Lv.1なのにLv.MAXよりステ値が高いのはなんでですか? 〜転移特典のスキルがどれも神引き過ぎた件〜

ニムル

《番外》嘘つきは〇〇の始まり(あらすじ必読)

「さぁ、エイプリルフールだよ、悪夢の日だよ……」

「エイプリルフールってなんですの?」

 転移してきた日からみんなが毎日日を数えていたので、王国では勇者たち主導で『エイプリルフール』なるイベントが企画されていた。

「今日の午前の間は、どんな嘘でも付いていいの。ただ、午後からはその嘘が暴かれていくって言うのがこのイベント」

「それを勇者の皆様が遊戯のようにして国全体で遊ぼうと」

「そういうことだね」

 無知な王女様のお目付け役として派遣された私こと鮫島愛菜は、普段から王女と仲良くしていることもあって、この企画の唯一の《安全圏》と言われている王女の寝室にいることが出来た。

「それにしても恐ろしいルールですわね、嘘をひとつつく事に金100硬貨得られる代わりに、午後からの暴露タイムで最大10個の嘘をひとつ暴かれるごとに魔法によって身ぐるみ剥がされる。こんなことを思いつきそうな勇者様と言ったら……」

「まぁ、あいつしかいないですよ」

 窓の外に2人で顔を向け、王城の下の演説台を見る。そこには声高らかに演説をする、まるまる太った生物がいた。

『ぷふぉ! さ、さぁ始まりましたでふ! エイプリルフール特別企画、破廉恥人狼ゲームでふ!』

「あんまり人狼要素を感じないんだけどなぁ……あの豚野郎、よくやるわ」

「比留間さんほんとによくやりますね」

「あれは男どもの欲望を満たすためだけのイベントだと思うわ……」

「よくぼう、ですか?」

「純心な王女様は知らなくてもいいことですよ。このままに無垢にそだってください」

 比留間に対する怒りが募るが、ここにいる限り自分は安全なのでゆっくりとしていよう。今日一日は王女様とお互いに守り合うんだ、自分たちの肌を。




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 窓から見る城下の景色といえば、脱ぎ散らかされた衣類に全裸の男女。もう街の風紀などあったもんじゃなかった。ほんと何やってんだあの豚野郎は。

『いやー、午後からの後半戦はかなり盛り上がってるでふね!』

「……まさか、ここまで酷い光景を見ることになるとは」

「王女様、落ち着いてください?」

 比留間とその両脇に並ぶ一部の男子達に向かって弓を引き始めた王女を何とかなだめる。

「あ、そう言えば」

「どうしました?」

 突然何かを思いついたように叫び出した王女様に驚きつつ、慎重に言葉を返す。

「愛菜さん、比留間さんは豚野郎ではなくてよ?」

「はい?」

 王女がそういった瞬間、私が王女の部屋で着ていたネグリジェがふぁさりと音を立てて床に落ち、あらま中身がこんにちは。

「って、おいっ!?」

「愛菜さん、急にお洋服脱いでどうしたんです?」

「いや、これエイプリルフールのせいですから! というか、ここ安全圏なんじゃ!?」

「あぁ、比留間さんが『この部屋の結界が強力すぎて、エイプリルフール用の術式を組み込めなかったでふ、空気に混ぜておくので窓は開けといてくださいでふ』と」

「なんでそれをさきにいってくれなかったんですか!?」

 もはや頭に血が上った興奮状態で滑舌も悪くなっている。

「いや、大丈夫かな、と思いまして〜」

「だいじょうぶじゃない!」

 比留間に対する怒りがさらにふつふつと湧き上がる。

「あ、そうだ、愛菜さん? 私、無垢でもないですし、そもそも純心じゃないですからね?」

「え」

 安全、という2文字は音もなく崩れ去り恥ずかしさだけがこみ上げてきていた中、追い討ちをかけるように放たれたその一言。

「ふふ、2つとも落ちましたね♪」

 その場に布切れが2つ落ちたのは言うまでもないだろう。

「うにゃぁぁぁぁぁああああ!?」

 恥ずかしさで我を忘れて服を着ようとするが、魔法のせいで服に四肢が通らない。

 そんな私を見て、策士は『てへっ☆』と舌ベロを出してウインク。演説台の比留間の方を向いて、大きくピースサインを掲げるのだった。

『王女、よく、よくやりましたでふ! 今日のMVPは貴方様でふー! いやー、嘘つきは変態の始まりでふよ? 鮫島さん』

 ……あの豚野郎はマジで殺す……

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