虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―

山田 武

アンヤク(08)



 生産世界クラフツルより、各世界への情報発信──応答願う。

 武闘世界バトリルト──確認しました。
 魔導世界マジカドォル──確認しました
 冒険世界アドヴェンス──確認しました。
 夢創世界イベンリア──確認しました。
 ■■世界テムリード──確認しました。
 ■■世界■■■■■──確認しました。 

 応答を識別しました。

 特異認定人物【救星者】の行動記録、及び■■適合者『万象戯画』との戦闘記録を送信します。

 また、【救星者】の発言記録より、■■世界アイスプル及び■■神話の介入を確認。
 これにより、【救星者】及び■■世界アイスプルへの■■行使の賛同を求めます。

 バトリルト──確認……拒否。
 マジカドォル──確認……受諾。
 アドヴェンス──拒否。
 イベンリア──拒否。
 テムリード── 確認……受諾。
 ■■■■■──確認…………保留。

 受諾:2・拒否:3・保留:1を識別。
 ■■行使は否定──認証されました。

 各世界へ、次いで依頼を提案。
 特異認定人物【救星者】、彼に対する特例の適応を求めます。

 バトリルト──許諾。
 マジカドォル──許諾。
 アドヴェンス──否定。
 イベンリア──否定。
 テムリード──許諾。
 ■■■■■──許諾。

 許諾:4、否定:2を識別。
 特例事項の適応を確定──【救星者】に関係するあらゆる戦闘行為を可能とします。

  ◆   □   ◆   □   ◆

 ──以上が、先ほど取り決められた対応となります。

「うわぁ……何というか、大人げない?」

 ……否定はしない。

「まあ、あの世界はまだまだ経験が足りていないみたいですし。実際、子供のようなものですか。しかし、それって……」

 肯定、【救星者】──『生者』がこの世界での活動を行っている以上、こちらにも影響が出ることは間違いない。

「ですよねー。結構巡ってみて分かりましたけど、あの人の影響が尋常じゃないですね。特にアレ、『プログレス』……あんなもの、神代にもありませんでした」

 製作に■■神話の創造神も関わっていた。
 それを考慮すれば、むしろその程度だと安堵している。

「あっ、それたぶん嘘、ブラフです。おそらく一から全部『生者』さん仕込みです」

 …………想定外。
 やはり、起動を実行したことに間違いはなかった。

「それ、自分で言いますか? ……ハァ、動けることはとっても嬉しいですし、別に構いませんが…………そろそろバレますよ?」

 …………健闘を祈る。

「あっ、もう! 前もこんな感じで切りましたよね!?」

  ◆   □   ◆   □   ◆

 ──こうして、激動が『生者』を襲うことが決まった。
 ただそれを、当人だけが知らない……すぐに身を以って知ることになるのだが。


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