Lv.1なのにLv.MAXよりステ値が高いのはなんでですか? 〜転移特典のスキルがどれも神引き過ぎた件〜

ニムル

地球はもう魔境ですか?

 うちの街の市営図書館は、市民なら自由に使えるパソコンが20代近くあるにもかかわらず、パソコンのコーナーは基本スカスカだった。

「さぁ、調べますかね」

 手当り次第にそれっぽい単語を並べて、掲示板のようなものがないかを探していく。

 掲示板のようにコメントができる形式のものであれば、発信元とコンタクトが取れて、なおかつこちらの状況も話しておくことが出来る。

 あわよくばそのまま呼び出して俺たちのやろうとしていることを話して協力してもらいたいところだが、1度死んでいる人達だ。死ぬ可能性のあるような世界への渡航なんて好き好んでやるやつはなかなかいないだろう。

「はぁ、こんなことして本当に見つけられるのかにゃー」

「少なくともお前がなにか書き込む時に変なキャラを使わなければある程度上手くいくんじゃないか? 漫研の姫名乗れるくらいには見てくれがいい自覚あるんだろ?」

「やだぁ、二次ヲタが3次元の女子褒めてるぅ、こわーい」

「黙らっしゃい」

 その後もちょこちょこと小休止を挟んではカタカタとキーボードを打ち込んでネットサーフィンをする時間が続いた。

 最初に行動した時間が遅かったのもあり、大体2時間ほどしか図書館に滞在することが出来なかったため、また明日図書館に来て続きをすることにした。

 何故か時折、パソコンのコーナーにコスプレでもしているのかと思うほどに服の違和感がすごい小学校上級生くらいの少女2人が顔を出しては引っ込めの繰り返しをしていた。

 それに気付かないふりをしてそのまま作業を続けていると、知らないうちにその2人組は帰ってしまったのかいなくなっていた。

 3次元のロリはただただうるさいだけだからね、みんなに次元に溺れよう。ダバダバ脳内麻薬流して画面の向こう側にレッツゴー!




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「ふむ、イリアさん、あなたはこれをどう弁明しますか?」

『ふぇ!?』

「あの感じだと、ご主人はあの世界のことを覚えてらっしゃらないようですけど?」

『い、いや、誰にだってミスはあるというか、あれはあくまで予想であって、実際にそうであるという確証はなかったというかなのです……』

 先程、この世界のこの国の図書館にて映士を発見したのだが、何度も彼女たちの方に視線をよこしていたのにこちらに近づいてくるような素振りはなかった。

 途中からでも気づいてもらえるようにと、着替えたこの世界風の服装から一時的に元の服装に着替えたのだが、完全にノータッチだったのでこれは作戦を立て直す必要があるなと彼女らは図書館をあとにしたのだ。

「まったく、あんたの意見に乗ったらこれよ……」

『う、うぅ、私だって、神界にいればこんなことには……』

 洋服に着替えて人通りの少ない裏路地を歩いて身を隠す場所を探す。この世界はどこもかしこも建物だらけで、全く野宿をできそうな場所が見つからなかった。

「ほんとミツアキの言う通りだったわ、これ」

 元日本人であるミツアキから、映士の記憶で盗み見た日本をさらに補足してもらったのだが、それはこの国が未だに理解し難いということが分かっただけだった。

 進んだ政治システムに魔法ではなく科学が発展したという特異性。根っからのあの世界の住人であるシルティスは、科学なんて迷信だと信じていなかったし、政治にも大して興味があるなかった。

『ん、んん!?』

「急に叫んでどうしたの、イリア」

『ま、魔力反応がこちらに接近中!』

「……へぇ?」

『私たちの、頭上です!』

 敵意があろうがなかろうが、一時的にでも対処する必要があるかもしれないと、いつでもイリアの収納魔法に預けておいた、どんな世界でも唯一の剣【天穿つ剣ザイラン】をいつでも出せるようにと頼む。

 びゅうびゅうと音を立てながら落下してくるそれは、こちらの姿を見るとこう言った。

『久しぶりだな、シルティス・ゲオルギウス』

「まさか、あんた、クソザコナメクジバルトラ・アッシャー!?」

 聞き覚えのある意外な人物が現れ、シルティスとイリアはただただ驚くばかりである。

『……なんだか我的に不本意な呼ばれ方をした気がしたのは気のせいか。いや、今はそんなことを言っている場合ではない。ここにいるのはまずい。魔力障壁を貼って我についてくるが良いぞ』

「なんであなたの言うことなんか」

『いえ、彼の言っていることは正しいです。また今度は地中から強力な魔力反応なのです。しかも今度は私と同じ、を持っています』

『そういうことだ。この世界は今、少々歪んでいるようでな。我々のような異物はこのように追われる運命にある。今まで襲われてなかったのが奇跡な程だ』

『恐らく、我々は基本高所にいたのです。それにより地の神性である彼に見つからなかったのではないかと』

『……つべこべ行っとらんでついてこい。こいつはかなり厄介でな。我らの魔法攻撃は通用せん。今は唯逃げるしかない』

「な、なんですって!? なおさら格闘派の私が」

『今は安全第一なのです、脳筋は黙ってついこいなのです!』

「黙れぽんこつ娘!」

 互いが互いを罵倒し合いながら、バルトラに言われるがままにその場を離れた。

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