虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
新型二輪車 前篇
ジェムで銀花が注目していた武器……ついでに装備一式を作ってみた。
正直、ジェムが溜まっていたので、その一掃にもちょうどよかったとも言える。
「組み合わせも重要だよな……この辺、上手くマザーAIがやってくれているな」
《…………》
「っと、悪い悪い。ただ、現実世界の運営の意図を組みつつ、こっちの世界に合う形でいろいろとやってくれている……終わらない、それだけでゲーマーは充分だしな」
さて、そんなことを語る俺が現在取り組んでいるのは──ジェムの燃料化。
魔石とジェムは似て非なる物、しかし一部に互換性があることもまた事実。
すでに『SEBAS』が実験を済ませ、できることは分かっている。
それでも違うモノなので、その差異に合わせた仕組みを作る必要があった。
「ジェムも魔石も、大きければ大きいほど質が高くなるのは同じ。けど、一番違うのは複数個を使ったときの性能だな。うん、パズルゲームのアイテムだからか、やっぱりそういう仕組みがあるみたいだな」
《連結性、ジェムを繋いだ際の形によって特殊な効果が発生するようですね。現在、ゲーム内の効果と合わせ、調査を重ねています》
普通に繋げただけでも出力が上がり、組み合わせを変えることで効果が付く。
また、ゲームよりも多様性があり、その辺も調べてもらっている。
「ゲーム版と違って、色が違っても性能を発揮するからな。まあ、同色の方が向上率は上がるみたいだし、原作重視みたいだけど。色の重ね方で属性も変わる……うん、休人が上手く使いこなすのは難しそうだな」
《中には『プログレス』に作用するかも、と試す者も居ましたね。残念ながら、そちらはございませんが》
「だな。純粋に燃料として、触媒として使うならまだしも、成長を促すにはいろいろと足りないからな」
魔石を使うことで『プログレス』の成長に幅が広がるのは、その魔石からある要素を取り込んでいるため。
それがジェムを使えない理由。
まあ、モンパズを強く愛する者ならば、触媒として魔石以上の性能でジェムを使うことができる者が現れるかもしれないが。
「──よし、これで完成だな。火のジェムと風のジェム、それと合成して作った雷のジェムを組み込んだ新しい乗り物だ!」
見た目はほぼスクーター。
だが、ジェムを組み込んだことで少々特殊な機構を使うことができる。
「それじゃあ、さっそくこれを試すためにもまずは……これを使わないとな」
チラリと見た先には装置が。
そこにスクーター型の乗り物を置くと、光がそれを読み取り──
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