虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
称号獲得成果 後篇
いろいろな[称号]を、実験結果として手に入れる。
……だが今更な話、それらの獲得条件を満たしたことを世界は知っていた。
ファンタジーな世界だから、そんな甘い考えではいられない。
別世界から俺を殺す存在も現れるかもしれない現状で、俺は警戒を強めていく。
「まあ、世界に抗う術は無いからな…………いや、一つだけあるか」
世界の外側、宇宙へ出ること。
世界から目を向けられ、襲われるのであればそこから出ればいいだけ……まあ、それはそれで何かありそうだけども。
宇宙に行ける船を、そうかつて語ったことがあった。
あの時からさまざまな知識を得て、できることも多くなっている。
そう、その気になれば可能だろう。
また、宇宙という世界の外側ならば、少なくとも情報戦において負けることは無い……ただ一つの懸念を除いて。
「宇宙って、システムの対応外なんだよな」
《パシフィス世界での情報が正しければ、おそらくは》
「休人って、外で死んだらどういう扱いになるんだろうな……[死に戻り]が正常に作動するなら、なんとかなるんだろうけども」
宇宙において、[メニュー]からなるシステムは正常に機能しなくなる。
レベルや保有するスキル、能力値などはいちおう平常通りだろう。
ただし、武技や魔法、職業能力などには一部制限が設けられる。
具体的には補正無しの手動制御、また能力自体の使用不可などだ。
また、[称号]もその中に含まれる。
つまり、『超越者』たちの権能もまた世界の外側において正しく使うことができない。
「…………ん? 宇宙でなら、強者相手に戦うことができるのか?」
《旦那様の場合、魔道具が使えなくなると即座に死亡してしまうので……》
「……そうだな。宇宙にも魔力はあるって分かってはいても、危険は避けた方がいいか」
パシフィス世界でドローンを飛ばし、宇宙の調査をしてもらった。
結果、魔力自体はあるもののそれを制御できない人族は活動できないことが判明。
また、魔力の濃度が異常に濃いため、魔力関係での滞在は極めて困難。
実際ドローンも、途中で完全機械式に切り替えての調査になったし。
「宇宙到達の[称号]は、そう考えると無さそうだな……そっちは考えなくていいか」
《いえ、超高度からの落下などによるモノもございますし、ご考慮していただけますと》
「…………パラシュート無しだよなぁ」
落下速度なども加味されるので、ゆっくり落ちてはいけないのだ。
……ただまあ、覚悟云々もあるので後回しにしておきますか。
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