虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
第一回コラボイベント後篇 その19
モンパズコラボの最終ステージ。
討伐自体は順調なのだが、やはりサブの目的である布教活動の方は上手くいかない。
ジェムを塗料、または宝石として加工したものが何度も前線に送られる。
ラスボスのモンスターが攻撃するたび、防御用のジェムなどが消費されていくからな。
また、ジェムが無くなれば周囲を駆け回って集めてもらい、再び加工を行う。
幸い、一定時間ごとにジェムは再配置されるため、遠くまで走らずとも済んでいる。
加えて、戦闘に時間を掛ければ掛けるほど出現するジェムの数が増えていく。
ジェムは一度に使う量が多いほど、効果も出るので……そういうことなのだろう。
「早くたくさん集めて、一気に片を付けろということだな──『リビングドール』」
本来であれば、加工する数が増えればその分だけ忙しくなる。
だが、:DIY:に不足無し、むしろ数が増える分できることも多くなった。
そうした時間に作り上げた、ジェムを加工した小さな人形たち。
それらに『プログレス』の能力を施すことで、自立稼働を可能にした。
「よし、君たちにはアイテムの供給によるサポートをしてもらいます。各自、渡したアイテムを必要なタイミングで使ってください」
『──!』
「それじゃあ、出発!」
『!』
そうして人形たちが前線に向かうと、各々がアイテムを使っていく。
彼らの核となったジェムにより、使う物すべてに色に合わせた補正が入る。
赤なら攻撃、黄なら防御など。
お陰で少々瓦解しかかっていた戦況が、再び五分五分ぐらいに戻った。
そして何より、回復のジェムを基にした人形がスプレータイプのポーションを撒いている──吸うだけで体力が全快するという、かなりヤバい代物だ。
「運搬役さんはこちらを。後半になったら使えるようになった、武器タイプの物です。誰に使わせるかなどはお任せします、ご自身で用いていただいても構いません」
『?』
「これを用いての攻撃の場合、MVP判定とは別になるらしいので。ご不要と皆さんが伝えてきた場合は、赤色の人形にお渡しください。彼なら一撃で終わらせるでしょう」
『──(コクリ)』
頷き、運搬役が向かったのは休人の下。
だがその武器は拒否されたようで、すぐに人形に手渡された。
赤色の人形が剣を持った瞬間、周囲を燃やし尽くすレベルの炎が噴出。
ただし、休人を傷つけることはいっさいなく、モンスターだけを焼き焦がしている。
そして、そのまま剣を持って走っていく。
道を阻もうとモンスターはするが、休人たちもこれがチャンスだと分かるのか、道を守り人形を通してくれる。
勢いのまま、剣が振るわれ──モンスターは消滅した。
宝箱や得られたポイントなどを確認し、休人たちが一喜一憂している。
そして、イベントシーンを挟み、扉が二つ出現し──すぐさま俺たちは次なる戦場へと向かうのだった。
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