Lv.1なのにLv.MAXよりステ値が高いのはなんでですか? 〜転移特典のスキルがどれも神引き過ぎた件〜

ニムル

とりあえず魔王倒しませんか?

 キャンプ地に戻って見張り番を適度に交代しながら睡眠をとり、翌日の朝を迎えた。

 長年のあいだに堆積していた雪は、氷の層となって山の斜面に張り付いていたようだが、俺がその一部分を陥没させてしまったために5mほどの巨大クレーターのようにその部分がポッカリと空いてしまっていた。

 いや、雪の積もり方おかしいだろ、何でもかんでも多くすれば異世界クオリティだとか田舎クオリティになると思うなよ?

 なんでそんな高い山なわけじゃないのに、こんな麓と違って豪雪地帯なのだろうか。まぁ、今は俺がこの地域に数年ぶりの晴れ空を読んでしまったので雪が降るどころか雨が降る気配すらないのだが。

「さあ、みんな起きたところでボクのスペックを教えてあげよう! ででーん」

 食事の準備をしながら朝の会話をみんなと交わしていると、エルンが唐突に大きな声を上げて、俺たちに見えるようにステータスを表示した。

『【ステータス】
エルン・フォーマルハウト
Lv96
体力:7800/7800
魔力:79800/79800
攻撃:4780
防御:5200
魔攻:112400
魔防:332420
知能ランクS

《契約魔物》
アルペジオ・キリングスカイ
Lv90
体力:18000/18000
魔力:77500/77500
攻撃:3230/3230
防御:24500/24500
魔攻:4240/4240
魔防:75800/75800
知能ランクSS

《自身所持スキル》
『永久凍土の英雄鎧』→氷の属性を司る魔王の一族が希に有するスキル。防御特化型のスキルだが、鎧を実体化する為鎧に付与魔法をかけることが可能。

『魔力超回復』→魔力を秒間5000ずつ回復する。

《契約魔物所持スキル》
『鐡の守り』→自身の半径10メートル以内にドーム状の防御壁を展開する。持続時間180秒。貫通能力がない限りは内側にいるものは無敵となる』

「ほう、どっちもステータス的には守りに特化してるタイプなのか。てか契約魔物がいたのか」

「うん、今アルはちょっとお使いに出してるんだ。1人、協力してくれそうな人を連れにね」

「それ私聞いてないんだけど……まぁいいわ、ステータスを見ればわかると思うけど、エルンは防御が強いバフアタッカーってわけ」

「俺の記憶から適当に言葉漁ったな?」

「黙秘権を行使します」

「シルティスさんの方がスキル使いこなしてますね」

「そこは俺の地力でカバーするよ」

 苦笑い気味のミツアキの指摘を痛いと思いつつ、今後の自分の目標も兼ねて改めて決意を口にする。

 やることはやる。そのために必要な俺だけの能力なのだったら、使い魔だろうが眷属だろうがそのどちらでもなかろうが、俺はそれよりも力を持っていなくてはならない。

「これでエルンの大体の能力は分かったでしょ?」

「ああ。ある程度ならわかったよ」

「じゃあ、早速攻め込みに行きましょうか」

「え!? シルティスさん、それはいくら何でも……ほら、ヤン兄さんだって魔力を思い切り消費したばかりですし、ね?」

「そこの異世界の坊や、ちょっと推しが弱すぎるんじゃない? しかも魔力くらいならうちのご主人のを分け与えれば一発回復よ。むしろお釣りが来るくらいだわ」

「いや、まぁ、そうなんですが」

「俺ァそれでいいぞ。当の本人がいいならな」

「ああ、俺としても問題は無い。今回の魔王に対してはお前は特攻キャラクターだろうからな。ソシャゲあんまやらないからよく知らんけど」

「知らないのにものを語らないでくださいよ!?」

「はいはい、うるさい男ともは1回黙るのさー。ボクがかねてから準備してた裏道をつかって侵入するのはそこのカタナ使いの人と目つきの悪いお兄さん、正面からはシルとご主人くんが火力で突破してね」

「ん? エルン、あんたはどうするのよ」

「そんなのシルならわかるだろうにー」

 火力で、ねぇ。とりあえず『偽・破滅魔法』で槍でも打っておくか。本物使うには色々手順いるけど、今回はただ突破することが目的だし。

「ああ、そういうこと。それじゃあマキナ達もそろそろ呼んでだ方がいいかしらね」

「まぁ、雑魚狩りには申し分ない強さだよねー、マッキー。あ、もう1人の優男の人とも話はつけてあるからいつでも召喚陣貼れるよ」

「了解。でも氷に相性の悪いあの二人は最後、ギリギリのタイミングでの呼び出しでお願い。死なれたら困るし、何より死んで欲しくない」

「寝覚め悪いしな、自称可愛い娘ならまだしも、御者に死なれちゃあ困る」

 ニヤニヤしながらそう答えたヤン兄にジョークのつもりなんだろうかと悪寒をいだきつつ、話はさらに進んでいく。

「よし、作戦の決行は今晩! いざとなったら、ご主人にあのスキルを使わせればいいしね」

「おい、あれってまさか、1度も使ってないスキル使わせるわけじゃなかろうな、効果確認ができないから重要な戦いでは使わないようにしてあるのもあるんだぞ?」

「そんなこと言っていられないでしょ、背に腹変えられない時は何がなんでも使ってやるのよ」

 そんな話をしながら、俺たちほ作戦内容をどんどんと詰めていき、今晩の戦いに備えるのだった。

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