虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―

山田 武

第一回コラボイベントその後 その10



 コラボ産アイテム、その俺でもできる使い方について『SEBAS』と相談中。
 アイラブコラボの楽曲や、モンパズコラボのジェムなどいろいろと提案された。

 そして、『SEBAS』のアイデアの中には興味深い物もあって──

「なるほど、ロードの機械か……」

《たしかに、そのまま使おうと対応しているのは【操縦士】系統の職業に限られてしまいます。ですが、形態を調整することでそれ以外の──例えば【騎士】や【乗員】でも、効果が重複して発動可能になります》

 基本的に、機械へ搭乗して戦闘を行うのであれば【操縦士】系統の職業に就く。
 戦闘に関する補正もあり、それが一番効果的だからだ。

 しかし、俺には【救星者】がある。
 ありとあらゆる職業のスキルを保持できる俺ならば、本来であれば理論上不可能と呼べる組み合わせなども可能だ。

 馬に乗った際に補正が働く【騎士】、非戦闘系の乗り物への操縦補正がある【乗員】。
 他にもいくつかの騎乗や操縦に補正がある職業を、俺は保有していた。

《今回、旦那様が獲得した現実世界の乗り物には、【操縦士】と【乗員】双方の補正が働きます。識別としては、非戦闘用の乗り物となりますが──》

「うちの世界、いろいろと想像力が豊かだしな……うん、武装車両とか装甲車って言葉はそのためにあるわけだし」

 後者はどちらかと言えば防御のためだが、それはそれで効果的だろう。
 防御は最大の攻撃、なんて言葉も挙げられたことがあったし。

「で、俺は何を造ればいいんだ?」

《車両をベースとした、変形可能な機械を》

「フォームをトランスする感じだな。でもそれ、形を変えたら識別が変わるだろう?」

 武器にも形状が切り替わる機構を組み込んだ物があるのだが、複数の形態になることができても、スキルや職業の補正が働くのはあくまで特定の形態に限られていた。

 だからこそ、せっかく非戦闘用の乗り物で得られる【乗員】系統の補正も、無駄になるのではと俺は問うている。

《問題ありません。あくまでも、変形させるのは同じく別系統の職業です》

「あー。たとえば【騎士】にして、馬型にするとかそういう感じか?」

《さすがは旦那様、ご慧眼です。この案、いかがでしょうか?》

「そうだな、まずはいくつか試作品を作ってみてからだ。それこそライドシミュレーターで試してから、実際に試してみるとしよう」

 なんだかんだ、やることが決まれば楽しくなってくるものだ。
 そうしてこの後は、:DIY:を使いながら設計図を構築していくのだった。


「虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「SF」の人気作品

コメント

コメントを書く