虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―

山田 武

第一回コラボイベントその後 その05



 アイラブコラボの最大商品、アイドルとの対面に関しては応募しないことに。
 代わりにそのポイント分、グッズを交換しておくのでファンの方々お許しください。

 なんてことを思いつつも、次なるコラボタイトルのポイント交換画面へ。
 お次は最後まで粘った、イセ村コラボに関するアイテム欄だ。

「イセ村は……モンパズ同様、コラボの舞台が交換で手に入るのか。さすがに住民は無理みたいだけど、建物の設計図や手に入れた家具なんかは問題なし。それに、地形や生物は有りなのか……」

 ふと、アイスプル世界を仰ぎ見る。
 住民の一部が頬張っているのは、木に実るフルーツ……それもかつて、イセ村をイメージして生み出した木の苗から生まれた物。

 ある意味、もう土壌はできていたわけだ。
 反映させて出現する生物も、もともとアイスプルでは魔力込みの地球を模していたし、あまり差は生まれないだろう。

「…………『SEBAS』、出現する生物はこっちで把握可能か」

《はい。設定を行うことで、一部の生物が出現しないようにすることも可能です》

「……。言いたいことは分かるな?」

《お任せください》

 言葉にもあまりしたくなかったが、さすがは『SEBAS』だ。
 俺の意図を汲み取り、その指示──特定の虫の発生を事前に防いでくれたらしい。

 もともとの仕様もあるが、モンパズ同様にイセ村風の場所は区域として隔離する予定ではいるが、何かの手違いでそれが外部に漏れ出ては大変だからな。

「……えっと、『イセ村内の魔法は使用できなくなるため、その点をご留意ください』。そうわざわざ書いてあるってことは、それが必要なアクションも起きるのか?」

 空に風船を付けたプレゼントが飛んでいたり、UFOが来る世界観なのだが。
 その場合、『ショット』の魔法で撃ち落とすのがイセ村流だ。

「さすがにどこからともなく、で説明はできないと思うんだが……」

《プレゼントであれば、星脈を通じて生成は可能でしょう。もちろん、風船を付けて飛ばすことも。ですが、外来の存在であるUFOの乗組員に関しては……》

「いやまあ、いいんだ。元より、住民は交換できるモノの中に含まれていないんだし。でもそうだな、どうせなら全部再現した方が良さそうだ。レシピって必須か? いちおう、村に居る間に一通り巡ったけど」

《レシピを交換することで、専用のアイテムが手に入るようです。それを核として使用しない場合、イセ村と同様の機能を発揮しないと思われます》

 なるほど、そういう商法なのか。
 まあ、節約がしたいわけでもないし、とりあえず全設計図を交換っと……そのうち村作りにも時間を掛けないとな。


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