虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
称号獲得成果 前篇
再生個体『黒淵空亡[エクリエンド]』を相手取り、逃がした風兎たちが脱出する時間稼ぎ──そして、いわゆる別に倒してしまっても構わんだろうのアレ。
「……とまあ、時間さえ掛ければどうとでもなるわけだな」
もともと、『(再)』が付く前の個体を討伐したの俺である。
当時設定していた以上の行動を取ることは無い、それが再生個体の弱い所。
まあ、それを補うこともできなくは無いのだが、あえて難易度を上げる気は無かった。
そして、一度目で暴き切った行動パターンから予測をし、魔術を叩き込んでいく。
「おっと、最終段階か……よし、じゃあ叩き込んでいくぞ」
一定の生命力まで削ると、固有種は能力の一部を解放して攻撃してくる。
攻略側の視点だと、その行動は基本的に固定されているので倒しやすくなるはずだ。
もちろん、その分強力な攻撃なため対応しづらく、捌くのに一苦労するのだが。
……俺の場合、死んだあとは自動的に無敵状態に入って蘇生を繰り返すだけだしな。
「“孤独蟲毒”──“千変宝珠・投槍”」
死ねば死ぬほど強化が施される術式によって、“千変宝珠”の火力はどんどん向上。
おまけに『SEBAS』が補助を行い、追尾するので逃げ場も無い。
何度も抗うように闇を生み出してはくるものの、殺しても全然動じない俺。
完全な無理ゲー、やがて[エクリエンド]は力尽き──その場から消滅した。
◆ □ ◆ □ ◆
再起の間 入り口
待っていてくれていた三人の下へ戻る。
補助を行っていた『SEBAS』が入っているセバヌス、俺をある意味信じてくれている風兎などは全然心配してくれなかった。
「……ねぇ、大丈夫なの?」
「まあ、な。そうだ、これやるよ。触媒としても普通に使えるんじゃないか?」
「これ……さっきの」
「ああ、倒してきたからな」
カルルは元【魔王】四天王の一人。
いろいろあってこっちに出向しているが、敬愛しているのは【魔王】のみ。
まあ、当の本人的にはこっちに居てもらいたいようだが。
……そんな状況にあるからこそ、彼女が目覚めさせた『プログレス』は凄かった。
そんな彼女は幽霊系統の魔族。
なので闇属性への親和性も高く、今回俺が得た[エクリエンド]の擬似特典を上手く使えると思った。
「加工したくなったら言ってくれ、ご要望通りにやってやる。心配なら、いちおうお伺いの方も済ませておくぞ?」
「じゃ、じゃあ──」
「会わせるのは難しいな……直接はな」
「! うん!」
見せる表情はまさに年相応のもの。
……なんて、おっさん臭いことを想ってしまう俺だった。
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