虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
続探索イベント その05
再生個体はいずれ、俺たち以外の手で復活するだろう。
だがそれは、小数点以下の可能性をいくつも超えなければならない激ムズ難易度。
強く望むことが無ければ、おそらくは不可能……俺たちの生み出した再生個体が、そのきっかけになると思っておこう。
「──よし、ここを拠点にしよう」
《畏まりました──出店設営、簡易販売所を展開します》
わざわざ他の休人が居る集会場に来た目的は、商品を売ること。
あまり目立たず、しかし誰も来ないわけでは無い……そんな路地に店を開くことに。
忘れられていると思うが、いちおうでも俺は商人ギルドの会員である。
実際には店を持たない行商人なのだが、だからこそ準備だけはしておいた。
簡易販売所、すぐに用意できてすぐに片づけられるをコンセプトにした魔道具だ。
正確には簡易販売所を仕舞っておく魔道具で、ボタン一つでそれが広げられる。
魔力を流して放り投げると、中の機構が動いて展開していく。
数秒もしない内に俺の目の前には、出店に相応しい屋台が置かれていた。
「うしっ……では、始めるとしますか」
口調をいつものように変え、ひたすら待機する……派手な広告をしてはバレるし、何よりそれではここを選んだ意味が無い。
まあ、あくまでもノリだ。
別に生きとし生きる者すべてを救済するために店をやっているわけじゃない、かといって売り上げのためにしているわけでもない。
あくまでも、攻略に頓挫している者たちの助けになることが今回の目的。
……そう考えると、店をこんな序盤にやるのはおかしいか。
「『SEBAS』、代理の人形を一体用意しておいてくれ」
《畏まりました》
「ついでに看板に『────────』って書いておいてくれるか?」
《なるほど、そのように……承知いたしました。すぐに手配しましょう》
なんて会話をした後、看板にはすぐ俺の考えた文言が書かれることに。
そして、人形にいくつか指示を伝え……俺は待機場所へと戻るのだった。
◆ □ ◆ □ ◆
イベントエリア 待機場所
この場所には、集会場に来る際に入ったドアをわざわざ潜らないと戻れない。
煽るだけ煽って、すぐに逃げる……なんてことは許されないのだ。
まだ派手に動いていなかったため、姿を隠したまま移動すればバレなかった。
部屋に着いたところで一息吐き、展開していた『インビジブルクローク』を解除する。
「さて、少しだけ攻略をしないと……それに売れそうな品を調べないとな」
需要に合った供給をしないと、どれだけ優れた商品も売れない……その辺も兼ねて、まずは調査を行なおう。
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