虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
第一回コラボイベント後篇 その15
様々な思惑もあり、集団でのイベント参加に挑戦することになった。
事前に[掲示板]で募集を行い、参加したいという投稿も確認している。
まあ、俺……というか:DIY:による支援があるので、彼らがアイテムに困ることは無いだろうな。
「──時間です、それでは各自[レイド]の登録をお願いします」
『…………』
集まった休人たちに対し、俺はただ必要事項のみを告げる。
彼らも無言でそれに従い、即席かつ簡易的なレイドチームが編成された。
「興味は無いかもしれませんが、いちおうの挨拶を。主催者です、募集要項に記した通り皆さんの事情や情報などを詮索はしません。イベントやポイントのため、行動を以ってやる気を見せてください」
『…………』
「では、これから事前にお約束した通りアイテムの配布を行います。イベント期間中しか情報通りの性能を発揮することができませんので使い切っていただいた方が良いです。必要であれば作りますので、連絡ください」
『……ッ!?』
受け取ったポーションやその他魔法薬を確認した休人たちが、いっせいに驚いた。
まあ、中毒無しで身力を全種類回復できるなんて物は、世に出回っていないからな。
しかもそれが全部無償提供。
完全にこちらにメリットが無いような話だろうが、まあそれを受け取る側も多少は訝しむのだろうか。
だからこそ、少々意地の悪い条件が設けられている。
面倒だからこそ、相応の対価が用意されている……そう認識させるのが一番だしな。
「質問はありませんね……では、さっそく始めましょうか。まずはどちらへ向かうか、投票を願いします。皆さん、[掲示板]から投票してください」
これもまた、事前に募集する際に決めておいた取り決めの一つ。
選択する際は[掲示板]に設けた専用のスレで、投票を行うこと。
最終的な決定権は俺にあるのだが、それでもある程度投票を尊重するつもりだ。
今回もまた、投票結果に従い向かうタイトルを決めるのだった。
◆ □ ◆ □ ◆
少女たちが歌を歌い、それを休人たちで守る──選ばれたのはアイラブだ。
最終イベントにおいて、俺たちはただ守るだけでなく積極的に攻める必要がある。
「──ポーション完成、続いてサイリウム塗料も五人分できた。全員、どんどん使ってください!」
『……』
俺の言葉を聞き、近くに居た休人がそれを受け取り前線へ持っていってくれる。
ドローンでの配布でも良かったが、ちょうど運搬系の職業に就いている人が居たのだ。
その彼(女?)に任せ、俺はひたすら生産に打ち込んでいる。
なお、護衛などは誰もしないし、アイテムの行先なども特段決めていない。
前線にアイテムが届くと、軽く奪い合いになりつつもそれらを消費していく。
武器にサイリウムの光が灯り、傷ついた体はポーションが一瞬で治す。
こうして、レイドボスに挑んでいく休人の姿を俺はただ見ているだけでいい。
……生産は半自動なので、本当に楽なお仕事である。
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