制服を着た所員たちが、一斉にバルトラに敬礼をしてシルティスに寄る。
「ささ、早くこちらへ」
「強大な魔力行使反応を確認しました。恐らく、彼の記憶は戻っているものと思われます」
「!?」
驚いて口をぽかんと開けるシルティス。しかしすぐにその表情を直すと、12班を連れてすぐにその場から離れていった。
「やれ、手のかかる小娘だな、あのサキュバスは」
シルティス・ゲオルギウスはサキュバスである。本来ならば、男の精を貪ることで生きる悪魔だ。そうしなければ死んでしまう。
しかし、何事にも例外はある。
例えばマキナは人の身そのまま、サキュバスに変化した。
そして、シルティスは更に奇異な例外であった。
先祖にありとあらゆる種の魔族が名を連ねたハイブリッド。さらにその魂は人間の女性のものと来た。
特性こそサキュバスであるが、実際問題、性質はサキュバスとは異なるというべきだろう。
彼女は魔族の間ではこう言われている。
曰く《万能器》と。
背中を見せて去っていくシルティスの姿を見ながら、バルトラは彼女が描く魔族の終着点について思いを馳せていた。
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「うぉいうぉい、ヲタミンよぉ、思い出したのならまず私に言うことない? ねぇ、ない?」
「ん? 特段何か言うべきことはないと思うけどな。むしろこうして安全地帯を用意してやったことを感謝してほしいところだぞ? 脳足リンオタ姫」
「あああっ、それよ、それに腹を立ててるんだってば!」
「記憶が戻る前もそう言ってたと思うんだけどな」
自分が作り出したダンジョンの最奥で、柳沼と2人でカップ麺をすする。
テレビはどこも放映しておらず、かと言ってこの二人きりの状態で会話だけで何もかもが持つかと言われると微妙なので、オフラインでも遊べるゲームを探してROMをセットする。
ゲームと言ってもノベルゲームで、ただシナリオを見るだけなので言ってしまえばアニメを見ているのと何ら変わりはないのだけれど、まぁその辺は大丈夫だろう。
なんせ、あの漫研の姫だ。うちの漫研は廊下にアニメの音声が聞こえるくらいに爆音でアニメ見てやがったからな。それなりに耐性もあるというか、むしろ好きな部類だろう。
「んにゃー、これねー、何度やっても私じゃあ隠しシナリオ見つけられなかったのよ」
「はーん、いがいですなぁ、姫ともあろうものが、そんじょそこらのヲタクに劣っていて良いのでござるかぁ?」
少し煽ってやると、カチーンという音がまるで聞こえたような気がして、その後柳沼が親指の爪を噛みながらブツブツと呟き始めた。
「いい度胸じゃない、やってやるわよ、ヲタミンよりも早く全エンド回収してやろうじゃないの、さぁ、そこに同じROMがもうひとつあるのは分かってるの、早く別端末で開きなさい!」
ガチギレした柳沼の勢いに推され、仕方なく保存用のROMを開封……するわけが無い!
ははは、馬鹿め、そんなもの今の俺の力で複製すればいいだけの事! ぬかったな、柳沼透花! その程度では俺の心をおることは出来んて!
……はい、茶番はさておき、ひとまずは超能力で複製した擬似ROMを使ってプレイをしよう。やるなら本当は本物がいいんだけども。
しっかし、家中の電気をなんとか魔法で賄うことが出来てよかった。よくあるラノベの設定みたいに、地球は空気中の魔力が少ないから魔法使えない、とかだったらどうしようかと思ったわ。
「バックで家中の電気回路にずっと魔法で電力を流しているのでなんとか出来ている行為です。災害時は皆さんテレビゲームなんてできないと思っててね!」
「ヲタミンが変なところに向かって話してるー、キモいにゃー」
こんな感じで適当に喋りながらシナリオを進めていると、入口から誰かがこのダンジョンに入ってきた気配がした。
「……柳沼、客が来たぞ、とりあえずいつでも戦えるように準備しとけよ。セーブ済ませとけ」
「えええっ!? い、今やっと五郎と鈴音がイチャコラし始めたところなのにっ!?」
「関係ねぇよ、死んだらゲームプレイなんてできんでしょうが」
「うぅー、プレイだなんて、ヲタミンエッチだにゃー」
「勝手に言ってろ、頭湧いてんのかこのバカが」
「い、今までで1番辛辣!?」
俺の本心を聞いて動揺する柳沼はさておき、今中に入ってきたやつが、この場所にとって招かれざる客か歓迎すべき客がどうかを判断すべき時が近づいてきているようだ。
「さぁ、入口を開けておいたのが吉と出るか凶と出るか」
全ては俺の運にかかってる。さぁ、きっちり働いてくれよ? 極運。君、いつも僕を殺しにくるからさ、今回くらい生かしてよね?
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