虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
生産世界初訪 その12
生産世界の技術更新は、ある意味星ぐるみで考えられたものだった。
最終的には、:DIY:に人の力だけで辿り着くかもしれないな。
「職業の確認はできたし……次の場所に行くとしますか」
正直、職業の確認と生産世界の『超越者』である『星宝級職人』の把握さえできれば、それ以上のことをこの世界に望んではいないわけで……いやまあ、もう一つあるけど。
「生産技術の把握、これだけはやっておきたいな。錬産術みたいに、役立つものがあるかもしれないし」
生産技術への補正もあり、冒険世界よりも技術が優れていることが多いこの世界。
……まあ、冒険世界も特定の分野だけは最上位職の補正か優れているけども。
今回ここに来たことで、生産技術は確実に高くなっている。
休人たちが開発したアイテムが、街のあちこちに並べられていたからな。
「ただ、そのほとんどは応用ってレベルに収まるんだよな。錬産術みたいな、完全な新技術を作り上げるのはやっぱり難しいか」
アレは冒険世界最高の錬金術師である、元『錬金王』も認める新技術だった。
それに並び立つ技術ともなれば……まあ、普通は秘匿されているよな。
新技術、その多くはあくまで表に出せる中で、という言葉が前に付く。
だからこそ、隠された技術を盗み見るためにわざわざその権利を貰っていた。
「魔材ギルドで得られるものは、これである程度納められたか……解体と戦闘を合わせたこの技術は、なかなかに使えるかな?」
魔材ギルドの総本部、当然そこにはそのギルドで収集された情報が集まっている。
受付嬢にギルド総長から得た許可を見せれば、それらの情報は開示された。
魔材ギルドは魔物素材を基に、生産を行う分野に長けたギルド。
ゆえにその技術は、さまざまな性質を有する魔物に干渉するためのモノが多かった。
その中で見つけた、解体に関する技術。
より鮮度を保つため、生きたまま解体をして質の良い素材を確保するという少々惨いモノだった。
「『剥闘術』か……ちょっと興味があるな」
問題は、文献を読むだけではさすがに身に着けることができないこと。
もちろん、『SEBAS』が解析してある程度の使用方法は判明しているけども。
俺の体で使えるようにするには、使っている様子を見るのが手っ取り早い。
あくまでも、俺のやり方は型を体で強制的になぞっているだけだからな。
「『SEBAS』、とりあえず使っているヤツが居ないか探してみてくれ。俺も魔材ギルドに使用者が居ないか、確認しておく」
《畏まりました》
ここに載っているのだから、おそらく使い手がいるはず。
そんなこんなで、剥闘術の使い手を探すことになった。
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