虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
神風 前篇
アイスプル
長く続いた『飛武』との戦い。
それもどうにか解決し、俺は再びこの世界に戻ってきた。
「しかしまあ、強制とはいえお陰様でスカイダイビングを経験したな……いろんな意味で功績を積んだよ」
紐無しバンジーなんて目じゃない、超高度からのスカイダイビング。
後回しにしていたはずのタスクを済ませたことで、新たな[称号]が手に入った。
「職業の条件もいくつか満たせたようだな。というか、空の上に行かないと満たせない条件というのもアレなんだが」
《今回の『飛武』──【飛闘王】のように、空での戦闘を必要とする職業もございます》
「だな……【空兵】、みたいな職業もあるようだし…………なぜか【神風兵】、って最上位職がアンロック状態になっているんだが」
《おめでとうございます。それは【乗員】系職業の最上位職となります、旦那様はすでに多くの条件を満たしていたようですね。そして今回、空に関する条件を満たしたことで就職条件をすべて満たしました》
かなり特殊な職業だったようで。
就職条件に含まれる前提職のレベルは最低限、必要なのはどれだけ空で機械を以って敵対者を殺したかどうか。
だいぶ前に天空の城から雷を落としたり、ドローンで魔物たちを殲滅したり……擬似的に条件を満たしていたようだ。
満たせていなかったのは超高度への飛空。
そして、生還するというものだった……生き残っていないし、死んでいたわけだがそれでも良かったらしい。
《旦那様、【神風兵】に就きますか? 必要経験値は満たしておりますが》
「……うーん、今は止めておこう。神風、つまり速攻特化(意味深)だし。生き残るためのビルドを構築しようとしている今は、不要だろう」
原人、休人問わず最上位職は条件を満たしていたら就くことを選ぶもの。
まあ、普通は試練に挑む必要があるため、絶対に就けるわけでは無いのだが。
だが俺の場合、【救星者】経由で職業スキルだけ取り入れている状態。
彼らが最上位職を求める理由の一つ、無制限のレベルアップを手に入れる必要も無い。
強力な職業能力が欲しいというのも、特段心惹かれる物では無かった。
大半は『魔王の取腕』で拝借できるし、今は『プログレス』もあるわけだし。
「……休人がたくさん居るんだ、条件を満たせる連中が出るかもしれない。気が変わったときにまだ残っていれば、その時に試してみればいいだろう」
《畏まりました。では、そのように》
まあ、実際就いていたら当たりだったということもある……とりあえず、職業に関する情報だけは調べておいてもらおう。
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